INTERVIEW


烏丸かあこKarasuma Kaaco

アイドルにあこがれて人間界へやってきた、歌うことが大好きな魔法使いのカラス。IRIAMデビューは2023年3月で、歌枠や絶妙なバランス感覚でリスナーさんとの掛け合いを楽しむ「プロレス」枠が人気。配信は平日の16時から18時、土・日や夜にゲリラあり。

イソップ物語のなかのカラスは自身の真っ黒な姿を恥じ、ほかの美しい鳥たちの羽根を体中に差して着飾った。

けれど自らの感覚を信じ、やりたいことを一途に追求していく烏丸かあこに虚飾はいらない。大好きな歌を大切なみんなに届けて元気にしたい、そのまっすぐな想いで羽ばたく姿がこんなにも美しく尊いのだから。

そして彼女に寄り添うリスナーたちが色とりどりの宝石となってその身をより一層輝かせてくれるのだから。

歌いたいカラス、アイドルをめざす!

―配信を始められたきっかけから伺えますか?

もともと歌うことが好きで、友だちともよくカラオケに行ってたんですけど、コロナ禍で外に出られなくなって。それで歌メインの配信アプリで、自分の歌をスマホで録音して公開しはじめたのが最初です。

配信とはいってもIRIAMみたいに交流を楽しむ感じではなくて、カラオケ感覚で自分が歌いたいから歌ってひたすらデータをアップし続けるという、ほとんど自己満足の世界でした。それでも楽しかったし、聴いてくれた人がリアクションをくれるのもすごく嬉しかったです。

そんなとき、DM経由でいまのマネージャーさんからIRIAMで配信してみませんかってお誘いいただいたんですけど、最初は詐欺か何かだと思ってて(笑)。でも調べたらしっかりした事務所だったのと、IRIAMで配信するほうがもっとたくさんの人に聴いてもらえるし、リアクションもその場で返ってくるからきっといまより楽しいよって言葉に背中を押されて、これも何かのご縁だしやってみようって気持ちになりました。

でもVtuberとか全然知らなくて、IRIAMを初めて体験したときはすごく新鮮でした。見てるだけのアニメと違ってキャラと一緒にお話しできるのが楽しかったし、やるならわたしも「この枠はいつ来ても楽しいな」と感じてもらえるような配信がしたい。誰かに元気を与えられる存在になりたいって強く思ったんです。

カラスは嬉しくて泣きました

―未知なるVの世界に飛び込まれて、初配信までの準備はいかがでした?

いわゆる枠回りみたいなことはしてなくて、自分がめざしたいと思えるライバーさんを何人か見つけて、その枠に集中して通ってました。純粋にリスナーとして楽しんだり居心地の良さを体感したりしながら配信の基本を勉強させてもらって、自分がどういうライバーになりたいのか、徐々にイメージを固めていった感じです。

あと実践編として、枠にお邪魔したときに他の人のコメントを声に出して読んでみて、自分だったらどう返すかなとか考えてました。

でもそれだけイメトレや自主練を重ねても、実際に配信してみるとまるで勝手が違ったんですよね。コメントと会話することが思った以上に難しいというか、声と声じゃない「無音」のなかでのやりとりで言葉にうまく感情を乗せて伝えられるようになるまで3日くらいかかった気がします。

とかいいながら、初配信についてはとにかくずっと嬉しかったという記憶しか残ってないですけどね(笑)。それまで通ってた枠で知り合った人がたくさん来てくれて、憧れのライバーさんまで駆けつけてくれたときには嬉しすぎて大泣きしちゃいました。ほんとに「嬉しい」が大渋滞の一日でした。

声をからすのはNGです!

―周りのやり方に合わせるのではなく、最初からご自身のスタイルを追求されたのですね?

