INTERVIEW



黒咲くるみKurosaki Kurumi

鋼のメンタルと驚異のトーク力を持つ完全無敵の破天荒女王。ニコニコ生放送をはじめ、配信歴は9年を超える。IRIAMデビューは2022年4月。雑談や歌枠など、まいにち20時から配信中。

生粋のデジタルネイティブ。早熟の配信女王・黒咲くるみは、飛び込んだ未知なる大人の世界で水を得た魚のように成長し続けた後、ある日こつ然と姿を消す。
等身大の大人になって再びこの世界に返り咲いた彼女はそこでリスナーの途切れぬ想いに触れ、全力で生き続けることを決意する。そしてすべてのリスナーのために〝生きた証〟を残す努力を惜しまない。
そんな彼女に伝えたい。あなたからもらった大きな愛は、たとえ形として残らなくてもリスナーの記憶からは決して消えたりしないことを。いつまでもその胸の中で輝き続けるということを。

配信者は中学生!

―くるみさんは配信歴がトータルで9年以上と経験豊富でいらっしゃるのですが、そもそものきっかけは?

はじめたのは中学生のときです。仲の良かった同級生がアニメ好きなら楽しめるよといってニコニコ動画を勧めてくれて、そこでニコ生(ニコニコ生放送)に出合いました。いろんな人の配信を見ているうちに自分もやってみたくなったんです。

当時は引っ込み思案で、人前に出ていったり進んで発言したりするタイプでもなければ、積極的に行動できる子を憧れの目で見ている側だったんですけどね。
ただ好奇心は旺盛で、中学生の自分が10代後半や20代といった〝大人〟な層とコミュニケーションできることは楽しかったし、どこか背伸びして大人の世界にひとり潜り込んでいるようなワクワク感がありました。

あとは「歌ってみた」かな。歌が好きで友だちともよくカラオケに行ってたから、人前で歌うことには抵抗がなかったし、プロでもない自分の歌を不特定多数の方に聴いてもらえる機会なんて普通ないじゃないですか。私もやってみたいって思ったのが原動力になりました。

―実際に配信されてみていかがでした?

配信といっても、最初は日常会話の延長みたいなものでした。ふと足を止めてくれた人がしゃべり慣れていない子に一から配信のことを教えてくれる感じ。リアルだったら絶対人見知りを発動しているはずなのに、対面じゃないからすんなりしゃべれて。やっぱり楽しい。自分もみんなと同じように配信を楽しめるのが嬉しかったのを覚えてます。

雑談に慣れてくると念願の「歌ってみた」に挑戦したくて、親に相談して必要な機材を買ってもらって、やってみる。そうしてやりたいことをひとつずつクリアしながらできることを増やしていって、気づけば高校卒業までずっと配信してました。6年くらいかな? われながらよく飽きずに続けたと思いますが、普段目立たない子が配信ではたくさんの人に注目される。輪の中心になれる非日常性に魅了されちゃってたんでしょうね。

それでも大学進学を前にして、学業に専念しようと高校卒業と同時に配信をスパッとやめたんです。逆に大学では学会などに参加して、人前に出て、しかも壇上でスピーチするような機会が増えたので、いつしかリアルで話すことにも慣れました。社会人になっても、仕事でいろんな人と調整したり先輩社員に相談しながら業務を進めたり、リアルなコミュニケーションが活発だったことでいまのマシンガントークの素地が自然と築かれていった感じですね(笑)。

話したい。

―再び配信をはじめられたのはどうして?

コロナの影響で身近な人と普通のコミュニケーションができなくなったこと。誰かとしゃべりたい欲でモヤモヤしていたとき、そうだ配信があるじゃん! って。
ただもうニコ生のアカウントも消していたし、どうせやるなら声だけじゃなくVtuberのような可愛い姿でやってみたいなと。それで手軽にスマホではじめられるプラットフォームを探したんです。

最初に目についたのはIRIAMでしたが手元にイラストがなかったので、まずはアバターでできるところで配信しました。バーチャルは初めてでしたが、配信についてはやはりこれまでの経験が生きて、いきなり弾丸トーク。新人っぽくないルーキーとしておもしろがられつつ、日々配信を楽しんでいました。

一年半ほど続けていると自分が応援できる子を探したくなったので、IRIAMを入れて気になった枠を見て回ったんです。エンタメとして配信している人が多くて、イラストも可愛い。初見に対してとても手厚い対応なのにも引かれて、すぐに推しが見つかりました。
しばらくして、たまたまその推しがいる事務所からスカウトしていただいて。ちょうど新しいことに挑戦したいと思っていた時期だったし、立ち絵も用意してもらえると聞いて、迷わずIRIAMにやってきたというのがこれまでの経緯です。

帰ってきたウルトラライバー

―もはや初配信という感覚でもなかったかと思われますが、これまでとIRIAMで何か違いはありました?

