“これさえあれば
絶対にいける
完成した立ち絵に
もらえた勇気”
―本日は特別参拝させていただきありがとうございます。まずは百雲神社の「ご由緒」、みやさんが配信活動を始められたきっかけについて教えてください。
もともとアニメ好きだったのですが、自分でライブ配信してみようと思いついたのは比較的最近です。VTuberが一部のクリエイターやビジネス主体のものではなくなって、個人で生配信できるツールやプラットフォームが充実してきた頃でしょうか。
それでも機材やコスト面にはハードルがあって、すぐにYouTubeデビューというわけにもいかない。大手の事務所が運営するようなライブに憧れもあったけれど、自分の実力ではとても無理そうだし、指定されたキャラクターを演じるのは何かが違う。それでネット検索しながら、何か自分のニーズと合う配信アプリがないか調べてたんです。
どうせやるならアバターなど表現が制限されるものじゃなく、自分の思い通りのキャラクターで、細部までとことんこだわりたい。だからVRのリテラシーがなくても一枚絵さえ用意すればOKという、IRIAMの手軽なシステムは理想的でした。それでIRIAMでライバーになると決めて、準備を始めました。
―とことんこだわるとの言葉どおり、「百雲みや」の
世界観や活動にはゆるぎないポリシーを感じます。
きっと準備も入念にされたのでしょうね?
立ち絵は自分そのものだし、一番こだわりましたね。いろんなイラストレーターさんの作品を見ながら、この人だって思った方に依頼しました。昔、巫女のアルバイトをした経験もあって、結構細かく要望を伝えて、相談や調整を重ねながら完成したキャラクターです。
廃れた神社を立て直すという設定は、少年漫画などによくある「主人公がどん底からはい上がる」パターンです。思わず応援したくなる、あの熱い感じが好きなんですよね。
立ち絵やプロフィールが完成してから初配信までは1カ月くらいかな。百雲みやでTwitterを立ち上げたのは、無謀にもデビュー1週間前でした。こだわり抜いた立ち絵だから絶対にイケるという謎の確信があったんですよね。よし、もういっちゃえって。私、考えるより先に行動しちゃうタイプなので(笑)。
―まさかの短期決戦! あまりのスピード感に驚きです。初配信もその勢いでこなされた感じでした?
嬉しいことに、たとえ一週間でもTwitterを見てくれていた人や同期のライバーをはじめ、多くの方が来てくれました。デビューしたライバーが目につきやすいIRIAMのUIやいろんなサポート体制も追い風になりました。
それでも初配信は相当緊張しました。完全にテンパってましたね。予想を超えるたくさんの方に来ていただけてめちゃくちゃ嬉しい反面、次第にコメントを追いきれなくなって。なすすべもなくあたふたしていたら、Twitterで知り合ったベテランライバーさんがサポートに回ってくれました。「今みやちゃんが頑張って対応してるから、ちょっと待っててあげて」みたいな発信をしてくれて。ありがたくて、心強くて、泣きそうでしたね。
そこから仲良くなって、相手がイベントを走っているときには顔を出して応援したり、互いに競っているときでも励まし合ったりと、嬉しいご縁が続いています。こんな温かいコミュニケーションが生まれるのも、IRIAMならではの文化ですよね。
―ありがとうございます。手前味噌ですが、IRIAMではライバーさんとリスナーさんだけではなく、ライバー同士やリスナー間の距離も近くて、絆を深められるとの嬉しい声をいただいています。
“悔しさをばねに
駆け抜けたマンスリー
入賞確定「23:59」の
歓喜のうねり”
―さて、大盛り上がりだったデビュー戦。みやさんはバナイべで見事2位を獲得されましたよね。
事務所に所属しないフリーのライバー勢がバナイべで上位に食い込むのはまず無理だと思っていたので、本当に想定外のごほうびでした。
回を重ねるごとに、いろんな方が来てくれるようになりました。Twitterのフォローも最初は同期ライバーが中心でしたが、徐々にリスナーさんや誰もが知るようなライバーさんまで幅広い層に広がっていったことに手ごたえを感じました。
「立ち絵の可愛さで来てみたけど、枠自体がおもしろかったのでまた来るね」とか、「自分は聞く専門で、みやちゃんの話はただラジオのように流して聞いているだけでも楽しめる」といったコメントをいただけたのも嬉しかったですね。
2位という結果はそれらの集大成だし、本当に感謝しています。でも実はゴール目前まで1位をキープしていたところを逆転されての2位だったもので、イベント直後は残念な気持ちのほうが勝ってました。何より、私以上にリスナーさんたちが悔しがってくれて。それでまた火が付いたんです。
―なるほど、それで悔しさをばねに走り続けた結果がマンスリー入賞につながったのですね。
1月17日まで走ったバナイべでミリオン・Sランク達成という状態だったので、このまま走り続ければ1月マンスリー入賞もいけるんじゃないかって話になって。新たな目標に向かうことができたんです。
落ち込む暇もなく、全力で走り切りましたね。入賞確定をリスナーさんたちと泣きながら喜び合った、最終日〝23:59〟の瞬間は一生忘れません。
スクショ撮るのを忘れるくらい、みんなと大盛り上がりしちゃってて、手元に画像が残ってないんですけどね。記憶にはしっかり焼き付いてます。
―もはやアスリートですね!全員でゴールテープを切る感覚とでもいいますか、いまお伺いしていても熱く、感動的です。やはりイベントでの一体感は格別ですか?