人は人だし、やりたいことも置かれた環境も違うし、来てくれるリスナーさんも誰一人同じじゃないので、自分なりの正解でいいのかなって。それに人の言ったことをそのままやるのってあまり楽しくないじゃないですか(笑)。何より楽しくないと続かないし、自分の軌跡を振り返ったとき、楽しい思い出であふれていたらそれだけで満足だなって。
だからわたしは「自分が楽しいと思えるかどうか」をいちばんの指標にしてるんです。

たとえば、わたしトップバナーチャレンジは180位だったんですけど、入賞できたかどうかじゃなく、みんなと過ごした楽しい時間は幸せな記憶でしかないし、IRIAMでの大切な思い出の1ページになってます。

ただ「楽しい」を追求しすぎて、デビューから半年もたたないうちに声が出なくなるくらい喉を痛めてしまったことは反省してます。みんなと話したい、歌いたいってうずうずしたし、誰もいなくなったらどうしようって焦りもあったけれど、いつまた喉が壊れるか不安を抱えたままだと楽しく歌えないし、ここはしっかり治そうって決めて。2カ月間くらいかな、配信をお休みしました。

結果、あのとき無理しないでよかったなって。ライバーにとって喉はほんとに大事だから、いくら楽しくてもそこだけはきちんとセーブするよう心がけています。

配信は長期決戦で

―無理せず楽しみながらコミュニティランクを上げる、魔法のような秘訣があればぜひ教えてください。

そんなステキな魔法があれば嬉しいですけど、残念ながら配信って短期決戦ですぐに目に見える成果が出るようなものじゃないんですよね。

だから特に秘訣とも言えないのですが、わたしは配信する人が少ない時間帯がメインなので、初見の方がふらっと入ってきてくれることが多いんです。だから初見さんのプロフィールやアイコンをたよりに興味がありそうな話題を選んだり、知っていそうな歌を歌ったり、コメントしやすいなぞなぞなんかもやってました。

「黒ひげ危機一髪」を使った「黒ひげ抽選会」もそのひとつかな。★1でもバッジをとってくれた人なら誰でも参加できるんですけど、あらかじめタルの24個の穴に番号を振っていて、人形が飛び出た番号を選んでた人が当たり。単純だけど毎日めちゃくちゃ盛り上がるんですよ。ちなみに、おはようポストでみんながリプしてくれてる番号がそれです。

きっかけは何でも良くて、とにかく最初からすんなり枠に溶け込めたり、居心地が良かったりするとまた来てもらえる。それで人が増えると枠がより盛り上がるし、そのぶん注目されやすくなる。その繰り返しで気づけばコミュニティランクがじわじわ上がってきたって感じですね。まいにちの積み重ねです。

〝プロレス〟はじめました

―かあこさんご自身の変化についてはどうですか?

いよいよAランク帯が見えてきたとき、もっと上をめざそうって良い意味で欲が出てきたのと、リスナーさんたちから「かあこががんばってる姿を見てると勇気をもらえる」って言ってもらえることが増えてきて。自分が全力で目標に向き合ってる姿を見て元気になれる人がいるんだ。自分は人に何かを与えることができる存在なんだって思えて嬉しかったし、上をめざせるライバーとしての自覚が急速に芽生えた気がします。

行動としても、目標をちゃんと口に出してみんなに伝えるようになったし、配信時間を延ばしたり、土日とか夜枠とかこれまでやってない時間帯で試してみたり、できることには積極的に取り組むようになりました。

昼の配信は仕事をしながらの人が多いからラジオ感覚で聴いていられるように歌枠がメインで、弾幕やコメントは休憩中の人だけでOK。夜は音が大きくならないよう雑談中心でまったりと。ゆっくりお話しができるからみんなの違う一面が見えたり、いろんなアイデアが飛び交って新しい企画が生まれたり。

リスナーさんの好みの傾向もわかったし、それぞれの楽しみ方でみんなと一緒に時間を過ごすうちにみんなとの距離がぐっと縮まりました。「プロレス枠」で気の置けない掛け合いが楽しめるようになったのもそうした積み重ねの結果だなって、いま話していて改めて実感しました。

おたからス

―それほど仲の良いコミュニティなのに、ファンネームができたのはつい最近のことですよね?

