INTERVIEW


碧葉リアAoba Ria

声で奏でる多声類。退屈だった太陽国を脱け出し、2021年12月にIRIAMデビューを果たす。雑談や歌枠、声を巧みに使ったお芝居などでリスナーを楽しませながら、まいにち元気に配信中。

多声類というように、碧葉リアはさまざまな声を巧みに使いこなす。けれどそれは発声法やトレーニングの成果だけで得られた能力だとは思えない。目の前にいるリスナーを喜ばせたくて、相手が望む言葉を、より相手の心に響く声に乗せて伝えたい。その一心で身についたものではないだろうか。

これから配信者としてますます活動領域を拡げながら、たくさんの人と出会い、求められることで、一層声域を広げ、さらに多彩な声を操っていくことだろう。元気になってほしい、ただその想いをあなたに伝えるために。

自分の声で誰かを元気にしたい

―まずは配信を始められたきっかけからお伺いできますか?

幼いころから国語の教科書や文章を読むのが好きだったんです。朗読というよりは、声に強弱をつけて、感情を込めながら書かれている内容を誰かに伝えるという行為が好きで、うまく伝えることに興味を持っていました。

その延長で声優学校に通うようになって、演劇やお芝居もやっていたのですが、学校やアルバイトとのかけもちで徐々に疲れがたまってきていて。さらにコロナ禍で活動の幅が狭まってしまって、どうしようもないモヤモヤと疲労で落ち込んでいたとき、気分転換に開いたYouTubeで、たまたま広告で流れてきたゲーム実況者さんの動画を見たらものすごく笑えて。癒されたし、元気ももらえたんです。

それでリアも同じように誰かを元気づけることができればなって。いまはリアルでの活動が制限される分、ネットのほうが発信しやすいと考えて、配信を始めたのがきっかけです。

最初はIRIAMとは別のアプリで、配信者というよりはお芝居を楽しんでる感じでした。自分で芝居の台本をつくって、仲間を集めて、みんなと一緒にやってみるというサイクルを繰り返しながら一年ほど経ったころかな。気づけばまわりが配信者ばかりで、伝えることよりも作り上げることが主体になっていたので、キャラクターでの配信に切り替えたんです。

雑談中心でしたが、芝居の練習のように声のトーンや表現を工夫しながら、発声を極めたい一心で続けてました。そしたらある日先生が、芝居がうまくなったと褒めてくださって。一気にモチベーションが上がって、配信がより楽しくなりました。
トータルで二年くらい配信したころにいまの事務所からお誘いがあって、IRIAMで活動することになったんです。

すぐにやる!

―IRIAMに移られて、何か変化はありました?

同じキャラ配信でも以前のアプリではラジオ感覚で話していたのですが、IRIAMはずっと見られている感じというか、全身が映るし、表情やしぐさも細かく伝わるじゃないですか。 ちゃんと表現しなきゃと意識して話してたら、表情筋が軽い筋肉痛になりました(笑)。

あとIRIAMの初配信は注目が集まりやすいこともあって、人の出入りやコメント量が想像以上にすごくて。配信に慣れていてもコメント全部を読み切れなかったり、返しが遅れがちになったりする自分がもどかしかったです。
ただその勢いも最初だけですぐに落ち着いたし、目の前にはトップバナーチャレンジという目標があったので、そこに向けてまいにちコツコツ積み上げていきました。

日々来てくれるリスナーさんを飽きさせない企画を考えたり、どういった枠が人気なのかを研究したり。事務所も立ち上がったばかりでリアと同じ〝初心者〟状態だったので、サムネイルの作成からXの告知、特典の設定まで、とにかく全部自分で一からやりました。

デザインは未経験だったけれど、自分でも扱えそうなソフトを探して、いろんな人のアイコンリングやヘッダーを見て「文字の感じはこれがおしゃれ」「この色使いがすてき!」って好きなイメージを目に焼き付けながら、リアらしいデザインを考えて、無理でも自分でやってみる。やらずに後悔するの、嫌なんです。だから何でもトライする。思い立ったらすぐにやる。ダメなら次の手を考える。その繰り返しでできることが増えていったし、ランキングやイベントの結果にもつながりました。

あ、でも衣装のデザインだけはこだわりすぎが裏目に出ました。自分が求める要素をもれなく盛り込んだ結果、透け感のある袖とか、リスナーさんたちにファンアートで描きづらいと言われてしまって。それ以来、何に対してもリスナーさん視点を意識して考えるようになりました。

地道なアップデートを大切に

―トップバナーチャレンジを含め、デビューから順調にステップアップされてきた印象でしたが、そのような時期もあったのですね。

自分では、当初も、いまも、順調だと思ったことなどないですし、ランクをキープするのは毎回ものすごく難しいです。
うちの枠がどうこうではなく、そもそもリスナーさんってライバーのランクにこだわりがあるわけでも、ランクを上げてほしいとも思ってないだろうし、むしろライバーのことを気遣って「無理してがんばらなくていい」と思われる方のほうが多いんじゃないかなって。