これまでアバターだったのが、IRIAMではイラストレーターさんがきれいに仕立ててくれた、誰とも被らない自分だけの〝お姿〟で配信できることは何より感動的でした。
配信自体は例によってまるで新人感のないスタイルでしたが、それをリスナーさんたちが驚きつつも「最強のマシンガントーク!」とか「驚くほど早口なのに聞き取りやすい」などと言ってくれたのは嬉しかったですね。
あと事務所所属になったことで、いただいたご縁への感謝や立ち絵などいろいろお膳立てしてもらった恩返しの意味を込めて「ライバーとしてでっかくなりたい。この世界でガンガン行くぞ!」と気合も入れました。

それでまずトップバナーチャレンジで1位を取ることを目標に、先輩の枠やいろんな人のイベントの走り方を体感したり、過去の企画を参考にしながら自分らしいかたちを研究したり。応援してもらいたいなら決して生半可な気持ちではいけないと自分に言い聞かせつつ、それでも1位になれば事務所や先輩方に喜んでもらえる。リスナーや後輩にも誇らしく思ってもらえると信じて。応援してくれる人に黒咲くるみのかっこいいところを見てもらうんだという一心で突き進みました。

結果ほんとうに1位になれた。準備期間はもちろん、本番一週間はめちゃくちゃ長かったしなかなか厳しい状態もあったけれど、たくさんの人に応援してもらえたことと、共に過ごせたその日々には感謝しかなかったです。

リスナーのために
できることは全部やる

―日ごろの元気キャラとはまた違った側面というか、くるみさんの芯にあるライバー活動への真摯な思いがひしひしと伝わってきました。

配信はリスナーのみんなが楽しめるってことが何より大事だし、黒咲くるみのキャラもそのためにあるというか、そうありたいと思っているのですが、根源的なまじめさはどうにもにじみ出てきてしまうようで......実際ファンの方々も薄々感じてくれてはいて、逆に豪快暴走キャラだけじゃないからこそ安心して応援できると言ってくれる人もいます(笑)。

ライバーって見た目や声、トーク力や歌のうまさなどがフィーチャーされがちなんですけど、配信活動ってそれだけじゃないんですよね。リスナーさんを飽きさせずに日々楽しませて、コメントだけじゃなくコミュニティとしての枠も管理すること。イベントに出るなら盛り上がる企画を練って、応援してもらったならきちんと感謝やお礼を考える。そんな地味な作業というか、泥臭いような部分もあるわけです。

それらも含めて、ライバーとしてリスナーのためにできることはきちんとやりたいし、やる。応援してよかった、安心して推せる、誇ってもらえるライバーでありたいと思っています。

だから配信だけじゃなく、Twitterのリプやもろもろの手配、スケジュール管理なんかもちゃんとやる。黒咲くるみの活動を支えてくれるクリエイターの皆さんとのやりとりも万全管理に努めています!

生き続けるということ

―イベントには厳選して参加されている感じですよね?

IRIAMをはじめたころはでっかくなりたいと意気込んでたんですけど、現実的にはイベントに出ても応援してもらえる自信がなくて。トップバナーチャレンジは一大目標だったし、特別なイベントだから皆応援してくれるけれど、あまりに頻繁だと疲弊もするだろうし、嫌がって離れちゃうかもと思うと怖くて踏み切れない。やりたいことと行動がちぐはぐだったんですよね。

それで改めて「本当にやりたいことは何?」「何が大事?」と自問自答しながら、リスナーにも「みんなはどう思ってる? 何してほしい?」って聞いてみたんです。
そしたら「とにかく長生きしてほしい」「ずっと一緒にいたい」って答えが圧倒的で。この子たちにとってはイベントとかで目立って露出するより「生き続ける」ことが大事なんだと納得できて、いまのスタンスに落ち着きました。

ライバーもリスナーも無理をしない配信。仕事が忙しいときや体調が悪いときはちゃんと休む。ギフトだって自由に、そのときの気持ちに合ったギフトを自分の好きなタイミングで贈ればいい。お互いが肩の力を抜いて楽しめる、いちばん自然な配信スタイルをめざしています。
それでいまのSランクをキープしていけたらベストですね。

ただギフトを贈ってもらうことやイベントでがむしゃらに走ることも、配信を長く続けるうえでの大切なメリハリというか、飽きさせないために必要なアクセントでもあって。リスナーと一緒に目標を掲げて集中して取り組むのも楽しいし、結果が出れば嬉しい。Birthdayイベントでも驚くくらい応援してもらえたし、応援してくれるリスナーの想いや志を無駄にしたくないからがんばれる。

