INTERVIEW


世界Sekai

愛ある言葉と温もりあるハート、そしてあふれる笑顔でリスナーを迎え、誰もが酔いしれるステキなひと時を届ける、歌うバーテンダー。2021年5月に開店したその歌酒場は、時にはにぎやかな居酒屋、時にはしっとりとしたBARとして交流や歌を楽しめるうえ、ROMや寝落ちも歓迎と、初めてでも安心して入店できることで知られる。

データ分析に長けた彼は、自身を「誰かの最推しにはなりにくいタイプ」と評する。けれど、彼に出会った人は皆、その独自視点とゆるぎない未来構想、そして包み込むようなぬくもりに引き寄せられ、つながりを深め、共に歩もうとする。いわば「誰もが推さずにいられないタイプ」なのだ。
かかわるすべての人が無理なく、存分に楽しみながら一緒に成長していける配信の形。いったいこれからどのような〝世界〟が築かれていくのか―― ワクワクが止まらない。

踏み出した一歩
僕の出発点はリスナー

―まずは気になるお名前の由来からお伺いしていいですか?

誰もが一目でわかって、名前としてもインパクトがある言葉を考えていて。それと僕、BUMP OF CHICKENが大好きで。彼らの楽曲は「宇宙」をテーマにしたものが多いんですけど、そういう世界観というか壮大な景色みたいなものになぞらえた名前にしたくって。それで「世界」に決めました。「世界」という言葉は日常にもあふれているし、それらを目にするたび、僕のことを思い出してくれたらいいな、なんて。

―なるほど。日々発信されている世界さんのメッセージがとてもステキで、BUMP OF CHICKENの心に響く歌詞やぬくもりある心象風景とも重なります。
では次に、ライバーになられた経緯について教えてください。

IRIAMとの出会いは2021年の1月頃だったかな。知人がライバーを始めるというのを聞いて、僕もダウンロードしてみたんです。ようやくVTuberという存在が世間に知られ始めた時期で、配信がどういうものかよくわかってなかったんですけど、見たらすぐにハマってしまって。しばらくはリスナーとしてただただIRIAMを全力で楽しんでいました。

それが重ねて見ているうちに、生意気にも「いまのは僕ならこんな風に返すな」なんて思うようになって。そんな見方をしているのに自分でも驚いたんですけど、同時にもしかしてライバーをやってみたいのかなって気づいて。それから自問自答を繰り返して、とにかくやるだけやってみよう。そしてやるなら後悔のないよう全力でやろうって決めたのが、確か3月くらいだったかと思います。

対話で温かく包み込む
僕の理想のお店

―世界さんはライバーとして毎日配信されながら、リスナー活動も積極的に楽しまれていますよね。あとリサーチ力が半端ない!デビューまでの期間もやはりいろんな枠を見て回って調査されたのですか?

はい。約2カ月半、徹底的に調べて戦略を練りました。まずはIRIAMという〝畑〟をよく知ることから。どういうライバーさんやリスナーさんがいて、どんな配信があるのかをチェックして、公式発信のニュースや掲載記事にもくまなく目を通しました。あとSNSの使い方で参考になる情報を片端からメモに残すとか。

次に自己分析ですね。僕は声の良さや歌の上手さで人をひきつけられるようなタイプじゃない。なら武器は何だろうって考えたとき、バーテンダーをしていたときの経験かなって。初めて来店される幅広いお客さまと対話してきた経験。初見で来てくれるリスナーさんに対して、そこで鍛えた接客術が武器になるんじゃないかって。それで雑談中心のスタイルでいこうと決めました。

ちなみにIRIAMで使ってる背景は、自分がお店を持つならこんなお店にって、ずっと温めていたイメージなんです。その空間でリスナーさん一人ひとりとの対話を楽しみながら、誰もが心地よく、くつろいで過ごせるような理想のお店へと育てていこうって。

