声を届けたい
―配信を始められたきっかけを伺えますか?
何か好きなことで毎日を埋めたい、何か夢中になれるものを見つけたいって漠然と考えていたころ、インターネットを中心に活動されている、ある歌い手さんの歌と出会ったんです。まず歌にはまって、配信も見るようになって、その方の歌や声だけじゃなく、お人柄にもすっかり魅了されて。自分もやってみたい。自分も配信を通していろんな人に知ってもらって、声で人を魅了できたらいいなと思ったのがきっかけです。
そもそも自分の声を意識したのは小学生のころで、みんなの前で歌ったとき、先生が「天使の歌声みたいね」といってくださったのがものすごく嬉しくて。いまでも鮮明に思い出せるくらい、ずっと大切にしている記憶です。
中学に入ってからはダンスにも興味が出てきたので、専門スクールに通いながら歌やダンスのレッスンを受けていました。いま思えば、それが原点になっているのかもしれません。
配信はIRIAMとは別のアプリで始めました。でも、私は雑談というか人と話すことが苦手で、せっかく遊びに来てくれても自分からうまく話を切り出せなかったり、リスナーさんから話題を振ってくれても満足に返せなかったり。そんな調子だからなかなか人が集まらず、ほんの数人の方とお話しするだけの日々でした。
見つけた自分の居場所
―苦手な雑談だけではなく、いまのように得意な歌で場を盛り上げるようなことはされていなかったのですか?
当初は「配信=雑談」という認識で、配信で歌枠をやる発想はありませんでした。歌の配信というと「歌ってみた」動画みたいに完成されたものを視聴するイメージだったので、ライブ配信で気軽に歌うことにニーズがあると思わなくて。
あと、IRIAMで配信を始めたら、同じ雑談でもリアルや少人数での配信とはまるで感覚が違ったんです!
リアルでの雑談となると、自分がどのタイミングで話せばいいのか悩ましかったり、自分の発言で相手の気分を害さないか不安でうまく話せなかったり。特に少人数だとひとりひとりの感情や表情の変化がはっきり見えるものだから、余計しゃべりづらくて。
でも配信だったらリスナーさんがどれだけ自由に話しても、コメントが一列に並んで常に「一対一」のコミュニケーションができるから迷わないし、人の細やかな表情やしぐさも見えないから怖くない。
それだけでも気持ちが楽なのに、IRIAMは可愛いギフトや歌を盛り上げてくれる弾幕でリスナーさんとコミュニケーションがとれるし、歌っていても立ち絵のジェスチャーで想いや楽しさを表現することができます。いちいち言語化しなくてもリスナーさんと想いが通じるのはすごく助かるし、雑談に苦手意識のある私でものびのびと〝対話〟が楽しめるんです。
雑談に限らず、普段の自分ではできないことが「ひとみけ」ならできる。「声で自己表現する」「声で想いを届ける」という、もともとやりたかったことがIRIAMで実現できてる。その感覚が何より楽しくて、ワクワクするんです。
だから雑談は苦手でもライバーは自分に合っている。IRIAMは自分の大事な〝居場所〟だって思ってます。
自分のことは自分で
―嬉しいお言葉をありがとうございます。ギフト担当者が喜ぶと思います(笑)。
ちなみにIRIAMで配信を始められた経緯は?
前のアプリでなかなか人が来ない状態が続いて、もっと人を増やしたいと思っていたとき、配信仲間のひとりが事務所に所属してIRIAMでデビューしたのを機に、自分も環境を変えて再出発してみようと同じ道を選びました。
まずは立ち絵の準備から。イラストに関してはまったくの初心者だったけれど、自分のことは自分でやりたい性格なので自作にチャレンジしたんです。自分の好きなように、細部までとことんこだわりたくて、80時間かけて何とか納得のいく立ち絵を完成させました。
キャラに関しては自分の声にぴったり合う姿にしたかったので、配信仲間に「ひとみけの声」のイメージを聞いて、それをもとに肉付けしていく方法をとりました。たとえば「大人っぽさ7割で子どもっぽさが3割」とか、カラーはイエローっぽい感じとか。自分では思いつかないアイデアや視点がとても新鮮で、意外な発見も多かったのですが、できあがった姿はとても自分になじむというか、自分自身でしかない唯一無二のキャラで。思わず「やった!」って感じでした。
ただイラスト配信機能のバージョン違いについてあまり理解できてなくて、Ver.1なら動くものをずっと Ver.2を使ってて、やっぱり初心者が作るとうまく動かないなと思いながら一年間過ごしていたんですけどね(笑)。
100曲耐久歌枠 爆誕!
