INTERVIEW


そうにゃSonya

自身で描いたイラストで配信活動をする〝セルフ受肉〟ライバー。2021年9月にIRIAMデビュー。心をつかむ雑談や独自のイラスト企画で注目を集め、同年12月の本格活動からわずか数カ月でSランクを獲得。〝絵師〟としても圧倒的な支持を誇り、毎月100件以上の依頼をこなす。

イラストレーターとして大量の依頼をこなしながら、配信ではミリオンを達成する、異色の〝二刀流〟ライバー。名実ともに人気を誇る彼女だが、ランクや記録にはこだわっていないという。ただ目の前のリスナーや待っていてくれるファンを大事にし、喜んでもらえるよう真摯に取り組むだけ。ここまで続けてこられたのはたまたま運がよかっただけだと笑うが――。
前人未踏の〝ワーク・ライブ・バランス〟を実現する彼女のIRIAMライフ。その独創的なルールブックをひも解きます。

立ち絵依頼が生んだ
予期せぬ配信デビュー

―元々イラストレーターであったそうにゃさんが、配信活動を始められた経緯について伺えますか?

IRIAMより前の話です。私、カラオケが好きなんですが、コロナの影響でなかなか行けなくなってしまって。自宅でおもいきり歌う方法を探して、たどり着いたのが気軽にカラオケを楽しめる配信アプリでした。

なので、自分としてはただ歌って楽しんでいただけなんですけど、配信を始めて数カ月ほど経ったころから、イラストへの問い合わせが入ってくるようになって。もともとイラストレーターとしての活動は考えてなくて、リスナーさんから有償依頼の相談を受けても固辞していたのですが、私の画が好きだからぜひお願いしたいと言ってもらえて。その言葉に背中を押されてイラストを描き始めて、ランカーとしても走るという形が定着した感じです。気付けばアプリのトップ画面に掲示されたサムネイルがすべて自分のイラストだったという、まさかの状況に驚いたこともありましたね(笑)。

IRIAMでの配信は、ひとつのイラスト依頼がきっかけでした。カラオケアプリで友だちになった子がIRIAMに移行するので、立ち絵を描いてほしいという依頼を受けたんです。
それでIRIAMのアプリをダウンロードして、手持ちの自分用のイラストを使いながらいろいろ動きや仕様をチェックしてみたのが2021年の9月22日。それがIRIAMでの配信デビューです。

悩み抜いて決めた
両立の道

―なるほど。それはまたずいぶんと手探り状態でのデビューになりましたね。

そうなんです。とにかく絵の動きを確認していたら、リスナーさんたちが覗いてくれて。状況を話してテスト配信であることを伝えたら、「絵がいいのにもったいない」って。「絶対やめないで。続けて!」って言ってくれたんです。

「それじゃあ1週間だけやってみる」が2週間になり、せっかくだからバナイべまで、と成り行きでずるずる続けていった感じでしたね。そんなだからサムネイルも用意してなければ、機材もそろってなかったのですが、リスナーさんがいろいろ教えてくれたり、大丈夫だよって励ましてくれたり。そのやさしさや温もりがあったからこそ、いまの私があるんだって、しみじみ感謝です。

ーリスナーさんのOJTでバナイべまで乗り切られたわけですね。成り行きでとおっしゃっていましたが、実際IRIAMで配信してみていかがでしたか?

配信自体は楽しめたんですけど、本当に成り行き状態だったし、時期がちょうどカラオケアプリでのガチイベ期間と被っていたこともあって、バナイべに対してまともに向き合えなかったんですよね。正直めちゃくちゃ悔んでます。あの時もっと力を入れていれば、デビュー時のアドバンテージを生かしてもっといろんなチャンスがつかめてたのにって、いまだにめっちゃ後悔してます。

それで両イベントをやり切った時点で、今後どうしていくか考えてみたんです。当時はイラスト依頼も相当増えていたので、配信とイラストを両立していけるのか、そもそも配信者に向いているのか。周囲に迷惑をかけはしないかとか、活動を2カ月休止して、徹底的に自己分析しました。いろいろ悩んで考え抜いた結果、IRIAMで配信を続けようと決めたんです。

地道な積み重ねと
成長を促した出会い

―IRIAMを選ばれた理由を聞いてもいいですか?

