INTERVIEW

 

シュウSyuu

赤髪の錬金術師。雑談メインで、歌枠やオリジナル企画で盛り上がる和気あいあいとした雰囲気が特徴的。たまに母親代わりのオネエ・シュウママも登場する。IRIAMデビューは2021年4月。まいにち配信中。

誰にも嫌な思いをさせない配信。簡単なようで、これほど難しいことはない。

どんな虚構も真実に〝交換〟しうるこの世界にあって、光輝く高みへと続く目先の階段よりも、皆が安心安全に進めるなだらかな道を迷いなく選べる人。リスナーを中心に、配信者としての在り方や周囲の状況、機能やタイミングなど、配信を構成するさまざまなエレメントを独自の錬成陣に当てはめ、持てる力を無理なく最大限発揮する、凄腕のやさしい錬金術師・シュウ。

そんな彼がこの先一体どのような錬成を果たすのか。静かに見届けたい。

感謝感謝の初配信

―配信を始められたきっかけを教えてください。

「配信者になるぞ!」みたいな強い意志があったわけじゃなく、趣味を増やしたいな、何か新しいことにチャレンジしたいな、配信っておもしろそうやな、みたいな軽いノリで。たまたまいまの事務所がライバー募集してるのを見て、応募してみたんです。
というのも自分で立ち絵を手配する方法がわからなくて。事務所やったら立ち絵を用意してくれて、いろんなことも教えてもらえるしええよなってくらいの感覚でした。

ほんま何も考えずに飛び込んだんですけど、幸いにもオーディションに受かって、配信できることになりました。立ち絵はいくつかの候補があったなか、いまのキャラと運命的に出会って(笑)。一緒にいる黄色いモフモフした子もかわいくて、もう即決でした。
さっそくIRIAMのアプリを入れて「うわー、ほんまに立ち絵一枚で動いてる!」って、衝撃ですよね。バーチャルって初めてやったから何もかもが新鮮でした。

それから何人かの配信を見て、大体こんな感じってつかめた段階で、よし配信してみよかと。そのころはデビュー前にフォロワー集めるとか枠回りの文化とかもなかったし、事務所からも環境が整い次第、いつでも配信していいと言われてたので。

それでいざ初配信となったら、大誤算。そのとき使ってたスマホに顔認証機能がついてなくて、配信開始と同時に立ち絵がびゅんびゅん瞬間移動しちゃったんです(笑)。これはあかんと一旦幕を閉じて、すぐさま友だちにスマホを借りに走って再開しました。

そんな状況でもリスナーさんがやさしく迎えてくれたり、同時期に配信を始めた人たちも集まってくれたり。ギフトやスターはもちろん、経験豊富な方々がIRIAMのレクチャーをしてくれたり、コメントがあふれそうになると自発的に交通整理してくれたり。人に恵まれながら何とかやりきったというのが初配信の思い出です。

涙、涙の初イベント

―それは忘れられない思い出ですね。配信環境が整ってからは順調にいきました?

そうですね。順調というか、始めたてのころはめちゃくちゃ配信してましたね。デビューしたてで注目が集まる期間にたくさんの人と出会いたかったし、大勢で盛り上がることでさらに注目されてという良い循環が生まれてたこともあって、余計ビギナーズハイになってたのかな。

もともとトップバナーチャレンジが登竜門やと聞いていたし、そこが次なる目標ではあったんですけど、その前に開催された達成型のイベント「限定ギフトを手に入れよう! (限定背景:木漏れ日の部屋)」に出たんです。

まだ早いかなとは思ったんですけど、その限定背景がどうしても欲しくて。特に企画はやってなかったと思うので、たぶん配信量とかじゃないですかね。無事に達成できたときには、嬉しすぎて泣いちゃった記憶があります。その背景は「俺の実家」として、三年経ったいまでも大事に使わせてもらってます。

初めて企画をやったのはトップバナーチャレンジですね。オネエ枠とかホスト枠とか、雑談の延長みたいなものですが、自分なりに考えていろいろやりました。おかげさまでリスナーにも好評で、いまはキャラとして確立しているシュウママとか、いろんな企画のベースがこのとき生まれた感じです。

トゲトゲ期を越えて

―イベントに参加されてみて、普段の配信との違いや発見はありました?

楽しかったですね。走り切ったという達成感があったし、リスナーさんの反応も良くて、それを見てこっちのテンションもまた上がってと、どんどん配信が楽しくなっていきました。

性格も変わったように思います。最初はなんも自信がなかったけど、みんなが応援してくれて、その声が次第に大きくなっていくうちに、これほど応援されながら自分に自信を持てなくてどうするんって思えてきて。

イラストレーターさんにも最高の姿をもらったんやから、顔は間違いなくいい。俺はかっこいいんやって、ちゃんと自信を持とう。ライバーとして自分に恥じない生き方というか、みんなが楽しんでくれている分はしっかり応えなあかんって思えるようになったんです。

