プロフィール再考

―いつも配信を始められた経緯からお伺いしているのですが、めありさんはイラストレーターをめざして配信という手段を選ばれたのですか?
そもそもイラストレーターと配信は別軸でした。
私、幼いころから漫画家になりたくてよく絵を描いていたんです。でも高校に入って周りから下手だと言われて、心が折れちゃって。うっすら自覚していたのも重なって、絵を描く仕事に就くという夢をあきらめました。
でも大人になって漫画投稿サイトを見ていたら、別に趣味で描いて楽しむ分にはいいかと思えてきて、海外での院卒や企業勤めをしていたときのユニークな体験を題材にエッセー漫画を描き始めたんです。楽しかったし、嬉しいレビューももらえたけれど、漫画って構想から描き上げるまでものすごく時間がかかるんですよね。
その点、配信だったら体験談をそのまま話すだけでシェアできるじゃないですか。もともと話すのが好きだったので、IRIAMとは別のアプリで配信を始めました。といってもだらだらおしゃべりしてた感じです。
あるとき、いまの事務所からスカウトされて、IRIAMってなんだかおもしろそうだし、立ち絵も描いてもらえるってことで気軽にやってみようかと。それがきっかけです。
前のアプリで英語と日本語を混ぜた配信がウケていたので、IRIAMでも最初はバイリンガル系を売りにして「英語の楽しさを教えるよ」ってアピールしてたんですけど、まったく引きがなくて。人が来ないって周りに相談したら「仕事や勉強で疲れているときにわざわざ勉強したいと思わない」といわれて、ショックだったけど納得できて。すぐにプロフィールを考え直しました。
チョコミントはお好きですか?

―立ち絵は事務所側で用意とのお話でしたが、ご自身はキャラのイメージとかチョコミントがお好きだとかいったこだわりをイラストレーターさんに伝えられて?
キャラの初期案は自分で描きました。立ち絵をお願いしたイラストレーターさんがそれをブラッシュアップしてくれて、ポーズや表情をひとつひとつ詰めていきました。
ちなみにチョコミントはモチーフとしてはかわいくて大好きなんですけど、実は私食べられないんです(笑)。
あとチョコミントには特別な思い入れがあって。チョコミントって好き嫌いが真っ二つに分かれるじゃないですか。好きな人は大好きだけど、嫌いな人は絶対に無理。ライバーも同じで、みんなに好かれることは難しくて、アンチにはめちゃくちゃ嫌われるという。
私、人から嫌われるのが怖いんですよね。だいぶ慣れてきたけれど、いまでも怖いは怖い。でも、だからこそ自分を好きでいてくれる人を大事にしたい。チョコミントのようなかわいらしさで、大好きな人たちに愛され続けるライバーになりたいなって。
ただ、デビューまでの準備期はわれながらしくじりまくりで、枠回りで自語りや宣伝をしてしまうとか、キャラ以前に嫌われる要素が盛りだくさんでした。IRIAMの推し活文化もまるで理解できなくて、リスナーとしてギフトを贈るタイミングもファンバッジをとりたい気持ちもわからない。自分の枠でリスナーさんが同じことをしてくれたときも戸惑ってしまって......始めたころはほんとダメダメでした。
企画全力系!

―それらを理解できるようになったのはいつごろですか?
うーん、少なくともトップバナーチャレンジではまだわかってなかったです。
だからこそ「自分なんかにギフトを贈ってもらうなんて申し訳ない。対価に見合うお返しをしなきゃ!」みたいな気持ちが強くて、たとえばイラストガチャ企画では「3000ptで立ち絵を描く」とか。いくら当時下手くそだったとはいえ、かなりの大盤振る舞いをしてしまって、作業負担も半端なかったです。
それに、立ち絵はイラストレーターさんにこだわりのある人も多いし、リス活だけの人はいらないし......いま思えば立ち絵をガチャに入れるのは良くなかったなと反省しています。
そのころは自分の腕にもあまり自信がなかったのですが、自分で描いたガチャの景品やお礼品を受け取ったたくさんの人が喜んでくれて、そのイラストがきっかけで常連さんになってくれた方も多くて。自分のイラストでも喜んでもらえるんだってものすごく嬉しかったし、自信をもらえました。
お礼品作業は大変だったけれど、配信でみんなと過ごす時間は楽しかったし、楽しいから集中できた。疲弊するとかはまったくなかったですね。
しばらく続けるうちに尊敬するライバーさんとも出合えて、推したいという気持ちや応援のかたち、コミュニティランクや枠のあり方みたいなことが少しずつ理解できるようになって。特に尊敬するライバーさんが「企画全力系」で、みるみるランク帯を上げていく姿を見て、自分もそうなりたい、肩を並べたいと思ったし、その人が「めありくんのお礼品はすごいと思う。尊敬する」と言ってくれたことでさらに自信ももらえた。それから配信との向き合い方が変わったような気がします。
めあり先生、しくじり授業始めました

