INTERVIEW




音羽花鈴Otoha Karin

歌とおしゃべりが上手なアイドル兼「おとはうす」の大家さん。IRIAMデビューは2021年8月。平日は昼12時・夜21時から定時、土日はゲリラでまいにち配信中。2023年5月にオリジナル楽曲「ぼくらのストーリー」でVシンガーデビューを果たした。

優れた歌い手は耳も良いと言われる。音羽花鈴もまさにそうで、音なきリスナーの気配や場のリズムを聞き分け、相手が求める極上のことばを持ち前の美しい声に乗せて届けるのだから、聞き手はたまったものではない。ただハートを撃ち抜かれるばかりである。
そんな彼女はチャンスの足音も決して聞き逃さない。近づいてくるや否や確実につかみ、恐れず挑戦する。そしてリスナーと一緒に日々最高を更新しながら、その先に輝くミライに向かって、彼女の〝音〟はより広い世界へと羽ばたいていく。

ゼロからのチャレンジ

―まずは配信を始められたきっかけからお伺いできますか。

もともとリアルで音楽活動をしていたのですが、コロナの影響でライブができなくなって、友だちとカラオケにすら行けない。とにかく歌える場所がほしくて、カラオケが楽しめる配信アプリをはじめたんです。

歌うのが目的だったので、当初は配信をしているという意識は特に持っていませんでした。でも続けているうちに歌の趣味が合うとか、似たような境遇の人がいるとか、日々のちょっとしたコミュニケーションをきっかけに、いろんな方とつながれたことがすごく新鮮で楽しくて。少しずつ配信活動のおもしろさがわかってきたころ、いま所属している事務所からお声がけをいただいて、IRIAMと出会いました。

アニメも見てこなかったくらいで、バーチャルの世界やライバーがどういうものかまるでわかってなかったんですけど、興味はあって。私、好奇心が旺盛で知らない世界に飛び込むのが好きなんです。それと、目の前に訪れたチャンスは決して逃さない(笑)。
予想外のオファーをいただけて、自分ひとりでは絶対踏み込めないだろう世界で新しい挑戦ができるのは嬉しかったし、わくわくしました。

物語のはじまりはゆるやかに

―そんな未知なるIRIAMの世界に初めて触れたときの印象はいかがでした?

意外と違和感はなかったんですよね。まずはリスナーとしていろんな枠にお邪魔したのですが、どのライバーさんも魅力的で、楽しんで活動されているのが伝わってきました。皆さんお話も上手なので、気づけば配信の勉強どころか完全にリスナーとしてIRIAMを楽しんでいて。すっかり夢中でした。
一方で、おしゃべりの苦手な自分にこんなことができるのかと不安にはなったのですが、話のネタが尽きたら歌って場を持たせばいいかと、そこは大いに開き直って(笑)。

―歌をメインに活動されるイメージではなかったのですね?

そうですね、それは考えていなかったです。
もちろん歌ってはいきたいけれど、特にそれを売りにしたいとも売りになるとも思わなかったし、正直ライバーとしてトップをめざしたいという気概もなくて。とにかく何とか形になって、毎日配信を続けられたらいいなくらいの感覚でいました。

それでも初配信はものすごく緊張したし、ひたすらリスナーさんの名前を読み上げては挨拶し続ける「初配信あるある」状態に陥りました。ただ思っていたよりずっとたくさんのリスナーさんが来て、いろんなコメントを投げてくださったおかげで、終始会話が途切れることなく、とても楽しい時間を過ごせました。

すべてが変わった日

―上をめざすイメージはお持ちではなかったけれど、トップバナーチャレンジでは1位入賞。何か変化はありました?

確かにトップバナーチャレンジ前後で配信との向き合い方が大きく変化しました。
事務所の手前もあって、目一杯背伸びして5位入賞を目標に掲げたものの、内心では到底無理だと思っていて。順位は水物とはいえ、自分が上位をめざせるライバーだとは思えなかったし、最後までみんなと楽しく走れたらいいなくらいの意識でいたんです。

それがいざイベントが走り出すとみんなの応援が思った以上に大きくて、初日から1位。さらにはまさかのSランク到達。自分がこんなに応援してもらえることに驚いたのと同時に、この結果に見合うライバーになりたい。自信がないとか、やる前から無理だとか言っているのは失礼だと目が覚めました。

あと私、何かの事象に対する意見などであればいくらでも発言できるのですが、自己表現となるとどうにも気恥ずかしくて、言葉にしてこなかった。期間中一度も自分の口から1位になりたいって言えないまま、みんなの力に頼りきって押し上げてもらっただけ。