それとフォロワー1000人達成とか上位の事務所をめざしてたのもあって、ガチで走ることも増えました。ただ勢いとはいえ、あのころは俺かなりトゲトゲしてたなとめっちゃ反省してます。
実際、オリジナルプチギフトのイベントで二回入賞を逃して、どうしても勝ちたくて三度目に挑戦したとき、ふと「シュウ、変わったよな」みたいな声が耳に入ってきました。きっと無意識のうちにギフトを欲しがったりランキングにこだわったりしてたことが、人によっては楽しめなかったり過度な負荷を感じてたりしたんでしょうね。

結果イベントに見事入賞できたことや、上位の事務所に移籍できてみんなにも喜んでもらえたことは嬉しかったけど、一部のリスナーであってもそんな思いをさせてんのやったら意味がないなと。持ち前のなにくそ精神も発動して「そういうのなしでがんばる!」と心に決めて、楽しさ優先の配信に切り替えたんです。

もちろん勝てそうなイベントやったらがんばるけど、リスナーに無理な負担がかかるようやったらそこは引く。イベントでは目立てなくても、いろんな人に配信を見てもらえたらええよね。まんべんなく応援されて、シュウのことを知ってもらえて、みんなで楽しく過ごしながら少しずつでも大きくなっていければええよねって、それがいまも続く俺の配信スタイルです。

長い長い低迷期

―シュウさんにそんなトゲトゲ期があったとは。それは大きな転換でしたね。

イベントでもがんばる人のほうが注目されやすいし、リスナーも誇らしいだろうし、事務所にも喜ばれるとは思うのですが、やっぱり俺は人気やランキングの上昇より、嫌な思いをする人が少ないほうを選びたい。

ポーンとこの世界に入ってきた未経験者にライバーとしての生き方とかリスナーと向き合う姿勢とか、大事なことを教えてもらった事務所には、ガチで走ったときも、のんびりやってるいまも変わらず温かくサポートしてもらってます。二人三脚で三年以上も歩んでこられた大きな恩と感謝には、この先長く安定して続けていくことで貢献し、お返ししていければと考えてます。

―四年目に突入されたシュウさんのことばには重みがありますが、長く続ける秘訣というと?

秘訣どころか、トゲトゲ期の後に一回リスナーがめっちゃ減った時期や、行き詰って配信を休止したことなんかもありますよ。

そのころはまだリスナーとの距離感をつかみ切れてなくて、DMなんかでもやりとりしちゃってたからプライベートの時間がどんどん削られて、心身ともにしんどくなって。それであるとき限界が来ました。

距離感を間違ってた。やっぱり配信内で楽しんでほしいって、リスナーとの関係性を軌道修正しはじめたら、離れていく人も少なくはなくて。人が減って、あまり盛り上がらなくなって、初見さんも来なくなってと、一年間くらいの長い低迷期に突入しました。

もう何を変えればいいのかもわからなくなって、一カ月くらいだったかな、配信も休止した。でもそのとき、仲間やリスナーさんから「待ってるよ」って言葉をもらって。そうや! って。せっかくここまできたのに、待っててくれる人がいるのに、事務所にもお世話になってるのに、まだやめられへんよって思い直して、何とか復活することができたんです。

初見さん、いらっしゃい!

―復活されてから、どのようにして枠やご自身の気持ちを立て直していかれたのですか?

ずばり、ウェルカムパスのおかげです!

「初心者向け配信」の機能ができたのって、去年の9月末でしたっけ?
それまでも配信内では「IRIAM初心者が来たら、みんなでいろいろ教えてあげようね」ってのが暗黙の了解で。俺も最初みんなにやさしく教えてもらった経験があるし、恩返しじゃないけどそのIRIAMの文化を自分もつなげていきたい気持ちがあったんです。

だから独自で「初心者歓迎枠」みたいなのも定期的にやってました。スターやギフト、メンションの使い方とかファンバッジの説明とかオリジナルの挨拶とか、まさにチュートリアルですよね。リスナーはリスナーで、スターの位置をコメントのスペースを駆使しながらわかりやすく教えるとか、どんどん工夫してくれて。

あと初見さんってコメントするのが恥ずかしいとか、いきなり名前を呼ばれてびっくりしちゃう人とかが多いんですよね。だから急に慣れようとしなくていいよって。焦らず、まずはとりあえずのんびり見ていて、自分のペースでゆっくりなじんでいけばいいよってことを伝えてます。慣れる練習として、点呼をとったり挙手制で意見を聞いたりもしてるかな。

同じことを初心者向け配信でもやってるだけなんですけど、嘘みたいにリスナーさんが増えていったんですよ。さらに嬉しいのが、それきっかけで来てくれた人がフォローしてくれたり、そのままリピーターになってくれたりしてること!
10月だけで100人くらい、半年ほどで800人以上もフォロワーが増えたんです。

常連リスナーさんたちのサポートも進化してきて、OJTというのか、ウェルカムパス使用時にも積極的に参加して、こんな楽しみ方してるでってお手本を示しながら、初心者がコメントしやすい環境をつくって盛り上げてくれる。ほんまありがたいです。

あ、初心者に限らず、いまだコメントしづらいとか、聞き専から一歩踏み出すきっかけがつかめへんって人も大歓迎なので。そういう人もぜひぜひ、いつでも俺の配信に遊びに来てくださいね! みんなで待ってるよー!