最後に、自分のやりたい配信に最適な環境を再検証すべく、IRIAM以外のプラットフォームもいくつか見て回りました。結果、立ち絵一枚で配信を始められる手軽さはいうまでもないけれど、何よりリスナーさんとのコミュニケーションを大切にしたい僕にとって、IRIAMのラグのなさは不可欠だなって。ラグなく会話ができることでリスナーさんとの距離も近くなりやすいし、自分のこともよく知ってもらえる。相手のことも理解しやすい。僕の理想とする対話重視型の配信にはほんと大事な機能なんです。それで僕にはやっぱりIRIAMがベストマッチだって答えに行き着いたんです。

失敗も敗北もぜんぶ
僕の背中を押してくれた

―IRIAMはリアルタイムのコミュニケーションにとことんこだわっているので、世界さんからいただけた高評価は嬉しいかぎりです。
そうしていろんな分析も重ねられて臨んだ初配信ですから、順調そのものだったのでは?

いや、それがもうひどいものでしたよ。自分がイメージしてたほどうまくしゃべれないし、コメントは大量に溜るし、ギフトのお礼もろくにできない。ダメだ、いま思い出すだけでも自分で自分を殴りたくなる~(笑)。

実際やってみるとバーテンダーの接客とはまるで違ったんです。一対一で向き合うわけじゃなく、一対複数というか、店内全域を巻き込んでのコミュニケーションになることへの認識が甘かったんですよね。全然さばけなかった。
それに、僕がいたバーの客層は30代以上がほとんどで、いまの職場........って、僕、昼間はリハビリの先生をやっているんですけど、そこでも相手の年齢層は高め。話題も自然とそこ基準になっていたので、IRIAMのリスナー層とはギャップがあって。自分が最近のトレンドにまるで疎いことも痛感しました。

そんな自分のダメな点を毎回洗い出していって、一つひとつリカバーしていくためにいろんなことを試しました。ほかのライバーさんが楽しそうにやってた企画を取り入れてもみました。けど、いざ自分がやってみるとうまく回せなかったり、ただの雑談枠がいちばん盛り上がったりして。とにかく毎日が失敗と修正の繰り返しでした。

初めて自分の順位が見えたトップバナーチャレンジで14位に終わったことも、自身の配信を振り返れば妥当な結果だと納得した反面、絶対このままでは終わらないぞという闘志をひそかに燃やしつつ、次のイベント準備に取りかかったのを覚えています。


―とても穏やかで柔らかな雰囲気や、淡々とデータ分析される冷静沈着なイメージが強かったのですが、意外と熱い一面もお持ちなのですね。

めちゃくちゃ負けず嫌いですよ! 本音では、誰にも負けたくないっていうのが正直なところです。けどそれはただイベントの順位付けだけを意味するわけではなくて......いやもちろん上位入賞もうれしいんですけど(笑)。でも単純な勝敗の話ではないんです。

僕、「土台づくり」って言葉を配信の中でもよく使うんですけどね。自分の至らない部分を徐々に改善しながら、自分オリジナルの配信の形=土台を築いていくこと。

そしてこの先も長く配信を続けていきたいので、限られた人の応援で強烈にプッシュアップしてもらって一時的に名をあげるとかではなく、ずっと変わらず応援してくれるリスナーさんの母数を着実に増やしていって、その結果としてイベントでも負けないようなコミュニティをつくっていくのが理想ですね。母数が増えれば、リスナーさん一人ひとりにかかる負荷も抑えられますしね。

特に、IRIAMのイベント参加条件の指標がそれまでのファンバッジの獲得数からコミュニティランクへとアップデートされたくらいから、そんな想いが加速したのかな。新しい環境でどうやったら効率よく勝てて、ランクアップしていけるのか、状況を分析しながら作戦を考えていたら、より自分らしく配信を続けられる方向性が見えてきたんです。

実際に8月だったかな。Discord上に自分のファンサーバーを設けて、ファンの方と配信のモチベーションが高い人のみのクローズドなコミュニティとして運営しはじめたんです。
あ、クローズドといっても、歌酒場の常連さんやモチベーション高く配信に向き合っていらっしゃる方はいつでも歓迎しているのでいつでもお声掛けください♪ って感じの集まりなんですけどね。

