INTERVIEW


退

アリシア・ルノワールArishia Renoir

元気でクセ強な天界の女神。元ブラック企業勤務の個人勢ライバーで、IRIAMデビューは2023年5月。平日は20時、土曜は0時から、雑談や歌、オリジナリティあふれる多様な企画で皆とわいわい盛り上がりながら日々成長をめざして配信中。

スランプは誰にでも訪れる。けれど彼女は陥る間もなく浮上していく。

それは、どんな闇の中でもリスナーの声に耳を傾け、注意深く聞き分けたポジティブな評価を光差すミライへ続く<糸>として手繰り寄せることができるから。
それは、具体的な褒め言葉は自分を本気で愛してくれる人でなければ発せないことを知っているから。
温もりある声を信じ、さらには自分を信じて突き進むという努力をどんなときも決して怠りはしない。

そんな彼女にこそ、チャンスは訪れる。金髪の女神アリシア・ルノワールは自ら幸運を引き寄せて、きょうも笑顔で疾走し続ける。

神速の七転び八起き

―配信を始められた経緯をお話しいただけますか。

パチンコ店の店長として勤めていたとき、いわゆるブラックな感じというか、仕事が忙しくてまともに睡眠もとれない生活に疲弊してしまって。会社に退職申請したんですけど急には辞められないってことで3週間のリフレッシュ休暇が支給されました。

せっかくの休みをだらだら過ごしても気持ちまでは回復しないし、次の勤め先を探すのも大事だけど、まずはやりたいことをやってこの重苦しい負のオーラを消し去るぞ! って思った矢先、ふと「特徴的な声をしてるから、声を使う仕事が合うかもね」って声が頭をよぎったんです。

4歳からピアノを始めて、音楽大学付属高校から音楽大学へ進んでと、気づけば音楽漬けの日々だったのですが、それでもプロとして音楽で食べていけるのはほんの一握りで。自分がそこには及ばないこともわかってて......挫折ってやつですね。そんなときに大学の教授がかけてくださった言葉でした。

けど、いざ就活となったら特にやりたいこともないし、どうせならお給料のいい仕事がいいなと検索してリストアップしたら、ずらっとパチンコ店が並びました(笑)。
実際にやってみたら給与面に限らず、女性が店長に起用されることってほとんどないから自信を持てたし、最初はやる気でいっぱいでした。それが日々の激務で徐々に失われて、思うように動けない悔しさや、評価が下がって周りの信頼も薄れていく不安や焦りで、いつしか自分のことも信じられなくなって。本当に辛かったですね。

そんななかでも音楽はいつも身近にあって、歌うのも奏でることも好きでした。声とともに何らか披露できる機会があればいいなと思って「声を使う」「仕事」「自宅でできる」とかで検索をかけたら、IRIAMがトップに上がってきたんです。
速攻でURLをタップして、その勢いのまま配信まで行き着いちゃいました!(笑)

「アリシア・ルノワール」で生きる覚悟

―アリシアさんって挫折後のリカバリー力がすごいですよね。気持ちの切り替えの早さと行動力は昔から?

特に意識したことはないですが、言われてみればそうかも。あれこれ思い悩んでるよりはとりあえず当たって、砕けるかどうか試すタイプですね(笑)

だから初配信のときも何の用意もないまま「配信方法」を順にたどりつつ、イラストには適当にゲーム用の手持ち画像をはめて、名前は「おじちゃん」。目や口が動いたので、よし! と思ってそのままスタートボタンを押しちゃったんですよね。

本人的には確認テスト気分だったので、すぐに何人かが来てくれて逆にびっくりしちゃって。何もわかってないから「もしもし聞こえてますかー?」から始まって、皆さんにいろいろと手ほどきしていただきました。
しばらくしたら「声と名前が別人じゃん」「全然おじちゃんじゃねーし!」みたいな自然な会話も弾んで、とっても楽しかったんです。

あと、気になってた「まいにち配信」のレインボーマークが「1日30分以上の配信を7日以上」続けたらもらえて、多くのライバーさんが続けることで収益化したり、やりがいにつなげてがんばってたりすると聞いて、がぜんやる気が湧きました。

2日目には大きな出会いがあって。続けてがんばりたいと思ってるんだと話したら、めちゃめちゃやさしいリスナーさまが「今後ちゃんとやっていくなら、名前を変えれば?」とアドバイスしてくれて。何がいいか相談したら、どうなりたいかを丁寧に聞きとりながら「アリシア・ルノワール」と命名してくださったんです。

自分では到底思いつかないような、すごくかっこいい名前をいただいてめっちゃ嬉しかったし、シャキッと背筋が伸びるような気持ちになって。ようやく始まったというか、新たに配信への覚悟が決まった感じでした。

ポジティブ一直線!