―大人気の「しくじりめあり先生」の授業はそのころから?
ちょうど一周年が過ぎたころですね。デビューから一年の振り返りとして、準備中にやらかした自分の失敗談から「しくじりポイント」をまとめて共有したのが最初でした。
先生といってもまだまだ勉強中だったので、いまとは考え方が異なる部分もわりとあったかもですが、それでもみんなおもしろがってくれて。リクエストに応えていたら月二回の企画として定着してました。
それが回を重ねるごとに人が増えて、気づけばコミュニティランクもAからSランク帯へと右肩上がりだったし、ランク帯が上がると説得力も増すのか、人が急増して。たくさん応援してくれるリスナーさんたちとも出合えた大きな転機でした。自分に自信が持てるようになったのもこのころです。
チョコ森めありとしても大きく飛躍できた企画なのですが、もうひとつ「自分と同じ失敗をして嫌われてほしくない」という強い思いでやらせてもらってます。自分もそうだったけど、マナー違反って無意識でやらかしてる場合が多いんですよね。本人が嫌われるのもそうだけど、誰かのせいで枠の空気が悪くなった結果、配信そのものやIRIAMがおもしろくないと誤解されるのも嫌だから。自分の枠だけじゃなく、みんなが気持ちよく過ごせる世界であるために、一緒に楽しめる友だちがつくれるように、少しでも役に立てればと思ってます。
あと、ライバー寿命を延ばしたい!(笑) せっかくステキなお姿を手に入れて活動をがんばろうとしたのに、ちょっとした失敗やトラブルですぐに辞めちゃうのはもったいないから。私の失敗談で笑ってもらいながら、ほっと一息ついて、自分や周りを見直して、少しでも前向きな気持ちになってもらえたら。少しでもとどまってもらえたらなって。
それで「楽しかったし勉強になった」とか「とても助かった」という声が聞けて、人もどんどん増えていって。同じテーマでも繰り返し「またやって!」と言ってもらえることが本当に嬉しくて、やりがいにもなっています。
イラストで飯が食えたなら

―そうしたライバーとしての成長に対して、イラストレーターとしての成長というと?
イラストとかお礼品とか、とにかくずっと描き続けてきたことで自然と画力がついてきたのと、ランク帯とともに「お絵描きライバー」としてじわじわ注目度が上がったことで、イラストを有償で頼まれる機会が増えました。いまはイラスト作業だけでもかなり忙しくて、以前は「ただ家で遊んでるだけで何やってるんだ」といい顔をしてなかった家族からも「どうやらイラストで飯を食えているようだ」と無事認定されました!(笑)
とはいえ、プロのイラストレーターとしてはまだまだだと思っています。腕を磨きながら、もっと画力をアップさせて安定感を出していきたいです。
ただ、Sランク帯ライバーとは両立させたいので。作業効率を考えるなら、理想的には自分のヘッダーとかアイコンリングとかのデジタル品やボイスガチャが人気になればいいなと。
そのためにもライバーとしての、チョコ森めありとしての価値をもっともっと上げていきたいと思ってます!
メアリーランドへようこそ
―そうおっしゃりながら、いつも凝った企画を演出されている印象がありますが。
はい、企画全力系です!
企画は、グッズもそうですけど、ただ凝ればいいという話ではなくて、活動を持続させるためにも極力負荷を抑えつつ、リスナーさんに喜んでもらえるもの、こういうのあったらおもしろいよねというものを成立させること。それを一人のエンターテイナーとして演出すること、ですね。
あとは講座内でも話してますが、Sランク帯をキープしようとすると限られた時間でたくさんのポイントをいただかなくてはいけないので、企画内容やポイント設定を誤るとなかなか大変なんですね。なので、確実に狙ったデイリーランクスコアが取れるように普段からいろいろと工夫しています。
―いろいろポイントを押さえながら、企画のアイデアはどのように発想されているのですか?
雑談していてふと思いつくとか、「背景」がきっかけでアイデアが浮かぶことも多いですね。
この前やって大好評だった「メアリーランド」の企画は、「スリーピーパーク」の背景を見ながらみんなとテーマパークの話題で盛り上がっていたときに思いついたものです。
某テーマパークをめあり版に再構築して、ギフトや入室に応じてアトラクションが体感できるパネル明け方式にして。たとえば、ジャングルを探検するボートを再現したアトラクションでは、私がクルーになってみんなを案内します。途中で象の鳴き声をSEで流したり、矢が飛んでくるSEをきっかけに皆で逃げる演出を入れてみたりして、リスナーさんが本当にアトラクションを体感しているような工夫を凝らしました。
ほかにも、オリジナルキャラのぴょこもりやめあおなどに会えるグリーティングとか、手持ちのSDや立ち絵にくっつけて楽しめるカチューシャとかポップコーンケースとかのメアリーランドグッズにもとことんこだわって。どうせならライブ感を持ってその瞬間をみんなで一緒に盛り上がりたいから、カチューシャとかバルーンとかのグッズ類はあらかじめDiscord内に張り付けておいて、ギフトを贈ってもらったタイミングで即お渡し! 入場時からおもいきり楽しみたい人用にチケット風のヘッダーも含めて先行発売もしました。
もちろんランクキープのこともあるけれど、配信するからにはエンターテイナーでありたいんですよね。枠に来た人には楽しい気持ちになってほしいから、周年でも何でもない一日でも全力企画です!

