INTERVIEW


生水やもNarumi Yamo

生水と書いて「なるみ」。埼玉県から元気な〝おひさまボイス〟を届けるストリート系ライバー。歌とダンスとお絵描きが大好きな、等身大の女の子の配信が楽しめる。IRIAMデビューは2022年2月。

いつも元気にテンポのよいトークでリスナーを楽しませている彼女は、自身を「言いたいことをうまく言葉にできない話下手」だと評する。けれどそういってひとつひとつ丁寧に言葉を選び、等身大の思いを伝えようとするその姿こそが何よりも雄弁に生水やもの魅力を物語ること。そして「なりたい自分」になるために「やるべきこと」を「やりたいこと」へと前向きに変換しながら挑戦し続ける、その姿があるから皆が信じてついていけることに彼女はまるで気づいていない。
だからいま言葉にしておこう。「だいじょうぶ、しっかり伝わっているよ」と。

変身願望

―配信を始めるまでの経緯をお伺いできますか。

いまもそれほど変わってはいないのですが、子どものころから内気な性格で、人前に出たり話したりするのが苦手というか、周りの反応をいちいち伺ってしまうような子でした。それでも内心ではダンスや歌など「表現すること」にはすごく興味があって、絵を描くことも大好きでした。

それが興味から「やってみたい」に変化して、大人になってからダンスを始めました。自己表現まではとても無理だけれど、ダンスなら声を出さなくていいし、台本どおりに振付のまま踊ることには抵抗がなかったんです。レッスンに通い詰めて、ダンスをお仕事にできるようにもなりました。

けれど体調を崩してけがをしたのをきっかけにいろんなバランスが崩れていって、ダンスのお仕事を続けていくことが困難になったときに出合ったのが配信でした。表現の場というよりは昔からあった変身願望のほうが強かったかな。アバターで違う自分になれることにひかれて、IRIAMとは別の配信アプリを始めたのが最初です。

―いまの元気な配信からはちょっと想像がつかないお話ですが、話すのが苦手で配信を始めることに抵抗はなかったのですか?

まず歌ってみたいという気持ちが先行したのと、相手の顔が見えないことで特に抵抗はなかったし、リスナーさんが来てくれて、自分の歌を聴いてもらえるのも嬉しかったです。雑談ができるようになるまでは少し時間がかかったけれど、もともと表現してみたいって気持ちもあったせいかやってみたら意外とできたんです。いつしかイベントに出るようにもなって、気づけばイベントで走ることがとても楽しみになっていました。

「なりたい自分」を追い求めて

配信を始めて一年半くらい経ったとき、いまの事務所とご縁があってIRIAMで配信することになったんです。もともと気になっていたし、自分が好きなライバーさんがIRIAMでデビューしたのを機に何度か見に行ってもいました。

そのときの印象は、立ち絵がとにかく可愛いってこと。自分もこんな姿になりたい! めちゃくちゃ可愛い立ち絵で配信してみたい! って思ったんです。特にいまの事務所はイラストに力を入れていたこともあって、ここなら自分がなりたい姿になれると確信できたのも一歩を踏み出す大きな後押しになりました。

―やもさんはご自身でもイラストを描かれますし、相当こだわられたのでしょうね。

いえいえ、やもは立ち絵なんてとても描けないし、どんな感じでつくっていくのかもわからないくらいです。実際には細かくリクエストを聞いてくれて......たとえば瞳の色とかお洋服、ポージングやしぐさまで、とにかく細かく項目立てしてあって、イラストレーターさんとやりとりや調整を重ねて、なんとなく頭の中にあった理想像がどんどん形になっていきました。

あと、配信経験があるとはいえIRIAMではまったくの初心者なので、先輩方の配信を見たり枠回りをしたりしながら徐々に自分はどんな配信するのかを決めていった感じです。

ただ十分準備したつもりでも、初配信は思った以上にバタバタで。配信画面を見るのが初めてなのでどこを見てなきゃいけないのかがわからなかったり、焦って違うところを押して変な動きになっちゃったり。BGMつけなきゃ、コメント読まなきゃって、もう頭が真っ白でした。

1位入賞と残された課題

―配信画面もそうですが、コミュニケーションのかたちも以前と同じではなかったですよね。そこはすんなりなじめました?