これからもよろシュウ

―「初心者向け配信」の機能がシュウさんのサポートになっていたなら嬉しいかぎりです。

当たり前ですけど、配信って自分ひとりでできるものじゃないんですよね。その点、トゲトゲ期は自分だけが突っ走っていたんだと思うんです。

自分の目標やペースだけじゃなく、リスナーの人数やそれぞれの状況、想いや熱量、周りの環境......いろんなものが配信には影響する。いろんな要素のバランスが整ってはじめて配信は成立するし、バランスよく伸びていくことで真に成長できる。どれかが足りないなかで無理に進もうとすると、どこかに大きな負荷がかかってぶっ壊れてしまう。

右肩上がりで伸びていったころは落ちることなんて考えてなかったというか、変な言い方ですけど「落ちぶれるシュウなんて見たくない」って気持ちが大きかったんですよね。
それで言うと、いまはコミュニティランクこそ高くないですけど、配信環境やバランスはものすごくいいぞって実感してるし、自負もしてます。

そうそう、久しぶりにランキングイベントにも参加しました。
去年12月の「背景フェスタ~隠れ家~」で、ほぼ一年ぶり? ほんとは出る予定じゃなくて、現実的にいまの実力ではやめといたほうがいいよなって思ってたら、リスナーから「出たらいいやん」って言ってもらえて。

めちゃくちゃ嬉しかったけど、もう心臓バクバクで。出るからにはやっぱり勝ちたいし、負けたらリスナーに申し訳ないしで、正直めちゃくちゃ怖かった~。無事入賞できて、その次の猫背景の2月背景フェスタでも入賞できて、泣きたくなるくらい嬉しかったです。

幸せの錬金術師

―リスナーさんとのコミュニケーションや伝え方で工夫されていることはありますか?

失敗談でも言いましたが、距離感はほんとに大事。配信内でわちゃわちゃふざけたりはするけど、絶対に触れてはいけないラインは知っておく。コンプライアンスというよりは、個々のコンプレックスとか生活環境とかをきちんとインプットしといて、誰かにとってネガティブな話題をその人がいる場では決して触れないとか。

そのためにもよくメモしてました。あと俺、ファンバッジをとってくれた人に毎回あだ名を贈ってるので、その人らしい名前を考えるためにも細かくメモをとるのが癖になってるかもです。

伝え方で言うと、できるだけ多くの方に届くよう話す。たとえば、ゲームの話をするときは特定のタイトルについて語るのではなく「みんなそれぞれ自分がやったことあるゲームを想定して考えてみて」とか。リスナーが増えるほど全員に共通する話題を見つけるのが困難になるけれど、多数を優先して一部の人を置いてきぼりしないよう心がけてます。

シュウママなんかもそうですね。ただ目新しいキャラってだけじゃなく、美容や健康、恋愛トークとか、シュウママだからこそ盛り上がれる話題があるし、リスナーさんからの要望も強くて。こっちもやるからにはちゃんと応えたいから、メイクやコスメの最新情報なんかを検索しまくって、何とかついていってます(笑)。

昔はリスナー同士の相性とかも気にしてたけど、おかげさまでいまは民度が高いというか、みんな精神的に大人だし、リスナーも俺と同じように居心地よい配信になるよう気を付けてくれているのがわかる。ほんまリスナーに恵まれてて、それが最高に自慢です。

―最後にこれからの目標と、配信者をめざしている方へのメッセージをいただけますか?

いまは男性ライバーも多くなってきたし、コミュニティランクやイベント経歴からも「IRIAMの男性ライバーといえばシュウ!」とならないのはわかってるんですけど、配信環境も精神的にも日々ベストってくらい安定してるし、いまのバランスをうまく維持しながらじわじわ上をめざして、たくさんの方に認めてもらいたい!

って、イルミナリーに出演できてるだけで十分びっくりなんですけどね。これからもイベントや強さだけでは測れない、オンリーワンのライバーとしてたくさんの人にシュウのことを知ってもらいたい。もっと成長して、また〝IRIAMの顔〟として起用されて、みんなにも喜んでもらえたらいいなって思ってます。

ライバーをめざす方には、とにかく継続すること。この三年、自分より実力ある人がどんどんやめていきました。けどそんな自分がいまイルミナリーに出演できてます。続けてたからこそ到達できた地です。みなさんもどうかあきらめずに続けてみてください。

あと、配信に対して真摯でいてほしい。残念なことに、Xとかを見てるとしょっちゅう配信者の不祥事なんかが流れてきて、毎回がっかりしちゃうんですよね。ひとりひとりが自覚や責任をもって配信することが早く当たり前になって、Vの世界全体が住みやすくなればなと思ってます。一緒にがんばっていきましょう!

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