ランナーズハイじゃないですけど、やっぱり盛り上がりますよね。でもその反面、疲労感もすごいです。リスナーさんたちにも負荷がかかる話なので、いつ、どのイベントに出るかはいつもリスナーさんと相談しながら決めています。ある程度のランクキープはめざしているので、達成できそうなイベントには積極的に参加しています。
特に印象深いのはお茶碗イベントですね。当時の私のランクがA~S帯だったもので、グループ分けされたのがほぼSランクライバーばかりの、俗に言う〝死のグループ〟だったんですよ。
だから最初は「勝てなくてもせめてランクキープできるよう頑張ろう」という弱気なスタンスでいました。なのに、枠に来たライバーさんたちがそろって「やばいね」「あきらめるしかないね」などと言い残していくものだから、私の負けず嫌いが発動しちゃった(笑)。
「この中で1位が取れたらかっこよくない?」って前向きな気持ちに切り替えられたんです。やる前から言い訳なんてしてないで、逃げずに頑張ろうって覚悟を決めました。
そんな私の思いに応えるようにリスナーさんたちもモチベーションを上げてくれて、一気に勢いづきました。一致団結して走り抜いた結果、まさかの1位!初めて「一番」をもらえたイベントだったし、応援してくれたリスナーさんにもお茶碗が当たるという、初めての現物還元イベントだったこともあって、また違った嬉しさに包まれました。
そのお茶碗を使って、リスナーさんたちと一緒にご飯を食べるイベントも企画しました。お茶碗入賞に手が届かなかったリスナーさんにも楽しんでもらえるよう、全国の100均ストアで買えるようなお茶碗も別で用意して、みんなで食べる。気づいたら私だけ2杯食べちゃってるという(笑)。
“自分の気持ちに嘘をつかない
近い距離だからこそ
しっかり言葉で伝えたい”
―想像するだけでほのぼのしますね。リスナーさんとの仲も一層深まったのではないでしょうか。
もともとリスナーさんとの距離が近い、IRIAMだからこそ実現できたのかなって。
私、ライブ配信には緩急があっていい、むしろ必要だと思ってるんです。イベントでがむしゃらに走るときもあれば、ただのんびり、まったりとした時間を過ごす日があってもいい。ライバーになったからといって、全員がトップやSランク到達をめざす必要はないし、ならなくても十分楽しめることを知ってもらえたらなと思います。
もちろん向上心は大事ですけど、結果が出なくて焦ったり、自分を追い込んじゃったりして、配信自体が苦になるのはもったいない。ライバーは枠の中で主役になれるのだから、それだけで十分幸せじゃない?って思うんですよね。
ランキングや数字って、自分の魅力や才能だけで決まるものじゃない。リスナーさんとの出会いによるところが大きいんですよね。偶然ものすごく応援してくれる人と初配信で出会っちゃう人もいれば、どれだけ配信がおもしろくても、たまたま良い出会いがなくて伸び悩んじゃう人だっている。すべてとは言わないまでも半分くらいは運だし、条件の重なり方で予想を超えて変化するものだから、そこだけにとらわれてたら振り回される。いつか気持ちが持たなくなっちゃう。だからこそ、自分なりの視点やブレない指標をしっかり持っておいたほうがいいと思うんです。
―すごく達観されているというか、神の領域というか。なんだかありがたいお告げを聞いている気分です。でも実際に、自分なりの楽しみ方を見つけるって大事かもしれませんね。それが新たなリスナーをひきつけるきっかけになるかもしれないですし。
まったり活動、楽しいですよ~。たわいもない話でいいんです。あと雑談の中にちょっとしたゲーム性を加えるとか、ちょっとした工夫があれば十分です。
たとえば、何分までに何人入室するか目標を決めて、皆でこっそりカウントするとか。勝手に「○○の日」って記念日をつくって、その日はポイントやギフトに関係なく、自分で用意したグッズをプレゼントするとか。とにかく誰もが楽しめるシンプルな設定にするのをお勧めします。
たとえば私は名前から、3月8日を「みやの日」と設定して、リスナーの皆さんと楽しく盛り上がってます。
逆に、イベントで一番をとりたいとか、目標やめざすものがあるなら、リスナーさんにきちんと伝えること。本当はとりたいのに、とれなかったときに恥ずかしいから明言しないとか、リスナーさんが頑張ってくれるならやってみます、みたいな中途半端な態度はやめたほうがいい。「自分は全力で走るから、みんなもついてきて!」っていう強い意志がなければ、リスナーさんの心には響かないと思うんです。
―みやさん、かっこいいです。後光を感じます。まだデビューから4カ月しか経ってないというのが信じられないくらい、ベテランを思わせるこの頼もしさ。さすが神様ですね。
いえいえ、たいしたことは言ってないです。ただありがたいことに、新人ライバーさんから相談が来たり、リスナーさんを通じてライバーさんにアドバイスを求められたりする機会が増えてきました。まだまだ経験が浅い私ですが、お役に立てることはできるかぎりやっていきたいです。
“活動の場を分けるという選択
見えてきた自分らしい生き方”
私、いまVTuberとしては事務所に所属して活動を始めたのですが、IRIAMだけはいつまでも個人勢として、素の百雲みやとして思うまま、のんびり活動したいと思っているので。
―事務所に所属されたのですね?そのあたり、もう少しくわしく教えてもらえますか?
