INTERVIEW


終始明Shushi Mei

人が好き、おしゃべりが好き。初対面の相手ともすぐに打ち解ける人懐っこさと軽快な関西弁で周りを明るくする、スーパーポジティブ系ライバー。愛称は「めいめい」。2022年4月のIRIAMデビュー以来、昼夜を問わずまいにち楽しく配信中。

終始明の自由なスタイルは、配信というものに対する固定観念を次々と打ち破る。人が好き、みんなと一緒に遊びたい。一瞬一瞬を存分に楽しみ、楽しませたい。発想は実にシンプルかつ普遍的だが、根っからのクリエイターである彼の手にかかるとそれは無限のオリジナル企画を生み出す源泉になる。
そして彼の唯一無二のアプローチは決してブレはしない。その名のとおり彼の配信人生を終始一貫し、出会う相手をもれなく明るい笑顔にすることだろう。

終始明の<始>

―まずは配信を始められたきっかけから伺えますか?

最初はYouTuberとして、気の合う仲間たちと動画投稿をしてました。それがもろもろの事情で解散することになったとき、Vtuberとしてならひとりでも続けていけるかなと考えたんです。
それに生身のYouTuberではできない、現実的に不可能なことがVtuberやったらできる。たとえば500メートル上空からパラシュートなしでダイブするとか、超巨大な柿の種を食べるとか。夢があるでしょ?
とはいえすぐにVtuberになれるわけでもないし、そもそも僕は機械オンチやからそのあたりの技術も知識もない。

それと僕、めっちゃ飽き性なんですよ。何事にも猪突猛進で機動力はあるんですけど、飽きるのも早い。たとえば釣りにハマったら道具一式そろえて、釣り場を調べて、餌にもこだわって......で一回釣りに行ったら達成感を覚えて即終了、とかね。だからもし真剣にVtuberをめざしても、高額な機材や「体」、技術スタッフなど万全の体制が整ったところで満足してしまうんじゃないかと。大いにありうる。けど何十万円という出費でそれはさすがに避けたい。

何か手軽に始められるものはないかと探していて、見つけたのがIRIAMでした。
その時点では正直配信する気はなくて、YouTubeの延長で動画投稿をするのが目的だったんですけど、まずは自分がVtuberとしてやっていけるのか。ちゃんと続けられるのかを見極めたかったのと、まずはバーチャルの世界や技術に触れながらいろんな知識を深めていければなと。

IRIAMで実際に自分の顔が動いたときには驚きました。首や眉の動きにまで反応する。ほんまにイラスト一枚でここまで表情変わるの? って。これやったらいろいろ遊べそう! 楽しめそう! って思いましたね。

<はじまり>の劇的な終わり

―配信される気がなかったというのは意外でした。生まれながらのライバーさん、みたいなイメージが(笑)

われながら絶対配信者に向いてるとは思います(笑)。とにかく人が好きだし、しゃべるのも好きなんで。だから終始明というキャラも自分そのままだし、特に何の準備もいりませんでした。

でも僕は個人勢なので「つながり」が約束されていないというか、縦も横もとにかくネットワークがない。枠に人を呼ぶには自らつなげていくしかないんですよね。それでデビューまでの一カ月半で枠回りをして、同時期デビューのライバーさんたちをはじめ、たくさんの人の枠に遊びに行きました。

たとえばこの人の見た目が好きとか、名前がおもしろいとか、気になった枠にガンガン入っていって。そこで僕が重きを置いていたのは挨拶。これはいまでもそうだし、Twitterのリプでもリアルでも一緒。挨拶をしっかりすることは基本だから。おはようにはおはよう。初めての枠でもそのライバーさんの〝挨拶〟をすぐに取り入れて、常連さんたちに交じって自分も挨拶。抜けるときには自分から退室の挨拶。意識したのはそこだけですね。