私の描くイラストがIRIAMの立ち絵やミニキャラなんかと相性が良さそうだし、実際にIRIAMの立ち絵依頼も増えてきてました。でもそれより何より、自分の実力が試せて、自分の価値を測れると思ったことが決め手でした。

というのは、初心者向けのミッションポイントは別として、IRIAMは〝ポイント回収〟が難しいから。フリーポイントがもらえるから適当な枠に顔を出すとか、お互い暗黙の了解で訪問しあったりするみたいな設定がないのがいいなって。それがあるとなれあいの関係が生まれるだけで、自分のことを本当にいいと思ってくれる人がどれくらいいるかがわからないなって。その点IRIAMなら、数ある枠の中からわざわざ自分を選んで、私の画と配信スタイルを心から推してくれる人だけが残る。それで自分がどれだけ必要とされてるかがわかると思ったんです。

それで再開したのが12月25日でした。また予告もなく、勢いで突然始めちゃったんですけど(笑)、初配信やバナイべで出会ったリスナーさんや、カラオケアプリ時代のリスナーさんや友だちが何も言わずに来てくれたときは、本当にうれしかったですね。

―再開後、わずか数カ月でAランク→Sランクと驚きの快進撃でしたね。進化の背景には何があったのでしょう?

当初の目的は「イラストの仕事を増やすため、自身がライバー=広告塔となって配信活動すること」だったので、本格始動するからには自分の絵を広めて、買ってくれる人を増やそうと、ブランディング面の強化をめざしました。立ち絵やミニキャラの仕事を積極的に受けて、まずは実績を作ること。絵がいろんなところで公開されることで宣伝効果も得られました。

あとは最低2時間の配信をするとか、いつも決まった時間に配信するとか、定期的に達成型イベントに出て、そうにゃという存在を周知させるとか。本当に地道な取り組みをひたすら繰り返しました。

―コツコツ型の積み重ねによる成果だったとは意外でした。それであそこまでランクアップできるってすごいですね!

ランクアップに関しては、とあるライバーさんの存在が大きくて。春頃、何万人とフォロワーを抱える大人気ライバーさんが枠に来てくれて、「いまのやり方だともったいない。こうしたらもっと上のランクが獲れるのに」って、いろんなアドバイスをくれたんです。

たとえば、一週間ずっと同じような配信をするのではなく、日ごとでメリハリをつけたほうがいいとか、期間限定などプレミアム感の演出とか、細かなことまで教えてくれて。ただ私の絵が好きだからというだけで何度も来てくれて、親身になってあれこれ教えてくれたんです。

当初私はライバーよりもイラストレーターの比重が大きかったので、配信そのもののあり方にはあまり注力できてなかったんですが、とりあえずやってみようって。失敗したら失敗したで構わないと思いながら実践してみたんです。そしたら驚くほど伸びたし、配信との向き合い方も変わりました。
以来ずっと見守り続けてくれてるその方との出会いに、ほんと感謝しかないです。

完全燃焼のコンプティーク
いままでにない景色が見えた!

―これまででいちばん印象に残っているできごとは?