よくご存じですね(笑)。
そもそも自分が歌いたいからIRIAMを始めて、実際好きに歌って楽しませてもらってるので、リスナーさんもその日そのときの気分で行きたい枠を選べて当たり前というか、この世界では自分の「楽しい」を自由に追求していいと考えてて。そもそも「自分の枠」とか「自分のコミュニティ」だとかいう意識があまりなかったんですよね。

だけど長くやってくるとバッジを連続でたくさんとってくださる方やファンネームまだ? という声なんかが多くなってきて、ファンネームを作れるまで成長できたんだってものすごく勇気をもらえました。
2周年に向けて作った一枚絵をしみじみと眺めながらみんなへの感謝の気持ちがあふれてきたとき、パッと思い浮かんだのが「おたからス」でした。

わたし昔からキラキラしたものが好きで、おもちゃの魔法のつえとかビーズのネックレスとかを宝物だと思って大事にしてたんです。ファンとしていつもわたしを支えて応援してくれるオタクなみんなのことも宝物のように大切にしたい。だから「お宝」「オタク」「カラス」で「おたからス」!
2年近く活動してきたから気づけたこと。デビュー当時では見つけられなかったキーワードだから、このタイミングでファンネームを決められてよかったなって思ってます。

2周年前後に連続してガチで走ったときも、おたからスをはじめ、これまでに出会ったリスナーさんや仲良しのライバーさんたちがわたしの歌を聴きにきて、想像もできないような熱量で一緒に場を盛り上げてくれました。わたしはこんなにたくさんの人に応援してもらえてるんだ、ゆっくり一歩ずつの成長で気づけばこんなところまでたどり着いたんだって全身で実感できました。

みんなとの思い出を作り続ける

―さらなる成長に向けて、今後の目標が決まっていたら教えてください。

目標あります!
「ミライトパーティ2024 〜グランドフィナーレ〜」を見ていて、わたしもあれにというか何かリアルイベントに出て、ステージで歌ってみたいです。

自分が歌いたいのはもちろんですけど、会場でおたからスやリスナーさんたちが本当に存在して応援してくれてるんだってことを生で感じたいし、みんなともこれまでにない思い出を作りたいので。

思い出はわたしが何かをしたという記録じゃなく、みんなと一緒に過ごした宝物のような時間を大切に重ねていきたいんです。たとえば2周年の記念日当日にやった「デュエット歌枠」では、歌うまライバーさんだけじゃなくリスナーさんまで参加してくれて、事前に歌を録音して一緒に歌ってくれたんですね。録音とはいえ、純粋にリスナー活動しかしてない人が自分の歌を公開するのはものすごく緊張したと思うんですけど、それも含めて楽しんでくれたし、枠もめちゃくちゃ盛り上がってステキな思い出が増えました。

わたしはあと10年配信をやる予定なのですが、引退するとなったときにはあふれるくらいの楽しい思い出で満たされていたいなって。それまでみんなとの思い出をもっともっと作っていきます!

―最後に、ライバーデビューを控えた方々へのメッセージをお願いします。

繰り返しになりますが、まずは自分が楽しむこと。
この世界は1カ月や2カ月で急に成果が出るなんてことはまずないから。目先の出来事や状況に振り回されたり、ほかと比べて落ち込んだりせずマイペースで、リスナーさんと楽しい時間を一緒に過ごすことをいちばんに配信してほしいなと思います。

自分が心から楽しいと思ってやれているうちは間違ってないから、素直なその感覚を大事にしてほしいです。それでもよほど人が減ってきたり、楽しさより不安が大きくなってきたりしたら自分のやり方を振り返って工夫する。楽しいを追求しながら違う道を考えることを試してみてください。

あとわたしが密かに楽しんでいるのは、周りの人はほとんど誰もわたしがライバーをやっていることも、まいにちこんなに歌いまくっていることも知らないってこと(笑)。自分には誰も知らないライバーという一面があるんだと思うと、それだけでちょっと日常がワクワクしてくるんですよね。もう一人の「本当の自分」がいるってなかなか楽しいですよ。ぜひぜひチャレンジしてみてください。一緒に楽しみましょう!

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