初配信には想像の100倍くらいの人が遊びに来てくれて、喜びと驚きでいっぱいでした。ただ配信中はIRIAMの流儀に則って、皆さんのコメントにひたすら答え続けていたのであっというまに時間が過ぎ去って。
ものすごい勢いのコメントをひとつたりとも逃さんと必死で読み続けて3時間ほどが経過したころ、ふとスマホの充電はだいじょうぶかと見やれば、なんと残量1パーセント! やばい、消える、終わると思った瞬間「これで終わります、ごめんな!」と言い放って、閉幕。ギリ一言だけでも挨拶できたことで、スマホの強制には屈しなかったと自負しております(笑)。

「楽しんでもらってなんぼ!」

―残り1パーセントで気づくというのもミラクルですね。
実際に配信をされて、飽きずに続けられそうな手応えはありました?

二日目まではお祝い配信のようなもので、それ以降が通常運転。まず踏まえるべきは充電問題で、充電しながらの配信でもタイムリミットが3時間であることを念頭に枠を組み立てる必要がありました。
ちなみに僕は通常運転でも毎日何かしらの企画をしていて、特にトップバナーチャレンジまでの一カ月間は毎回違った企画を考えては、きょうはこれで遊ぼうぜってスタイルでやってましたね。

おしゃべりが好きだから雑談だけでも十分楽しめるんだけれど、どうせなら遊びたいよね。しりとりでもジャンケンでもいい、とにかく楽しんでもらってなんぼって感じで、イベントに参加しているわけでもないのに日々企画でわいわい盛り上がる。みんなと同じことをしたくないんですよね。企画力とバリエーションで勝負しながら、終始明の枠でしかやってないという配信スタイルを生み出したかったんです。

嬉しいことに「おもろいことやってる新人がいる」という口コミでたくさんの方が遊びにきてくれました。いつしか週一回の罰ゲーム企画が知れわたり、至るところで「ケツバットの人」と呼ばれることも増えて、手応えというかケツ応えというかはありました。ただし翌日の運転時に泣くことになるので、決して皆さんにはお勧めしません!(笑)。

でもそんな感じの日々だったので、トップバナーチャレンジだから取り立てて何かしたというより、すでに毎日がお祭り状態でした。
これいつも言ってるし、ここでもぜひ言いたいんですけど、トップバナーチャレンジっていつのまにか多くのライバーさんにとってプレッシャーのかかる重々しいイベントみたいになっているじゃないですか? けど僕、そもそもトップバナーチャレンジは「体育祭」のようなものだと考えていて、みんなでお祭り騒ぎを楽しみながら盛り上がってなんぼ、じゃないかなと思うんです。

トップバナーチャレンジは
IRIAMの<体育祭>

―「体育祭」とはまたユニークな表現ですね。

もちろんIRIAMという「学校」のなかでは特別なイベントではあるし、出るからには1位をめざしたり入賞したりする人はすごいと思うんですよ。けれど、そこだけの結果で将来が決まるわけでも、輝かしいミライが約束されるわけでもない。そこでダメだったからといってライバー人生が傷ついたり終わったりもしないから、もっと気軽に楽しめばいいんじゃない? って声を大にして言いたいんですよね。

結果が何位だっていい。ライバーとリスナーさんという「クラス」が一体となって取り組んで、みんなで勝ち取ったゴールならそれは「優勝」やから。応援で熱く盛り上がったり、競技や準備作業を通してクラス内外のいろんな人と絆を深め合えたりするだけで十分やないかと。
実際僕もリスナーさんとはもちろんですけど、同期のライバーさんたちと仲良くなれたしね。ぜひそんな感覚で、ピリピリせずにもっと楽しんでもらえたらなと思うんです。

対して、雑誌掲載や駅広告などのイベントなどは「大会」。校外の広い世界で自分を知ってもらうために、自分でミライを切り拓くために本気で実力を競う機会って感じかな。

―めいめいさんはトップバナーチャレンジに限らず、IRIAMのイベントには参加されていませんよね?