2022年7月のコンプティーク企画ですね。ものすごく忙しかったし、楽しかったし、大変で。あの7月は一生忘れないんじゃないかってくらい、濃い体験でした。

バナイべ以来のガチイべでどうしても勝ちたかったのですが、Sランクといっても自分にはまったく自信がなかったです。有名どころやすてきなライバーさんたちも大勢参加されたので、これは何とかギリ入賞できればいいレベルだなと判断して。過去の開催データを調べて、平均50~70万ポイントを獲得すれば入賞できそうだなと踏んで、まずはそこを目標に設定しました。

イベント期間中だけは4時間走って、配信が終わればすぐにイラストを描いての毎日でした。そのときだけは夫にも「ごめんなさい、この期間は家事が何もできない。でも絶対に入賞するから!」って宣誓して。気迫が伝わったのか、快諾してもらえました(笑)。

―そもそも達成型のイベントを選んでコツコツ型の配信をされていた中、ランキングイベントに参加されようと思ったのはどうしてでしょう?

仲良くさせてもらってるライバーさんが5月のコンプティーク企画に出ていたんです。そこで全力で走って、皆に応援されてる彼女の姿がめちゃくちゃかっこよくて。自分と同じ主婦で、同じように自営業をやっていて毎日忙しいのに、身を削ってここまでやり切ったぞ!って姿が本当にかっこよくて。思わず自分もやりたい!って、突き動かされたんです。

それでも4時間の配信が限界だったので、課金ポイントに頼るしかなくて。それをわかって応援してくれるリスナーさんたちには全力で感謝の気持ちを伝えたい。だから返礼品は早く届ける。だから配信が終わればすぐに描く。時間の許すかぎり描き続けるの繰り返しでしたね。

ほんっっっとにハードな日々でしたが、結果まさかの2位に! 制約がある中でも、やれることをすべてやって勝ちにいく。宣言したことを遂行できた達成感も相まって、感動もひとしおでした。きっと一生忘れることはないと思います。

自分の価値を測る。

―最高にかっこいいです! でも聞くところによると、その後も毎月膨大な数のイラストを描いていらっしゃるとか。現在のモチベーションについて伺えますか?

気付いたら毎回とんでもない枚数をこなしていて、自分でも正直やりすぎてる感はあります。応援ポイントを30万くらい獲得できればいいなと思って企画したものが、想定の倍以上のリクエストをいただくとか。大変ですけど、自分の価値を測るという意味ではうれしい反応ですし、しみじみ感謝しながら描いてます。

モチベーションに関しても当初から変わらず、ランクキープに縛られず、自分とリスナーさんとで作る居心地の良い空間を楽しむこと。イラスト仕事には真摯に向き合うこと。ライバーとしての楽しさもイラストでたくさんの人に喜んでいただけることも大事にしています。

結果が出なかった時には反省して、よく考えて、改善する。それでできなかったことができるようになるのがうれしい。だから、ずっとがんばれるんです。

あと、IRIAMのオリジナルアイテムがとにかく可愛い! 時季にまつわるギフトや背景、どうにもほしくなる愛らしいグッズなんかが必ず出てくる。だからいつも飽きないし、次はこれに出よう、あれがあるからこの時期から動きだそうなど身近な目標ができて、スケジュールを組み立てやすいのもIRIAMの大きな魅力のひとつ。ルーチンだけだとすぐに飽きちゃう性質なので、いろんな提案をしてもらえるしくみにいつも助けられてます。

できなかったことができる。
だから、ずっとがんばれる。

―もうすっかりゴールと言っていい高みに立っていらっしゃる気がしますが、まだめざすものはありますか?

ライバーとしてもイラストレーターとしても、まだまだだと思っています。
知名度が低くて、自分のことを知らない人がまだたくさんいるのに、仕事やライフスタイル上の制限で枠回りができず、新たな交流も生まれにくい。入賞経験も少ないですし、イラスト企画のニーズにもまだばらつきがあります。

かといって、入賞数などの目標は立てません。不用意な宣言をして、リスナーさんに余計なプレッシャーをかけたくないので。皆には常に自由であってほしい。好きな時に来てくれるだけで十分なんです。

だからイベント参加時は地道に計算して......といっても、計算するのは夫なのですが(笑)。私は数字に激弱なので、データ関係は理系の夫に頼りきってます。それで、たとえばこのイベント目標が○ポイント、平均視聴者数が△で、リスナーさんのお財布事情を考えたら一日の目安はこれ。ならギフトに見合う返礼品はいくつ必要で、といったことを内々で分析して、無理のない計画に沿って進めるよう心がけてます。

“「」”

―背後にそこまでち密なデータ分析があったとは感服です。さすがにそこまでは無理でしょうが、これからライバーになろうとしている人、伸び悩んでいる人に何かアドバイスをいただけますでしょうか?