かといってライバーがギフトを強要するのは違うと思うし、リア個人のこだわりとしてもそこは絶対NG。リスナーさん、特にいつも来てくれる常連さんたちを疲弊させたくないから、できるだけ初見さんを増やせるよう長時間配信をして、少しでも多くの人と出会えるようするとか。注目度を高めるために、盛り上がりスコアが上がるような配信をめざすとか。地道な努力の積み重ねでアップデートしていくことが大事なんです。

イベントも、ランクキープや配信を長く続けていくうえで欠かせない要素ですよね。
前のアプリではイベントに参加したことがなかったので、トップバナーチャレンジが実質初イベントでした。刻々と順位が変わって、その夜1位でも翌朝起きたら3位になってたり、ほかの枠の動きやイベントポイント状況が気になってうずうずしたり。なんだか運動会みたいだなって(笑)。

それにリア、もともと数字が嫌いで。算数も嫌いだし、数字に追われるのが苦手で、順位付けされると勝たなきゃって焦っちゃう。だからイベント期間中は緊張しっぱなしだし、怖いし、順位が下がるともうダメだぁって気持ちもどん底まで落ちる感じです。

けど翌朝起きたら復活して「よしがんばろう!」ってなる。立ち直りが早いんです。
ただそれでもトップバナーチャレンジはものすごく悔しかったですね。ずっと1位をキープしていたのが、最後の30秒で2位になっちゃって。終わった直後は枠自体が呆然としたし、疲弊もしました。でも絶対リベンジするぞと誓って、次の目標、オリジナル背景・イラストギフト・オリジナルプチギフトの3イベントでの勝利をめざして気持ちを切り替えました。

夢が叶った日

―これまで長く配信を続けられているなかで、いちばんの思い出というと?

「えきポス!-JR 名古屋駅-」です。「えきポス!」はデビュー前からずっと大きな目標としてめざしていたし、ちょうど一周年を迎える時期の開催で、もともと名古屋にゆかりもあってと、特に思い入れの強いイベントでした。
みんなも十分わかってくれていて、一緒にがんばろう、絶対に勝とうといつも以上に応援してくれて、見事1位まで押し上げてくれたんです。夢が叶った瞬間でした。

以前リアの知り合いが、自分が掲載されたポスターを4、5回は見に行ったというお話をしていたのですが、実際にリアも嬉しくて、何度も何度も見に行っちゃいました。
そしたらリアのアクスタを持って見に来てくれてる人がいて、喜びと驚きであたふたしながら、ばれないようにこっそり影から見てました(笑)。

Ⅴの世界に疎くて、IRIAMのこともアニメだと思っているような家族も見に行ってくれて、わからないなりにリアが関係したものが大きく貼りだされていることを喜んで、よかったねって言ってもらえたのも嬉しい記憶のひとつです。

イベントで勝つことだけが目的じゃなくて、勝った先にあるもの......みんなの強い想いややさしさを改めて実感したり、枠の一体感が高まったり、新しい出会いがあったり。しみじみ感謝しながら、また次の目標に向かって進んでいく感じですね。

絶対に止まらない

―それが一周年。その後もずっと安定して配信を続けていらっしゃるイメージがありますが、何か秘訣があれば教えていただけますか?

安定なんて全然です。たしかに周りからはリアが一定のランクを安定キープしているように見られがちですけど、自分の中では活動としても精神面でも浮き沈みは大きいんですよ。

思ったようにいかないことも多いし、そのたびに配信スタイルを変えたほうがいいのかなとか、ランクをあきらめたほうがいいかなとか、葛藤だらけです。
それでも止まることはしません。リアは自分が一度でも足を止めてしまったら、二度と同じようには歩き出せないことがわかっているから。いくら悩んだりへこんだりしても、止まってはダメだっていつも自分に言い聞かせてます。

それに、自分でがんばって何とかなる分にはいくらでもがんばれるから。けれど悩んでいるのがリスナーさんのほうだったらそうはいかないので。いつも来てくれる人たちが困っていたりへこんでたりしたら助けてあげたいし、元気にしてあげたい。でももう疲れたから一旦止まろうよと言われても、そこは一緒にとどまってはいけない。リア個人としての気持ちと枠を引っ張るライバー・碧葉リアとしてやるべきこととは違うから。

リアのことを想って休もうと言ってくれるやさしさにはちゃんと「ありがとう」を伝えて、でもリアは続けたいから止まらず行くねって、やりたいことをしっかりやる。その判断を間違えないよう、配信にかける想いを大事にまいにちを過ごしています。