してないです。単純に、僕がIRIAMでやりたいことがイベントで優勝することじゃないから。僕にとっての配信は、来てくれる人に自分の企画でどれだけ楽しんでもらえるかが大事というか、そこだけなので。1位とか、誰かの推しをめざす気持ちがまったくない。僕はクラスメートのひとりでええんです。クラスにおる、うるさいけどおもろいやつ(笑)。

唯一あるとすれば、シンプルにダイヤは集めたい。諸事情あって、ダイヤを一定数獲得したいんです。ありがたいことにたくさんのリスナーさんたちが応援してくれるおかげでS1ランクをずっと継続できています。これは本当に感謝しかないですね。

配信し続けるということ

―そのような想いも含め、配信に対する意識や向き合い方に変化はありました?

そうですね、ぶっちゃけ始めたころは「僕は最終的に動画投稿がしたいので、配信はそれを始めるまでのつなぎ」くらいに思ってたし、公言してもいました。それがいまは「配信はずっと続けていく」という考えでいます。

飽き性の僕は、一回でも休むともう面倒になって二度と配信しなくなる。極端だけど自分の性格だからよくわかる。でもだからこそ、まいにち配信し続けている。やめたくないから休まない。それが一年半以上続いている根拠ですね。

あと僕は自分が誰かの推しになれるとは、ほんま微塵(みじん)も思っていなかったんです。数千・数万という配信者がいるなかで「終始明」の枠を見つけてくれて、さらに選んで遊びにきてくれるリスナーさんがいる。僕のことを覚えていてくれて、時間があるときに顔を出してくれる常連さんがいる。変わらず応援してくれる人までいる。常に誰かが支えていてくれる。

感謝しかないですよね。一に感謝、二に感謝。三以降もとにかく果てしなく感謝。その感謝の気持ちを常に忘れず、どうせならコイツを応援してよかったと思ってほしい。終始明を選んで間違いなかったと、誇ってもらえるようなライバーでありたい。だから止まれない。

配信に関していえば、IRIAMでしかできない企画や楽しみ方があるってこと。
決定的なのはタイムラグですよね。ほかを圧倒するこの特徴を生かさない手はないし、生かしたい。たとえば、ジャンケン企画が成立するのは、僕が「ポーン!」を言うのとほぼリアタイでコメントが届くIRIAMだからこそなんですよね。

もちろんYouTubeにはYouTubeの良さや生かし方がある。要は何でも使い方次第。それぞれのプラットフォームならではの展開を模索しながら、終始明としての配信活動を続けていければと思っています。

いつかその
たくましい腕に抱かれたい

―「いまのところやめる気なし」と伺えて、ほっとしております(笑)。

そこはやっぱりリスナーさんの存在が大きいですよね。
配信を始める前から人と話すのが好きな僕やけど、リスナーさんと話してると元気をもらえるんですよね。リスナーさんはライバーと話すことで元気をもらえる。けど同じようにライバーも、リスナーさんやライバー友だちと、配信やTwitterでコミュニケーションすることで元気になれる。

ほんまプラスしかない。楽しすぎてもはや趣味というか最高の娯楽というか、とにかくやめたいと思ったことは一度だってないし、配信しなきゃいけないと感じたこともない。安心してください!(笑)

それに僕、Vtuberとしての最終目標があるんです。ゴールは「太陽の塔」の〝腕〟の先っちょに座ること。子どものころに抱いた夢で、いまでも年一回は万博公園に行くくらい大好きなんですけど、その無謀な夢もバーチャルなら実現できるんじゃね? って。

もちろんVtuberであってもそれは決して簡単ではなくて、全身フルトラッキングの姿じゃないと無理だし、それ以外にもクリアすべき条件がまだまだある。でもそれを実現するまではやめずにがんばりたい。

そんな少年の日の夢を忘れないめいめいの挑戦をうっすら覚えていて、最前線でなくていいから温かく見守ってもらえたら嬉しい。もちろん全力応援してくれたらなお嬉しい! いつかちょこんと座ってみせるから、どうか楽しみに待っててねー!