―未経験で立ち絵が作れちゃうってすごいですね!
そんなゼロからの出発で、いまやってらっしゃるような歌枠や定番企画にはどのように行き着いたのですか?
歌枠についてはIRIAMで配信を始めてすぐに。
というのも、初配信に来てくださったライバーさんたちに「歌枠ってどうですか?」と尋ねたら「需要あるよ」「やってみなよ」って声が多かったので、最初は半信半疑でしたが(笑)試しにやってみたって感じです。
そしたらやっぱり雑談より歌枠のほうがしっくりきたというか、自分が心地よく過ごせたし、みんなも喜んでくれて。「歌枠・歌枠・雑談」というローテーションで配信するようになりました。
定番の100曲歌う企画については、トップバナーチャレンジが最初だったと思います。たぶん(笑)。
リスナーさんにトップバナーチャレンジで何をやりたいかアンケートをとったときに「100曲耐久やってみれば? インパクトあっていいんじゃない?」ってアイデアをもらって。ノリでほんとにやってみたというのが最初です。
結果、時間切れで泣く泣く90曲で終わってしまったのですが、体力や喉の状態ではまだまだいける感覚で。なにより枠がいままでにない盛り上がりで、リスナーさんからも予想をはるかに超える応援をもらえて。自分のがんばりがちゃんとリスナーさんに伝わってる。がんばった分だけ応援してもらえるんだと初めて実感したのもそのときです。
それ以降は月一回のペースで、本気で入賞を狙ってイベントに挑戦するようになりました。夢中でがんばっているとほかのライバーさんの強さや勢いに触発されて「絶対に負けたくない」って想いがどんどん強くなってきて。もっとがんばりたい! もっと応援してもらいたい! もっと勝ちたい! って、配信へのモチベーションが一気に高まりました。
初めて伝えた 熱い想い
―100曲耐久歌枠でエンジンがかかった感じですね! そこからは順調な道のりでした?
それがまったくで。イベントに出て、みんなでめちゃくちゃがんばって、勝たせてもらって、入賞してランクも上がるのに、次のイベントまでの期間でずるずるランクが落ちていってしまう。毎月この繰り返しになって、初見さんが一人も増えなくなって、もう行く先には暗闇しか見えないという日々が長く続きました。
いまの自分だったら、もっとイベントに出ればいい話だってわかってるんですけど、当時は「イベントは月に一度参加するもの」で、それ以上は欲張りだと思い込んでいたんです。だからなんで自分だけ伸びないのか、どうしたら初見さんが来てくれるのかがどうしてもわからなくて。追い込まれて、自分だけじゃどうしようもなくなって、みんなに相談したんです。
「もう限界なんだ」と涙する私にみんなが温かく寄り添ってくれて。それで少し勇気をもらえて「応援してくれる仲間を増やしたいんだ!」ともっと言葉にして伝えながらがんばってみようと思ったんです。
その想いを感じて、実際にそこから前向きにがんばった姿を見て、ひとり、またひとりとみんながいつも以上に熱く応援してくれました。
初見さんも来てくれるようになって、またその人が長居したりリピーターになったりしてくれて「仲間が増えた!」と明確に実感できた回があって。それでようやく目の前に一筋の光が差して、ミライへの希望がはっきり見えた気がしました。忘れられないターニングポイントです。
ポジティブが連鎖するとき
―すてきなエピソードですね。
それで具体的に何かを変えられたとか、周りが変化したようなことはあったのですか?
そこから「イベント入賞後にランクを落とさない方法」について必死で研究して、入賞をめざして全力でがんばる週を月に一度から二、三回へと増やしていきました。そうは言っても、参加回数だけを増やして負け続けてしまったら余計に疲弊するだけなので「負ける試合はしない」ことを前提に、過去例から入賞ボーダーを細かく分析するなど、イベント選びには慎重を期しました。
そのころには120曲に増やして月一回ペースで開催していた耐久歌枠を週二回まで増設したり、そもそも「歌・歌・雑談」だった配信をすべて私が全力を注げる「歌枠」に特化したり。同じ耐久企画でもみんなが飽きてしまわないよう、季節や曲調に合わせて背景や衣装を変えてみたり、歌詞の中に出てくるモチーフに合わせたギフトを贈ってもらったり、あれこれ工夫を凝らしました。それで毎月「いまの実力よりもほんの少し上」をめざし続けて、徐々に力をつけていった感じです。
ランクが上がっていくと気持ちも上がって、まいにち前向きな気持ちで配信できました。自然と枠の雰囲気も明るく、どんどんノリもよくなって、自分にとってもみんなにとっても枠が最高に盛り上がって楽しめるようなスタイルが確立していって。そしたら注目タブに掲載されたり初見さんが徐々に増えてきたり、いろんな相乗効果が生まれてますます伸びていきました。
その集大成が「IRIAM Birthday -October-」イベントです。絶対に1位をとりたいんだ! という熱い想いで臨みました。ほかのどのライバーよりもがんばるんだと、期間中には120曲耐久などの大型企画を6回も詰め込んで700曲近く歌いました。みんなへの声がけも熱くなったし、みんなからの想いや応援もかつてないくらい熱いものでした。けれど最終結果は2位と、過去一盛り上がったと同時に過去一悔しい思いをしたイベントでした。絶対にリベンジします!