固定観念を溶かしてくれた
リスナーとのコミュニケーション

―その結果が長期にわたる配信継続やランクキープ、コミュニティ形成などにつながっているのですね。

やってみるとわかりますが、配信もランクキープも継続するのはほんとに難しいです。
まいにち配信バッジを失いたくないから、どんな状態でも、たとえ出先でも、必ず最低30分の配信時間を設ける習慣が身についちゃってますもん(笑)。
バッジの話だけで言うと数秒枠を開けるだけでもよいのですが、リアはそういうの嫌なんです。いくらキープ目的であっても正しくありたいから。

さっきの「やるといったらやる」とかもそうですけど、もともと頑固なんですよね。我が強いというのか、自分を曲げることが嫌いというか、一度決めたことは意地でもやる。たとえ体調が悪くても、スキップパスが使えても、やるといった日は絶対にやらないと気が済まなくて。

それでも、配信を通してイベント経験やみんなとのコミュニケーションを経て、徐々に変化しました。固定観念でこれはやらない、あれは嫌だと否定するのではなく、まずはやってみる。それが、やってみたら楽しかったり、自分も成長できたりする。
たとえば、Xの「#IRIAMメンテ中のフォロー祭り」投稿。最初は目先のフォロワー稼ぎだと敬遠していたのですが、やってみたら自分のことを知ってもらえる良い機会になったし、リアのつくった素材をたくさんの人が喜んで使ってくれた。やってみてよかったなって。

だからリスナーさんたちにもよく希望や意見を聞きます。どんな歌が好き? 特典には何が欲しい? どんな企画なら楽しい? って。
普段の会話の中でも、自分がダメだと思ってたことをみんなはいいと言ってくれたり、逆にいいと思ってやってたことがそれほど響いてなかったり、いろんなことに気づかされます。それくらいみんなフランクに本音を言ってくれて、友だちと話す感覚でわいわい楽しくやりとりができる。それも長く続けられている理由だし、配信のモチベーションにもなっています。

活動の幅を広げる

―すてきなコミュニティを築かれているなか、今後の目標というと?

自分のことをずっと見続けてくれているリスナーさんたちに、もっと喜んでもらえそうな配信を考えて、実践すること。リア、めちゃくちゃ記憶力がいいんですね。街なかですれ違った人の顔も忘れないくらいで、みんなのアイコンやXの投稿はもちろん、半年・一年前のふとした話も覚えてます。

だから一度でも来てくれたら必ず覚えているし、リスナーさんひとりひとりがどういう人で、どんな状況だってこともインプットしてるので、たくさん話せるんです。そういうモノではないファンサービスというか、一対多であっても一対一のつながりを大事にしながら、リアならではの枠づくりを極めていきたいですね。

もうひとつはYouTubeでの活動です。IRIAMと違って、YouTubeは個人個人とのつながりやコミュニケーションではなく、自分のやりたいことやできることをコンテンツとして見せる場というイメージかな。
IRIAMでの配信で培ったXの運用や宣伝活動、画像作成や動画編集のスキルを活かせるし、 これまで学んできた声の演出や芝居経験を駆使して、たくさんの方に見ていただきたいと思っています。

どこまでできるかはわからないけれど、IRIAMでの配信とYouTubeでの発信を両立させながら、当初自分が配信を見て元気になれたように、リアの配信を見てすごい、楽しい、おもしろい、癒されるって、受け止め方は何でもいいからとにかく元気になれて、明日もがんばろうと思ってもらえたら嬉しいし、そうなれることがいまの大きな目標です。

―ますます活躍の場が広がりそうなリアさんから、配信デビューをめざされている方々にメッセージをいただけますか?

まずはやってみること! やってみたうえでは、他と自分を比べないことですね。周りと比べて自分は全然ダメだとあきらめたり、せっかく最後までイベントを走りきれたのにあの人に負けたといつまでも引きずったり。リスナーの数の増減やリスナーをとった、とられたという話とかもそうですが、どうしてもネガティブになりがちなんですよね。
人と比べてどうなのかより、自分自身の強みを大事にして、良いところを伸ばしていってほしいなと思います。

最初はリアも負けたら悔しいし、勝つことにこだわっていたのですが、日ごろから注目していた人気ライバーさんたちが、たとえ負けた後でも、どんなに疲弊していても、真っ先に、みんなに「ありがとう」って感謝を伝えてるのを見て、自分もこうなりたいって思ったんです。
だって、みんなの力で入賞させてもらってるのに不満を漏らす人と、感謝を忘れず一緒に喜べる人。誰だって後者を選びません?

それにギフトより何より、人に平等に与えられている限られた時間を自分のために使ってくれるリスナーさんのありがたさを忘れちゃいけないと思うんです。「まいにち来る」ってことが、ただの習慣でもなければ決して当たり前にできることでもないこと。ものすごいことだってことを常に感謝しながら、配信を楽しんでいただけたら嬉しいです。

リスナーのみんな、いつも本当にありがとう! これからもよろしくね!

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