すみません、ちょっとわかりづらいですよね。趣味半ばで始めたライバー活動なのですが、思った以上に大勢の方に応援していただけたことで、私もVTuberとしてもっと成長したいと思ったんです。それにはLive2Dや映像編集の技術、費用なども必要になる。個人では限界があるし、事務所の力を借りて活動することを決めました。もちろん、「百雲みや」の理念を理解してくれて、同じ方向をめざして伴走してもらえる事務所さんだったことが大きいのですが。
今後は普段の活動というか、プライベートとしての百雲みやの配信はIRIAM、「歌ってみた」やゲームの実況などはYouTubeと、活動の場を使い分けていければと思っています。YouTubeのコメントは良くも悪くもコンテンツへの率直な評価として受け止めながら、IRIAMではいままでどおり、リスナーさんたちと近い距離感で日常を楽しみたい。自由に、何気ない雑談で盛り上がれる場所って、リアルでもなかなかないですよね。
それにIRIAMって自分が主役になれるだけじゃなく、周りがとにかくやさしいんですよね。ダメな面を見せても、みんな否定せずに励ましてくれる。ものすごく甘やかしてくれるんです(笑)。
そんな大好きな場所を手放したくない。
だからIRIAMではこれまでと変わらず、個人勢のまま活動させてもらいます。特殊な契約になりますが、そこを理解してくださった事務所さんにも感謝しています。
“「ライバーに向いてない人なんていない」”
“「ライバーに向いてない人
なんていない」”
―さきほど話された、ブレない芯があるからこそ成立するモデルケースなのかもしれませんね。同じような思いのライバーさんにも参考にしてもらえそう。ほかに何かアドバイスなどありますか?
配信に踏み出せないでいる方にお伝えしたいのが、ライバーに向いていない人はいないってこと。いい声だとか、おしゃべりが上手だとか、恵まれた人だけがライバーになれるわけじゃない。そこがVTuberとの大きな違いかもしれませんね。
どんな声でも、うまく話せなくても、気持ちが引き合えばIRIAMではいろんなつながりが生まれる。やればやるほど可能性が広がるんです。始めようと登録できた時点ですごい才能なんです。人が好き、楽しんでおしゃべりできるというのも才能。そして勇気を出して始められたなら、それだけでもう大丈夫だから。
数回の失敗で自分を否定したり、あきらめちゃったりするのはもったいない。それはあくまでも通過点にすぎないから。数字やランキングなんか気にしないで、自信をもって続けていたらきっと何かが変わる。自分だけのスタイルが見つかる日がくるよって伝えたいです。
“始めること、続けること。
それだけで 誰もが輝く
チャンスをつかめる”
―まさしく神のお告げですね。勇気をもらえる人が続出すると思います。
私だって同じです。最初はランキングやポイントを気にして、一喜一憂してました。でもリスナーさんとのやりとりやいろんな体験を通じて、自分が一番楽でいられるかたちが見えてきました。
リアルな世界では置かれた環境や立場、年齢など、無意識のうちにバイアスをかけて自分を制御していたけど、IRIAMではあらゆる制限が解除できちゃう。自分でも気づかなかった素の自分に出会える。それが楽しいし、自分が楽しんでいることがリスナーさんにも伝わるから、皆で楽しめる。そんな唯一無二の場を大切にして、これからもIRIAMでの配信を続けていきたいと思います。
―百雲みやさんのますますのご活躍を祈りながら、感謝をもって「二拝二拍手一拝」したいと思います。本日はどうもありがとうございました!