―ほんとうに一からリスナーさんと作り上げてこられた感じですね。

個人勢なので、特にそうだと思います。枠では「神友」と書いて「しんゆう」と呼ばせてもらってますが、実際のところはリスナーさまが親代わりとなってアリシアを育ててくださってます。

名前の次は立ち絵で「トップバナーチャレンジに挑戦するなら立ち絵もちゃんとつくったほうがいい」って、依頼の流れを一から教えてくださいました。
それでもいざやってみると難しいんですよね。自分が思い描いているイメージをうまく言葉にできなくて、イラストレーターさんにも何度も修正をお願いすることになってしまいました。初めてだったとはいえ反省しかないです。

それでもすてきな名前をいただいて、本気で配信に向き合うなら絶対に妥協しちゃいけない。自分が納得して、この子に声をのせたいと思えるキャラになるまで、表情とか目の輝きとか細かい部分までとことんこだわりました。
いまのアリシアと出会えたときには、これでトップバナーチャレンジに臨める。上をめざすぞって、気持ちのギアが一段上がった感じでした。

あと、いまでも来てくださっているリスナーさまが「推していいですか?」と言ってくださったのもめちゃくちゃ嬉しくて。まさか自分が誰かの推しになれるなんて思いもしなかったというか、なりたいけど無理だろうとどこかであきらめていた夢が急に現実になった感じで。自分もトップライバーをめざしていいんだという自信が持てたのも大きかったです。

そのころには仕事復帰していたのですが、ほかの店舗に異動できて店長の肩書を下ろせたり、周りに理解があって空いている会議室や仮眠室で配信させてもらえたり、いろいろ環境が変わりました。たとえ仕事が大変でも、自分には配信があると思えたらがんばれたし、配信の時間が楽しいから疲れもすっ飛ぶし、気づいたときには完全に負のオーラが消えてました。

トライアンドエラー

―心身ともに準備が整って、いよいよトップバナーチャレンジを迎えるわけですね?

実際はそこからが大変でした。
いまさらですが、上をめざすライバーさんはデビュー前からフォロワーを増やして、トップバナーチャレンジまで計画立てて準備を重ねている方が多いと聞いて。当時アリシアはフォロワーがまだ200人くらいだったから、焦って「入室耐久」企画とか枠回りを始めました。

さすがに付け焼刃の対策ではそれほど効果はなかったものの、トップバナーチャレンジは29位とものすごくいい結果がいただけました。けどそれは、いつも来てくれてるリスナーさまがものすごくがんばってくださった成果なんですよね。
だから皆さまも疲れ果てて、イベント後は足が遠のいたり、来てくれてもとても応援を望める状態じゃなかったりで、せっかくランクを上げていただいたのにキープできませんでした。

どうしよう、アリシアは何をすればいいんだろうってもうパニックで。初の低迷期でした。それでもとにかく人を増やさなきゃだから、トップライバーさんたちが何をやっているのか見に行ったり、話を聞いてくださった方のアドバイスを参考にしたりして、まず長時間配信をやることにしました。

新しい方が来てくれて、話しかけることでたくさんの方と知り合えたし、盛り上がりスコアが上がって注目されやすくもなりました。同時に、人が来やすい時間帯を自分の中で検証したり、リスナーさまからもいろんな意見を聞いたりしながら試行錯誤して、自分の生活や仕事を踏まえて最適な配信スタイルを探っていきました。

ルールがくれたもの

―いろんな意見を聞きながら、ご自身でもとことん考えて検証する。日々の積み重ねが大切ってことですね。

あと枠づくりの面でも大きな変化がありました。
あるリスナーさまが勇気を出して伝えてくださった言葉がきっかけでした。
「アリシアは見た目が可愛いし、がんばればもっと上をめざせると思う。でも枠の雰囲気が良くないから、どうしても居づらくなって抜けてしまう」って正直に話してくれたんです。

確かにそのころは枠にルールを設けてなくて、必要かどうかもわかっていない状態でした。だから小ばかにしたような過度ないじりとか下ネタとかも日常的で、センシティブなコメントを不快に思われる方も多かったんだろうなって。
けど嫌だと思ってても直接本人には言いづらいものじゃないですか。それでも言葉にしてくれたのは、アリシアのことを本気で考えて、応援してあげたいって気持ちがあるからで。その期待と覚悟に感謝しましたし、そういうリスナーさまを大事にしなきゃと思ったんです。

それでプロフィールにも記載しているようなルールを設定しました。ルールをうたうからにはもちろんその理由と自分の覚悟も明示するべきなので、本気でトップライバーをめざすこと。そのためにはたくさんの人に支持してもらえるような枠にしたいし、多数の人にとって居心地の良い環境を守りたいってことをきちんと伝えました。

それでいなくなってしまった方もいるけれど、アリシアを心から応援してくれる方が残ってくださって。以前はみんな自由にわいわい楽しんでいたのが、そこからは全視線がアリシアに集中している感じがしたんです。話がスムーズに伝わるようになったし、リスナーさまとも距離が一層近くなりました。

目標設定もより具体化して、チャンスがあったら狙うとかではなく、いつまでにどうなりたいのか。そのためにガチで走るのはどれくらいの頻度になるのかをきちんと計画立てて開示するようになりました。
計算の得意なリスナーさまがランクキープの方法について細かくアドバイスしてくれたり、先回りして計画をブラッシュアップしてくださったりした結果、想定より早く目標達成できたんです!