僕、戦略立てて効率よく物事を進めていくのが好きなんです。IRIAMでの活動についても同じで、徹底的にリサーチして戦略を立てていって......。一人ではなかなか限界があるんですけど、いまはそんな自分の考えに共感してくれる人たちが集まってくれて。情報交換はもちろん、僕が集めた各種イベント結果や応援スコアのデータから傾向を探ったり、有志が作ってくれた統計データを見ながら皆で勉強したりできるようになって。

これがとんでもなく楽しい! みんなで肩を並べて、全員が同じ方向をめざして一歩ずつ、一緒に踏み出せてる感覚があって。自身が思い描く未来図に少しずつ近づいていってる手応えっていうのかな。理想形がただの夢や遠い目標じゃなくなりました。

「どうすればいい?」
聞くことでまた歩き出せる

―それでも人数が多くなるとファンコミュニティのあり方もなかなか大変ではないですか?

配信を始めた頃はやはり試行錯誤しましたね。実際の店舗でのコミュニケーションとのギャップにいちばん苦しんだ点でもあります。
たとえば、周りから見ても騒がしい人やマナーの悪いお客さまなんかは、席を離したりうまくなだめたり、接客側の工夫で何とかできたんです。けれどIRIAMではそうもいかず、ブロックせずにどんな人の話でも無理して聞いてたんです。でもそういう人たちがいると自然と人も少なくなるし、場も盛り上がらない。その雰囲気が嫌で離れていった人もいました。居なくなってから気づくんですよね、自分が間違ってたなって。

それで本当に大事にすべきものがなんなのか、自身に問い直したんです。それからは必要なブロックはするし、リスナーさんたちにも「こういう時はどうすればいい?」「気をつけてほしいことは?」って細かく意見を聞いたり、相談したりしてます。

あと、自分の考えもリスナーさんに伝えるようしています。やりたいことや思うことを余すことなくぜんぶ。それはコミュニティランクにしてもイベントにしても、何も根拠がないものについていくのは怖いだろうし、実際僕だったら無理だから。ライバーが何を根拠にどう考えて、何を目標にしているかを伝えるのは大事だと思うんです。

逆に、ライバーのすべてをきちんと理解し、納得したうえで、その考えや価値観に共感してくれる人が集まってくれるというのは本当に心強いし、実際に僕も安心して頼れています。だから、何か迷ったときにはリスナーさんに相談したり、不安になったら長く来続けてくれる方々に自分の良いところを教えてもらったりします。そこで聞けたみんなの声を自信につなげて、また前を向いて進んでいけるって感じですね。

つなげるといえば、僕、自分のコミュニティに限らず、人と人をつなげるのが好きで。バーテンダー気質なのか、話が合いそうなお客さま同士をつなげたり、相手が好みそうないろんなお店を紹介したり。同じようにIRIAMでもこのライバーさんすごいよとか、きっと好きそうとか紹介しまくってます。なんせ僕、生粋のIRIAMオタクかつヘビーリスナーなもので。

大好きなライバーさんのところにいっぱい人が行ってくれるのはうれしいし、実際に足を運んでお勧めできる人を紹介しているので、自信もあります。最終的にIRIAMの〝入り口〟になりたいくらい。IRIAMビギナーはまず世界におすすめを聞こう!って(笑)。

無理して背伸びしなくていい
あなただけの配信を楽しんで

―気づけばバーカウンターがフロントデスクに変わっているかもしれませんね(笑)。心強い総合案内人です。
その頼もしきお世話係・世界さんから、伸び悩むライバーさんたちに何かアドバイスをいただけますでしょうか。

大したことは言えませんし、あくまでも僕自身の考え方なのでみなさんに当てはまるかどうかはわかりませんが......