でもそれじゃダメだ。これからは自分の想いをリスナーさんにしっかり伝えよう。こうしたい、ああしたいという指標をきちんと示して、みんなと一緒に進んでいきたい。
そして何よりみんなへの感謝を常に忘れず、みんなが応援してよかったと思えるライバーとして努力を怠らないこと。自身が成長することで恩返ししていこうと誓いました。

「ぼくらのストーリー」

―ご自身の気持ちをきちんと伝えるというお話は、花鈴さんのオリジナル楽曲「ぼくらのストーリー」のなかでも歌われていますよね。

聴いてくださったのですね、ありがとうございます!
Vシンガーとしてデビューできるなんて本当に光栄なことだし、それもこれもIRIAMで長く活動してきたことが評価されて得られたチャンスだと思っています。歌い手としてはもちろん、歌詞制作にもかかわれるなど、自分にとっても大きな挑戦になりました。

作詞の経験がないなりに、ライバーとしてのこれまでの活動や体験、ありったけの想いを作曲家さんにお手紙を書くようなイメージで伝えながら、一緒に練っていきました。

それを自分の歌として、リスナーさんをはじめ、驚くほど多くの方々に聴いていただけていること。お祝いの声とともに、気に入ったとか、カラオケで歌ったなどの反響が続々と届いていて、もう感謝しかないです。

もっともっといろんな人に聴いてほしいし、歌ってほしい。同じ活動者であるライバーさんであればきっと共感できる部分も多いと思うので、日々の配信やイベントで走っているときなどにぜひそれぞれの想いを乗せて歌ってもらえると嬉しいです。

大好きな歌を君に届ける

―ちなみに、もともとリアルで音楽活動をされていたときと配信のなかで歌われているときで何か違いはあるものですか?

まるで違いますね。
リアルだとステージ上からお客さんの表情が見えるので、響いていそうな人に向けて歌ったり会場のノリに合わせて表現を変えたり、やりやすさはあります。ただワンマンでないかぎり自分目当てじゃないお客さんも多いので、皆が一体となって盛り上がるのは難しい。

対してIRIAMではリスナーさんの顔こそ見えないけれど、全員が自分を見に来てくれている人で、一声一声を大切に聴いてくれる人ばかりなので。集中して聴いてもらえる嬉しさややりがいは大きいし、私自身もリスナーさんひとりひとりに向けて、気持ちを込めて歌えるんですよね。

この日に歌うとかの制約もなく歌いたいときに歌えるし、そのときに歌いたい曲を選べる。たとえば時間帯やみんなの気分に合わせて、ときには雑談の流れで話題に挙がった曲を。同じ曲でも声の出し方や演出を工夫したり、新たな表現を試してみたり、ほんと自由に歌わせてもらっています。

―ポップな曲調もダークな世界観の曲も見事に歌い分けられていて、聞き惚れてしまいます。「お歌が上手」は花鈴さんの代名詞ですものね。

ありがたいかぎりですが、自分では「歌うま」だと思ってないです。
ただ歌唱力は普通レベルでも、歌詞を届けることは大事にしているし、歌の魅力を伝えることは常に意識しています。たとえマイナーであっても自分の好きな曲をみんなにも知ってもらいたいし、そのうちのひとりでも「この曲好きだな」って思ってくれたら、もうそれだけで幸せ。

音羽花鈴の配信のなかで見知らぬたくさんの歌と出会って、何か元気になれる、無性に引かれる、気持ちが落ち着く......そんなお気に入りの一曲を見つけてほしいですね。

最高を塗り替えた日

―花鈴さんの枠「おとはうす」はどのような雰囲気ですか? キレのあるコメントさばきが秀逸という噂はよく聞かれるのですが(笑)。

どうでしょう。基本いつも素のままでしゃべっていて、特にキャラを意識しているわけでもないので。ただリアルでも友だちからツッコミが激しいと言われがちではあります(笑)。

おかげさまで「おとはうす」は入居者が増え続けていまして、皆で和気あいあいと過ごしています。IRIAMの「誰とでも安心してつながれる」という風潮もあって、リスナーさん同士がつながりながら輪を広げてくれたり、口コミ経由で新規の方が来てくれたり、初見でも自然となじめる雰囲気を皆がつくり出してくれたり。リスナーさんの力でどんどん大きく、強度も増している感じですね。

特に成長を感じたのが1月の「IRIAM Birthday」イベントです。来てくれた人数も顔ぶれもギフトの量も想像をはるかに超えるもので、枠の中で伝説化するくらい自分にとってもリスナーさんにも強く印象に残るイベントになりました。