実際によく聞かれるのが「リスナーを増やしたい」「ランク入りのコツがしりたい」という声ですが、みんな基本的に目の前のリスナーさんの存在を忘れがちじゃないかなって思うんです。新規や初見の数ばかりにとらわれていても何も生まれないよって。フォロワー数も見栄えや人気の指標にはなるけれど、「=ファン数」ではないから。見えない影を追うよりも、たとえ一人であっても目の前のリスナーさんを大事にすべき。現実にいま自分のために貴重な時間を割いてくれている人を大事にしたほうがいいと伝えたいです。

いつも来てくれる人が来なくなったら、何が悪かったのか見直すこと。定期配信も大事。やってると思って来たのに配信してなかったら、もういいやってほかに流れてしまうものだから。あと、自己肯定感を高めること。それだけで印象は変わるし、枠にきて楽しめたり、気分が上がったりすれば、きっとまた来たいって思ってもらえるから。

リスナー活動も甘く考えてちゃいけない。選挙カーのようにいろんな枠に顔を出しては自分をアピールする人も多いけれど、そんなものは誰も見てないから。自分は主人公でも何でもないことを理解すること。行くなら自分の目標となるライバーさんの枠を選んで、配信スタイルや工夫を勉強しなきゃもったいないよって。

逆に、枠に来る迷惑な人、場を荒らすような人が来たときには、私は速攻ブロックしたりミュートにしたりします。自分の大事な枠だし、来てくれたリスナーさんたちにとっても居心地のいい場所であるよう守りたいから。だからちゅうちょなくブロックするし、プロフィール上にもしっかり注意記載しています。

デビューしたばかりだと同時視聴やフォロワー数が気になって、突き放せない人も多いだろうけど、そんな人が後に自分のファンや真の理解者になれるとは考えにくい。嫌なものは嫌だということも必要だと思うし、悩んでいる人にはブロックすることを推奨しています。

―最後に、そうにゃさんのようにライバーと絵師との両立を考えている人にもメッセージをいただけますか?

もし絵師として成功したくて、自分が宣伝広告塔となって配信活動するのであれば、ライバーとしての質も磨かないとダメだってことですかね。私もまだまだ修行の身ですが、覚悟を持って配信に臨まないと結果は出ないので。ただ何となく枠を作って適当にぶらついているだけで仕事が入るほど甘くはないです。しゃべることに抵抗があるなら、一般的な仕事依頼のプラットフォームに登録して、コンペ企画などに参加したほうがきっと早いです。

絵師に限らず、人気ライバーをめざして有名なイラストレーターに立ち絵を描いてもらったとしても〝中の人〟に魅力を感じなければ、目の肥えたリスナーさんたちは見向きもしてくれません。いずれにせよ、しっかり勉強しないといけない。軽い気持ちで飛びこんでくると早々に挫折しかねないです。

って、すっかりお小言のような話が長くなっちゃいました。魅力や夢がいっぱいのIRIAMで悲しい思いをしてほしくなくて、つい力が入ってしまって......すみません!
いろいろ言いましたが、自分に合った、自分だけの配信スタイルをみつけて、一人でも多くの方にリスナーさんたちとの楽しいIRIAMライフを満喫してもらえたらうれしいです。

―そうにゃさん、唯一無二の貴重なお話をありがとうございました!

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