どうでしょう、まったく覚えてないです(笑)。目の前の人やコメントに対応するのに必死で、何も考えられないまま思ったことをしゃべり続けてたんじゃないかな。われながら下手くそな配信でした。

それでも日々たくさんの方が来てくださったので、たとえ少しずつでも、一人でも多くの人にやもの配信を楽しんでもらいたいし、自分も成長したい。がんばって成果をあげるぞと思いながら、配信の記録をノートにつづって反省するとかして、とにかく「やってやる!」という気持ちでいっぱいでしたね。

トップバナーチャレンジでは初めて企画にも挑戦しました。
ただイベントとして盛り上げる自信はなかったので、内心では1位をとりたいと思っていても恥ずかしさや自分にはおこがましいという気持ちに負けて、とても口には出せませんでした。

はじまったら毎日がむしゃらで、一週間何をやったか記憶がないくらい全力で駆け抜けるなかで、それまでにはなかった勢いや周りの大きな応援に背中を押されて、気づけば「1位になりたい!」と言える、自分の気持ちに素直に生きられるやもになれてました。それがギアチェンジになって、1位というゴールをめざしてエンジン全開でがんばれた気がします。

結果はまさかの1位! 至らないやもに寄り添って支えてくださったリスナーさんのおかげでしかなくて、感謝という言葉では言い表せないほど嬉しかったです。
でも同時にたくさんの課題も残りました。コメントをもっとうまく拾いたい。ラストランでもっと盛り上げられるようになりたい。もっともっと成長しなきゃと思ったのを鮮明に覚えています。

言葉にならない想い

―見えてきた課題に対してはどのように行動されました?

やもはじっくり戦略を練るとか、計画立てて合理的に進められるようなタイプではなく、やらなきゃいけないことができたらパッションで突っ切るみたいな感じなんですよね。なので日々ぶち当たる壁を勢いと熱量で何とか越えていって、少しずつできることを増やしていった感じでしょうか。

それでもリスナーさんに楽しんでもらえるよう、配信だけじゃなくXで漫画を描いたり動画をアップしたり。3Dになってコンテンツを充実させたりファンバッジの特典としてちびキャラを描いてみたりもしています。自分の描いたものを喜んでもらえるのってものすごく嬉しいんですよね。

あとリスナーさんとの距離感についてもいろいろ考えて、ただ楽しませるだけの配信じゃなくて、嘘のない等身大の「生水やも」を知ってもらえるよう、自分はこう思っているんだってことをちゃんと話すよう心がけました。やもは想いを言葉にするのが下手くそだから、うまく表現できなくてモヤモヤすることも多いんですけどね。

言葉では上手に伝えられなくても、出会ってくれた人がやもの配信を楽しんでくれたらいいなって。職業や肩書き、年齢とかいま置かれている状況とか悩みから解放されて、やもの枠にいるときはとにかく少しでも幸せな気持ちになってもらいたいなって。言葉にできない分は気合いと熱量で(笑)、しっかり伝えていくぞって。

そしたら徐々にこれまで聞くだけだった人がコメントをくれたり、やもの振りに応えてちょっとふざけてくれたり、めちゃくちゃ嬉しい変化がありました。これからも配信でのやりとりや一緒にイベントを走ることで、リスナーさんとの〝ちょうどいい距離感〟を見つけていきたいです。

原点回帰で見えたもの

―やもさんの配信はむしろ弾丸トークというか、とてもおしゃべりが苦手とは思えないですし、言葉も熱量もリスナーさんにしっかり伝わっていると思います。
そんなリスナーさんとの思い出でいちばん印象に残っているイベントというと?

「えきポス!‐東武鉄道 大宮駅‐」と、同じ月の「MONTHLY IRIAM AWARD」で1位になれたことです!
月初にえきポスイベントがあったのですが、ちょうど一周年も重なっていたこともあってびっくりするくらい大きな応援をいただけたんです。その勢いや手応えもあって枠全体がめちゃくちゃ盛り上がって、一体感が増したんですよね。「このままマンスリーもいけるぞ」って空気が常にあって、ずっと背中を押してもらいながら一カ月間走り抜いた感じでした。

実はその前に少し配信をお休みしたことがあったんですね。一度Sランクに上がったもののキープが難しくて焦ったり、活躍している周りのライバーさんたちと自分とを比べては自信を失ったり。そのうえプライベートまで忙しくなってきて、どうにもならない不安に押しつぶされそうになったことが原因でした。「休みたい」と「やめたくない」との間でずっと葛藤したし、やもは配信一本でやっているので休止というのは大きな選択でもあったんですけどね。