したたかであれ

―エンターテイナーとしてもプロデューサーとしても「全力」なのがしみじみ伝わってきました。そんなめありさんが今後さらにめざしていることは?
最終的なゴールはまだふわふわしているのですが、目の前の目標としてはS3ライバーをキープしたい。みんなの気持ちを揺さぶれるライバーとして活動を続けたいです。
実は、イルミナリー出演もひそかに目標にしてました。連絡をもらったときには思わず「ぎゃー!」ってものすごい声が出て、マネージャーさんを驚かせたくらいで。
「箔が付く」とか知名度が上がるのはもちろんですが、私のIRIAMに対する想いを自分のことばで、自分が描いたたくさんのイラストとともに、たくさんの人に伝えられるってこと。【IRIAM×コンプティーク】を選んだ理由も同じで、全国の人が手に取れる雑誌で私のイラストをたくさん見てもらえたのは嬉しかったし、光栄でした。
あとは、どんなに辛いことがあっても変わらず明るく、ネガティブなできごとはぜんぶ笑いに変えるくらいの意識で、いつでもブイブイ言わせてるような強いライバーでいたいです。だって私、ブイライバーですから!(笑)
もちろん「しくじり講座」ってくらいだから失敗もするし、かっこ悪い部分を見せてしまう日もあるけれど、「チョコ森めあり」を好きでいてくれるみんなをがっかりさせたくはないので。自分がかっこいいと思える、自分が認められる自分でありたいし、そこは大事にしたい。常に「したたか」でありたいと思っています。
自分を表現できる場所
―講座を通して多くのライバーさんにアドバイスをされているめありさんから、これからライバーをめざす方に何かメッセージをいただけますか?
まず、IRIAMは自分を表現できる場所であり、新しい自分を発見できる場所だってことかな。
私の場合、高校生のとき演劇部だった経験がふと生きることがあったり、思いもよらない特技が見つかったり、声真似とかもやってるうちにどんどんできることが増えたり。
IRIAMを始めたことで、昔あきらめていた夢にもう一度挑戦するきっかけまでもらえました。みんなにもびっくりするような発見や出会いが待ってると思うので、ぜひ気軽にチャレンジしてみてください。
あと、続けてるといろんなことがあって、もう無理だと思う瞬間もくるだろうけど、勢いでやめないでほしい。自分の経験も含めて、良くも悪くも感情が高ぶっているときに決断するのはお勧めしません。一息ついて、熱くなった頭が冷えたら、みんなとくだらない話をして楽しむ時間がなくなってしまう寂しさに気づけるから。
むかついたときはChatGPTに気持ちをぶつける!(笑)
くよくよしている時間があったら、自分のことを大切に思ってくれるみんなのことを考える。たとえ一人でもいい、自分を愛してくれる人を信じて続けてほしいです。
大丈夫、失敗してもきっと立ち直れるから。それでも悩んだときはしくじり講座に駆け込んでください。バッジ特典でマンツーマン講座もやってるよー!