いざ名古屋!!!

―枠の一体感ですね。特にその成長ぶりが感じられた瞬間というと?

瞬間ではなく、ふたつのイベントを通して感じられた話になりますが、名古屋のえきポスですね。
デビュー半年くらいのころ、いわゆる「掲載系」と呼ばれるイベントに初めて参加したのが「えきポス!-JR 名古屋駅-」でした。名古屋を選んだのは、日本全国の方と出会えるIRIAMなので、どまんなかの名古屋ならたくさんの方が見に行きやすいと思ったからです。

そのころにはSランクまで上げてもらっていたからある程度自信もついていたし、枠の一体感もあって、とにかくみんなで全力を尽くして挑みました。
結果として驚くくらいの自己ベストをマークできたのですが、それでもまるで入賞に届かなくて......これがSランクの洗礼かと。みんなでがんばってここまで成長したのに、まったく歯が立たない。嬉しいのに悔しいという複雑な気持ちで、涙が止まりませんでした。
同時に、これは本気でがんばれってことなんだなと。この経験を糧にしてもっと高みをめざそう。「いつか絶対名古屋でリベンジする!」と宣言して、気を引き締めました。

そうはいっても名古屋のイベントがいつ来るかわからないので、まずは目の前の課題をひとつひとつクリアしながら過ごしました。そのうち自分の誕生日が近づいてきて。3月11日なのですが、ちょうどその日が月曜でラストランになるから、もしその週に何か掲載系イベントがあれば必ず出ると話してたんです。
そしたらまさかの名古屋駅のえきポスが告知されて、もうこれは運命だって思いました。絶対に名古屋で、バースデー当日に1位をとる! ってみんなで誓い合ったんです。

偶然が重なって、これまでの積み重ねにみんなの強い想いも重なって、願い続けた夢がかないました。思い出しても泣けてきちゃいますね。史上最高の誕生日プレゼントをいただいた瞬間でした。

成長に<ウルトラC>はない

―ドラマチックですね。それでも前回同様に厳しい戦いだったかと思われますが、勝利を導いた要因として何か心当たりはございますか?

シンプルに、あきらめなかったことですね。
成長の過程にウルトラCはなくて、枠の環境やリスナーさまとの良好な関係値をいかに維持し続けるかってことがすべてだとアリシアは思ってるんです。

何より日々の試行錯誤が大事で、毎日いろんな人と接していれば、決して楽しいだけじゃない出来事も起こるし、メンバーもどんどん入れ替わる。めちゃくちゃ仲の良い人がぱったり来なくなることだってざらにあるし、そのたびめちゃくちゃ辛くもなります。
でもこれがネットの世界だと理解して、自分に「大丈夫、何とかなる」と言い聞かせて、弱音を吐かずに前を向く。ぶれずに自分の理想を追う。追い続ける。

自分の、アリシア・ルノワールの成長のためではあるけれど、その姿をちゃんと見てくれて、ついていきたくなったと言ってくれたリスナーさまも少なくないんです。

だから自分のことを信じて、IRIAMのトップライバーになる。IRIAMの看板になるような、毎月表彰される「MONTHLY IRIAM AWARD」で顔を知られるようなライバーさんとかですかね。そういうのを大きな目標としてめざしながら、目の前のイベントにチャレンジし続けたいと思ってます。

―最後に、配信デビューをめざしている方々に何かメッセージをいただけますか?

キラキラしたライバーさんを見ていると、自分もすぐにそうなれると思ったり、チヤホヤされる毎日を過ごせる気がしたりするものですが、SNSでもそうだけど、心ないことを言われたり見えない不安に追い込まれたり、この世界の「現実」はなかなか大変です。

そんななかでも、ネガティブな一面ばかりじゃなく自分にとってプラスになることに目を向けられるかどうか。誹謗中傷の声が耳に突き刺さっても、どこかで聞こえるエールに気づくこと。それがどんなに小さな声でも、そっちを信じて強く生き抜くこと。
これって簡単なようで、ものすごく努力が必要なんです。けど本当に大事なことだから。何でもいいから自分が前向きになれるものを見つけ出して、好きなものを信じて、どうか止めずにライバーを続けてほしい。

自分で見つけられなくても、IRIAMはリスナーさまが教えてくれるから。アリシアも「よくそんなおもしろい発想ができるね」って一言に後押しされて、企画するのが好きになったし、次は何をしようって毎日ワクワクする幸せなマインドになれました。あのブラックな日々が嘘みたいです。

同じように、アリシアの配信を通して元気になってくれる人がいる。誰かの辛い日々を少しでも癒せてることが嬉しいし、それが自信にもなっています。あなたもきっといまより強く、なりたい自分に近づけるはず!

自分の理想の姿をめざして、あきらめずに続けていれば必ず夢は叶うとアリシアは信じています。一緒にがんばっていきましょう!

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