でも中途半端な状態で続けていても来てくれる人を楽しませることはできないし、実際どんなに取り繕っても長く来てくれている方にはいつもの元気なやもじゃないことが伝わってしまうから。わがままですが休止をさせてもらったんです。

しばらく休んでいたら気持ちも落ち着いてきて、改めて自分と向き合えました。自分がIRIAMで何をしたいのか、どうなりたいのかを原点に立ちかえってじっくり考えられたことで「やめたくない」「やり残したことをやりたい」という気持ちを強く持つことができたんです。
やりたいことをやりたいと口に出してどんどんチャレンジできるライバーとして、元気いっぱいの配信を届けよう。リスナーさんと一緒に作り上げてきた「生水やも」の配信を大事にして再出発するぞって思えたんです。

休止明けからはより「想いを伝えること」を意識したし、自分を鼓舞するように熱量を上げて「やるぞ!」と声を出すようになりました。やもの声に応えてリスナーさんが全力で支えて、これまで以上に応援くれたんです。その集大成が応援ポイントランキングでのマンスリー1位でした。夢のようなごほうびでしたが、結果以上にみなさんの応援や温かさが胸や記憶に残っている、一生忘れられない思い出になりました。

―休止から一転、ものすごい成長ぶりですね!

ぜんぜんです。そこまで行かせてもらいながら、恥ずかしいことに自分自身はまるで成長できたと思えなくて。いまだにちょっとしたことで悩んだりモチベーションが下がったりするし、言葉で表現するのは相変わらず下手だし。後輩やいろんなライバーさんに相談をされても何と言っていいのかわからないとか、ほんと申し訳ないなって。

―逆に、やもさんご自身が相談したいときはどうされているのですか?

やもは「誰かに相談する」という選択肢はないかもです。相談するのが下手というか、何に困っていてどうしたいのかうまく説明できないし、相手にも気を遣わせてしまいそうで。

なので何かわからないことがあればネットで似た事例を調べたり、配信で気になることがあればいろんなライバーさんの配信を見て参考にしたり。企画のアイデアなんかはYouTubeとか本とか、いろんなメディアやコンテンツを見てヒントにしたりしてますね。

あとはとにかく「当たって砕けろ!」です(笑)。実際に経験して学ぶしかない。同じケースでも人によって感じ方は違うし、やっぱり自分でやってみないことには何もわからないんですよね。これは配信に限らず、たとえ逃げ腰でも壁にぶつかったときには自分なりに精一杯やって、きっと越えられると信じて、時間がかかっても何とかよじ登ってきたので。やっぱりパッションですね。これからもひるまずチャレンジしたいと思います!

等身大の配信を

―相談を受けるのが苦手だと伺った矢先に恐縮ですが、通常ですと最後にこれからライバーになろうとされている方へのメッセージをいただいておりまして......

ですよね。はい、ものすごく考えてきました(笑)。考えてはきたのですが、うまく言葉にできる自信がなくて、グダグダになっちゃったらごめんなさい。

まず自分のことで言うと、IRIAMと出会って、続けていてよかったと思うのは、これまでは行き当たりばったりで周りに振り回されながら進む道を決めていた自分が、配信を通じて初めて自分と向き合って、やりたくないと逃げていたようなことにも「やりたい」「こうなりたい」という想いでがんばれるようになったことです。

だから「うまくできそうにない」とか「失敗するのが怖い」とか、最初の一歩がなかなか踏み出しきれないみなさんも、やってみたら意外とできたり楽しめたりするかもしれない。ひとりじゃ無理でもリスナーさんと一緒ならできるってこともあります。

もしうまくいかなかったとしても、あきらめないで挑戦し続けていれば何かのかたちで結果に出るというのもIRIAMのすてきなところです。できなかったことができるようになったり、なりたい自分というか、なれるとも思っていなかった想像以上の自分になれたりする。

内気で、話すのが下手な自分の配信でも喜んでくれる人がいて、驚くほど応援してもらえていて、もう奇跡です! やもはまだまだ未熟だけれど、そんな自分でも配信者として誰かの役に立てるIRIAMという世界をもっともっと楽しみたい。大きな夢を描いて、そこに少しでも近づいていけるよう成長したい。

もちろん無理に背伸びして息切れするときもあるけれど、どうしようもなくなったら立ち止まればいい。立ち止まって見えたことを大事にして、できる範囲で前を向く。そうして〝等身大〟でやっていければと思っています。
相談は苦手だけれど、こんなやもの配信でも何か伝わることがあるなら嬉しいです。ぜひ遊びに来てください。

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