リスナーの自由 
ライバーの責任

―リスナーさんとのコミュニケーションや枠のあり方などで、何か気をつけていることはありますか?

ライバーって、ステージの主演でありながらMCでもあるべきやと思うんです。観客の目にいま自分がどう映っているかを意識しながら演じるのと同時に、会場全体がどういう状況であるか。ステージが見えづらそうな席はないか、体調が悪そうな人やマナー違反で周囲を困らせてる人はいないか、どこかで揉め事が起こっていないか、常に俯瞰(ふかん)で全体に目を配る。万一何か不備があればMCとしてコントロールする。

枠によってはリスナーさんが積極的に風紀委員のようなスタンスでそれらに対処されてる例もあるけれど、僕自身はライバーがやるべきことやと思ってて。リスナーさんはお客さまだから来てくれるだけで十分だし、リスナーさんが仕切ることで角が立ったりその人が変に恨まれたりするのは嫌なので。

逆にライバーが心地よい枠であるよう管理するのは当然の責任だと思うし、ライバーという立場であればどんだけ仕切ったところで波風が立つこともない。もしリスナーさんでそうされるのが不快やと感じたなら、そんな枠には行かずに自分が楽しいと思える配信に行けばいい。

よく「推し」という言葉にしばられて、楽しめないのに義務感で行き続けてファンバッジもとってますといった話を聞くし、実際に僕リスナーさんから相談されることも多いんです。確かに一度推し宣言したら変えづらいという気持ちはわかる。わかるけど、時間は有限だから。気にせず自分がいま行きたい配信に行けばいい。わざわざ推しに断りを入れる必要もない。もっと自由にIRIAMの世界を楽しめばええねんでって伝えてます。

―ちょうどライバーさんやリスナーさんに関する話題も出てきましたし、最後にライバーになろうとされている方やこれからIRIAMを始めようと思われているリスナーさんへのメッセージを......

ええ、もう終わり? やだやだやだ、もっとしゃべりたいーーー!!!
という本音はさておき、わかりました。時間は有限ですもんね。

ライバーになろうと思っている方には、個人勢・事務所所属を問わず、あなたは自由に自分のやりたい配信を楽しんでいいんだよってこと。リスナーさんの顔色ばかりうかがって、ほかのライバーさんに気を遣いまくって、ポイント獲得のために必死で.....そんなじゃストレスがたまって全然楽しくない。配信は義務じゃないから。気持ちが乗らないときや体がきついときは無理せず休めばいいんです。

ただリスナーさんに対する感謝だけは忘れないでほしい。初めてギフトをもらえたときの喜びと感動をいつまでも覚えていてほしい。それが初配信だろうがイベント中だろうが、リスナーさんからもらえる1ポイントの価値やありがたみは変わらないから。日々誰かがきてくれるから配信を続けられていることを常に頭に留め置いてほしい。

リスナーさんに対しては、さっきも言ったけど推しにとらわれず、いろんな配信を楽しんでほしい。その際、コミュニティランクなんか気にしなくていい。気になった枠にどんどん入って、自分に合う人や自分が元気をもらえる人と出会ってほしい。

というのも、僕の枠に来た人から「Sランク帯のライバーさんの枠に入るの怖かったけど、めいめいのとこは違ってた」「ここはSランク帯の枠っぽくなくて楽しい」みたいなことをよく言われるんですね。けどコミュニティランク以前にライバーの人となりなんて実際にコミュニケーションをとらないかぎりわからないものだから。イメージや思い込みだけで判断しないでもらえたらなって思います。

ともあれライバーもリスナーも、お互いがお互いへの感謝をもって、自由に配信を楽しむ。最高でしょ?
僕の枠でも自由に楽しんでほしい。たとえ一分一秒でもいい、めいめいの元気な姿をチラっと見て楽しんでもらえたなら、それだけで十分嬉しい。ライバー冥利に尽きるってやつです。気軽に「まいどー!」って言いながら遊びにきてくださいねー!

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