これからデビューを考えている人には、配信って必ずしもいいことばかりではなく、出会いが多い分別れもあるし、心無い人に出くわすことだってあること。けれどそういうのも全部ひっくるめても、きっと始めてよかったと思えるから。迷っているならぜひ勇気を出して飛び込んでみてほしい。

もうデビューを決めた人には、いろんなことを試してほしい。配信をよくしようと考えたこと、やったことは決して無駄にはならない。どんな失敗にも意味があって、その次を考える材料になるってことを。

伸び悩んでいる人に言えるのは、自己分析の大切さかな。伸び悩みの原因や問題点が洗い出せていなかったり、それに対する努力の方向性が間違っていたりする人が多いように感じるんです。運のせいや周囲のせいにするのは簡単だけど、それで片づけてしまったら成長も止まってしまうから。何がいけなかったのか、何がよかったのかを都度見直して、自ら突破口を切り開いてほしいですね。

あと、近頃は「配信をすること」よりも「コミュニティランクを上げること」が目的になってしまっている人が多いように感じるんです。
本人は無自覚でも、リスナーさんって敏感なんです。「この人、最近モチベーションが下がっているな」「配信するの楽しくなさそうだな」ってことはすぐに気づくし、聞いてる方のテンションも下がる。僕自身が熱心なリスナーでもあるからよくわかるんです。ライバーがそんな状態じゃ、どうしたって人は集まらない。

もちろん、それでも枠が成り立ってる人もいないわけじゃないけど、そういう人は他に優れた部分があるだけ。いいとこ取りしようとそれを真似して、ただむやみに背伸びしてみてもしょうがない話だから。いま一度原点に立ち返って、自分らしい配信の形を考えてみてほしいです。

そして配信のことに限らず、何か悩みがあるならこの歌酒場を訪ねてください。僕と酒場民たちが真剣に話を聞いて、相談に乗りますので。ただそこにいるだけでもふと心が軽くなるような温かいコミュニティなので、安心していらしてください。お待ちしています!

「配信の理想形を追求するのに、
生涯をかけてもいい」

―最後に、世界さんの今後の目標を教えてください。

そうですね......あの、決して媚を売るわけではなく僕はIRIAMがすごく好きだし、さっきも話したように、僕の…僕とリスナーさんたちの理想とする、皆で成長していく配信の形を追求するには、この先もIRIAM以外での配信は考えられないです。誇張じゃなく、生涯をかけてもいいという想いで活動しています。IRIAMのなかで成長していって、どんなに強いライバーさんたちとも僕らのやり方で堂々と勝負を挑めるようになりたい。

あと単純にいまがものすごく楽しいんです。IRIAMを始める前は僕、2年くらい熱中できるものが何もなかったんです。それがいまは「史上最高」と言うか、僕の人生においてIRIAMでの配信は、最も熱中できてる最高の趣味って感じで。
逆に、喉の調子が悪くて声が出せない日なんてもう、気が滅入っちゃって滅入っちゃって(笑)。それくらいIRIAMの存在は大きくて、こんなに充実した日々をプレゼントしてもらえたことに感謝しています。

そのIRIAMで、尊敬するライバー・七瀬亜希さんのあの記事のようなインタビューをいま自分が受けているなんて、正直まだ信じられなくて。デビュー前に、いつかこんな風に取り上げてもらえるようなライバーになりたいって思っていたのが、こうして実現しちゃってるなんて。特に目立つ実績も、圧倒的な存在感もない僕なんかでほんとにいいんですか!? って感じです。

でも見ていてください! 未だに試行錯誤の繰り返しで、間違った判断をすることも多いですが、応援してくれる人の数も着実に増えてきて、いろんな数字も伸びてきてます。僕は一年や二年で辞めないし、具体的には二年先までやりたいことの予定が詰まってます。IRIAMがあるかぎり配信をやり続けるし、絶対に結果を残してみせるので。どうか期待して待っていてください!

―なんだかこちらが熱い応援メッセージをいただいたような......こちらこそ、感謝の気持ちでいっぱいです。
世界さんのステキな「世界観」がより色濃く、多くの人を巻き込んでますます広がっていくミライを楽しみにしています! 本日はありがとうございました。

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