だから節目節目で出たいイベントを見極めて、みんなと相談しながら参加を決めるようしています。それが長く続けられているコツというか秘訣ですね。

―実際そうして9年以上、はじめた当初も未経験でいきなり6年も続けられたんですものね。

それでいうと、ひとつ後悔していることがあって。お話ししたように私、6年間まいにち配信を続けながら学業専念のために迷うことなくやめたんですけど、いま思うとあまりに勝手な行動だったなと。

というのもある日、過去使っていてその後すっかり存在を忘れていた諸々のアカウントを整理していたら、ニコ生時代にリスナーとの連絡用に使っていたコミュニケーションツールにいくつか受信が溜まっているのに気づいて。開いてみると、ずっと配信に来てくれてた子がニコ生引退後も毎年私の誕生日にメッセージを贈り続けてくれてたものでした。

それを見たとき、私はなんてひどいことをしてしまったんだろうって。前々から予告していたとはいえ、残されたリスナーにとって推しが突然目の前からいなくなることはどんなに苦痛だっただろう。せめて配信アカウントだけは残して、たとえ途切れ途切れでも配信を続ければよかったと悔やんでも悔やみきれなくて。

いまいる子たちには絶対そんな思いをさせたくない。私25歳で復帰したんですけど、少なくとも30歳まではいまのスタイルで配信を続けよう。30というのもそこが絶対的な期限というわけではなく、求めてくれる人がいるかぎりはできるスタイルで続けられたらなって。

そうでなくともずっと楽しい配信を続けながら露出を増やしていくことで、昔配信に来てくれてた人が気づいてくれるかもしれない。いまも元気でやってるんだとどこかで喜んでくれるかもしれないから。だから私は続けていこうと思います。

生きた証を残す

―伺っているだけで胸が熱くなりました。いろんなプラットフォームで活動されているのも「伝える」ための工夫なのでしょうか。

確かにプラットフォームは目的をもって使い分けています。
リスナーとコミュニケーションを楽しむのは、レスポンスの速さがピカイチのIRIAM。IRIAMじゃないと自身のキャラやトーク力が生かせないから。

逆にIRIAMではできない画面共有が必要なゲーム配信とかは別でやる。YouTubeは動画アップ用。3Dモデルとかほかの人がやっていないことにもチャレンジできるし、何よりコンテンツとして残せる。日々の配信でいろいろ試行錯誤するなか、自分が「生きた証」として動画を残すのがいちばん有効じゃないかと気づいたんです。

仮に自分の意志とは関係なく、何か不測の避けがたい事情でこの世界を去ることになったとしても、アーカイブとして動画が残っていればみんなの寂しさもまぎれるから。それで力を入れ始めたものです。

ライバーとリスナー
互いを思いやること

―リスナー愛がとてつもなく深い......昔来られていた方にもくるみさんの想いが伝わることを祈っています。
最後にライバーになりたいと思われている方にメッセージをいただけますか。

一口にライバーといっても、そのスタイルはいろいろで。自分がどんなライバーをめざすかで活動の仕方は変わってくるのですが、もしイベントで結果を残したいとか、コミュニティランクを上げていきたいとか考えているなら相当な努力が必要であること。キラキラ輝いて、たくさんの人に応援してもらえるライバーになるにはやっぱり、そこにたどりつくまでの下準備や日々の積み重ねが必要なことや、仕事とか日常生活との両立も決して簡単ではないことも覚悟して臨んでほしい。

もしやってみて自分にはとても無理だと感じたとしても、そのときは自分に合った楽しみ方を探せばいいだけだから大丈夫。いろんな人とコミュニケーションをとるだけでも十分楽しめるし、続けられる。
辛ければ相談だってできる。もし伸び悩んだときには自分にしかできないことやそもそもやりたかったことを思い出して、自分を見つめ直してみることをお勧めします。
とにかくそれがどんな経験であっても、この世界に飛び込まなければ見つからないものがあるし、出会えない人ばかりだから。尻込みしないでぜひトライしてほしいし、続けてほしい。

何度もしつこいようだけど、引退や卒業は取り残された人にとって相当なダメージになります。自分もリス活をしているから残される側の気持ちもわかるし、逆にリスナーが離れていく悲しさや離脱を匂わされたときの喪失感もライバーにとっては大きい。インターネットをやめたくなるくらい落ち込むことだってあるんです。

だからライバーもリスナーも相手のことをよく考えて、たとえ距離や時間が空いたとしてもつながり続ける道を模索してもらえたらなって。これはほんと自身のしくじり経験から、たくさんの方にお伝えしたいです。

って、きょうはいつになくまじめに語ってしまいましたが、配信は爆裂キャラでやっていますので、どうか驚かずに楽しんでくださいね!!!!
最後まで読んでくださりありがとうございました。

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