記号的なコミュニケーション
―歌枠に特化されたとのことですが、リスナーさんとのコミュニケーションにおいて不便などはないのでしょうか?
まったくないです!
「IRIAMの醍醐味は雑談」というイメージがあるし、実際にラグなしのコミュニケーションが楽しめるすごいアプリなのですが、それはコメントに限ったことではなくて。私は「記号的なコミュニケーション」とよくいっているのですが、歌ってるときのコールアンドレスポンスとか、ギフトや弾幕を使ったほんの数秒のコミュニケーションでも十分に〝会話〟は成立するし、相手の想いも十二分に伝わってくる。イベントで一緒にがんばる、同じ方向をめざして進んでことで気持ちが通って驚くほど団結もできる。そういう非言語的なつながりや距離感が心地よくて楽しいんです。
それはみんなにも伝わっているし、似た感覚を持っている人も多いんですよ?
「みけさんの配信の姿を見れば、どんな気分かすぐにわかるよ」「イベントにかける熱い想いが歌ににじみ出てたよ」「参加表明の速さで意気込みがわかる!」とか、ほんとによく見てくれて、理解してくれてもいるんです。
もちろん私もみんなのことを、ひとりひとりのことをしっかり見てます!
アーティストがよく大きなコンサート会場でもステージ上から観客の顔がしっかり見えると話していらっしゃいますが、ほんとにそうで。どれだけ人が増えても、どれだけ遠くにいても、こちらからはしっかり見えるんです。
この人はこういう曲が好き、この人はちょっと自慢っぽい話が嫌い、この人は疲れていて癒されたい気分とか。雑談で話しているよりも相手を近くに感じる。自分の想いも歌に乗せて届けられる。歌枠はほんとひとみけには最適最高のコミュニケーション環境なんです。
史上最強歌枠に向かって
―ひとみけさんならではのアプローチですね。さらに今後の目標というと?
ひとみけは「楽しいこと」がしたくて配信をしています。配信の何が楽しいかというと「自分の得意なことを通してみんなと遊べる」ことで、それがいまの歌枠です。
数々の試行錯誤を経て、 いまではリスナーさんたちから 「輝いているみけさんをこれからも見ていたい!」 とか 「普段はみんなそれぞれのペースと心地いい距離感で自由に楽しんでいるけれど、 いざってときには心ひとつにノリ良く応援できる枠」などと言ってもらえるまでに成長しました。自分にとってもいまの配信スタイルはとても居心地がよくて、まいにちが本当に楽しい。
そんなIRIAMで見つけた自分の軸を信じて、歌を通してたくさんの仲間とつながって、みんなとノリノリで盛り上がりながらイベントでも勝ち続けて、いまよりもっともっと楽しい最強歌枠をめざして全力で遊ぶ! これがいまの目標ですね。
ほんと自分からIRIAMがなくなったら何もないなって思うくらい「ひとみけ」は大事な居場所だから。「IRIAMライバーといえばひとみけ」っていわれるくらい、みんなに知られる楽しい枠にしたいし、そうであり続けたいです。
自分らしく生きよう
―最後に、これからライバーをめざそうとしている方へのメッセージをお願いできますか?
みなさんも自分らしい配信を見つけてください。
いまある配信の型に無理やり自分をあてはめる必要はないと思うんです。つらいつらいと思いながら苦手なことをがんばろうとするよりも、 楽しい! もっとやりたい! と思いながら得意なことに向き合ってがんばるほうがずっと良い結果につながるはずだから。
そのためにはまず「自分」を徹底的に研究すること。何ができて、何ができないのか。どんなことが好きで、どんなことが苦手なのか。そしたら自分のめざすべき場所が見えてくるから。自分の得意を見つけて、自分に合った配信をして、自分のやりたいことやできることをどんどん増やして伸ばしていく。
IRIAMでみけと一緒に成長してみない?