新しい人がたくさん来てくださって、その多くがいまも常連さんとして残ってくれているのですが、それはすべてリスナーさんがつないでくれたご縁なんですよね。それに、自分が声をかけた人が来て、楽しいと喜んでもらえることが嬉しいし、私もみんなも一緒に盛り上がれて、仲間が増えて嬉しい。もう嬉しいの連鎖が止まらなくて。またそのひとりひとりの応援がひとつの大きな力となった結果、手にできた1位。最高の瞬間でした。

それで何かみんなに感謝の想いを伝えたくて、駅広告が掲出される期間、自主企画でイベントを開催したんです。きっと地方から見に来てくださる方も多いと思ったので、同時に楽しんでもらえるリアルイベントに決めました。どうすればみんなに喜んでもらえるか、感謝の想いをどう伝えるかを考えて、事務所の協力を得ながら「音羽花鈴を体感してもらえる空間」を形にしていって。実際来てくれた方から楽しかったという言葉を聞いたときにはほんと嬉しくて。やってよかった、挑戦してよかったって、また感謝の気持ちがあふれてきました。

つながりが楽しい「おとはうす」

―すてきな「お返し」ですね。リスナーさんにとって何よりのギフトになったことかと。

このリアルイベントに限らず、バッジ特典などについてもモノよりコトにシフトしてきました。
どうしても仲の良いリスナーさん同士で固まったり、ほかの枠との関係もあってコミュニケーションをとる相手が限定されたりしがちなのがもったいないなと。せっかくみんなうちの枠に来てくれているのだから、いろんな人とつながってほしいと思ったのがそもそもの発端です。

それでバッジ特典としてDiscordなどでみんなが交流する機会を設けて、いろんなゲームやカラオケ大会などを開催してはみんなでわいわい盛り上がってます。いつもはコメントですが、そこでひとりひとりの「声」を聞くことでお互いにより親近感が湧いたり、それぞれの個性が見えてきたりする。私は私で配信での一対一のコミュニケーションではない距離感がまた新鮮で楽しくて。一層絆が深まっている気がします。

またそこで連帯感が生まれたり物理的にもつながりが密になったりしたことで「バッジをこのタイミングで一斉にとる」などの情報がもれなく周知されて、イベントでも力を発揮できるとか。ものすごい相乗効果も生まれています。

―歌詞にもあった「素晴らしき日々」が目に見えるようですが、そんな花鈴さんでも挫折や悩みごとはあるものですか?

よく聞かれるんですけど、何かで大きく挫折したという経験はないです。それは先で失敗しないよう、事前にとことん考えて、考え抜いて転ばない道を選んでいるから。
対して、小さなつまずきみたいなものは毎日のようにあります。私は細かなことが気になったり、無駄に考えすぎて心が折れたりしがちなので。決して表には出さないけれど、リスナーさんの何気ない一言で落ち込んだり、しばらく来てない人がいるとへこんだりもします。

それでもまいにちみんなに会えて、応援してもらえることで強くなれる。何事にも前向きにチャレンジできる強いライバーでいられる。想像もしない場所にもみんなとならたどり着ける。その繰り返しでいまがあるって感じですね。

 

―これからの目標はありますか?

目標に向かってというよりは、やはり目の前のチャンスを逃さず、何事にもチャレンジし続けるってことですね。オリジナル楽曲を機につながりを広げたり深めたり、またいろんな機会や場所での活動を通じて「音羽花鈴」を知っていただき、興味を持った方が配信に来て楽しんでくださると嬉しいです。

あとはリスナーさんたちに喜んでもらえるコトを考える。私自身もリスナー活動を楽しんでいるので、リスナー側の気持ちや目線を大事にして、配信内外でのつながりを強く太く深めていきたいと思っています。

―花鈴さんがいきなり枠に遊びに行ったらびっくりされません?

確かに最初はそういう反応も多いですね。でもリスナー活動を心から楽しんでいるのと、好きで通っているのが伝わるよう、めげずに通い続けます。本当に楽しみたいので!(伝われ~笑)

―それでは最後に、これからライバーになろうとしている方にメッセージをお願いします。

いまの自分の姿はデビュー時には想像もつかなかったし求めてもいませんでした。けれど、いろんなきっかけで思い描いていない方向に進んでいって、見える景色も抱く想いも変化しました。

はじめは活躍できなくても、長くやっていると思いもよらない自分に出会えたり、道がひらけたりすること。自分を応援してくれる人がいることとその存在は自分に信じられない力をくれるし、いろんな可能性が生まれることをどうか忘れないでほしい。
ぜひあなたとリスナーさんのすてきなストーリーを紡いでいってくださいね。

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