INTERVIEW


三倍満ちゅもSanbaiman Chumo

ぷにぷに湾出身の深海ウミウシ。海の中でアイドルとして活動していたが、麻雀にハマって雀荘に通いつめた結果クビになってしまった。IRIAMデビューは2022年9月。雑談中心の配信では元気いっぱい大音量の弾丸トークが楽しめる。

「海の宝石」とも謎多き珍獣ともいわれるウミウシのように、多彩な魅力で人をひきつける気鋭のライバー・三倍満ちゅも。デビュー早々、自身の掲げた目標を次々と達成していく驚異の快進撃の陰には〝なりたい自分〟と〝本当の自分〟との狭間で思い悩む、心細そうな瞳の女の子がいた。
そんな声なき悲鳴に耳を傾け、手を差し伸べてくれたリスナーの支えによって、彼女の瞳はまたいきいきと輝きだす。そしてじっと前を、まだ見ぬ大海を、未知なる進化のその先を見つめていま再び歩き出した。

はじまりは突然に......

―まずはライバーになられたきっかけからお伺いできますか?

もともと配信には興味があったんです。ちゅも、人が創作やエンターテインメントを見て楽しそうにしているのが好きで、自分でも何か人を楽しませるようなことに携わりたい。やるならエンターテインメントの先端であるVtuberに挑戦して、いつか3Dでライブ! みたいな夢を前々から持っていました。

とはいえ自分で機材をそろえるのは大変だから「スマホで完結」して「顔出しなし」でできるプラットフォームに限定して探していたら、すぐにIRIAMさんが見つかって。ラグが少ないというのも、ちゅものやりたい配信には不可欠な要素でした。
多少であれば自分でもイラストが描けるので、やろうと思えばすぐにも始められたんですけど、エンターテインメントとして成立させながら配信していくことを考えると、どうしても立ち絵はプロのクリエイターさんに依頼したい。でも十分な持ち合わせがないし、もし事務所に所属すれば個人では難しいようなご縁もできるのかなと思って。それで事務所に所属してお任せすることを考えながらも、なかなか一歩を踏み出せないままでいたんですね。

それがある日、友だちと夜通し麻雀をして遊んでいたら、二倍役満という、1万分の1の確率ともいわれる奇跡的な一手であがれまして。単なるビギナーズラックなんですけど、いまなら何でもできる気がしてきて「よし、事務所に応募するぞ!」となったわけなんです。

決めたら一気に突き進むタイプなので、徹夜明けのハイテンションのまま応募書類づくりに取りかかりました。特に売りになるような経験がない分、経歴書代わりにこれまでの人生やおもしろエピソードをぎゅっと詰め込んだすさまじい自己紹介文を作って、ここだと思った事務所に「伝われ―――!」と念じながら送信しました。そこまで無我夢中でやりきって、気づいたときにはもうすっかり夜でした(笑)。
でもその結果、ありがたくも念願のデビューが叶ったんです!

石橋は徹底的にぶったたいて渡る

―のっけからフルスロットルですね(笑)。
その怒とうの勢いが落ち着いて、IRIAMでの配信デビューに向かわれたときの心境などもぜひお伺いしたいです。

しばらくは実感もないままポカーンな状態でしたが、デビューのめどが立って、本当にIRIAMで配信するんだと意識できた段階で「配信者としてもっと勉強せねば!」という自律モードに切り替えました。

実際にIRIAMの配信に触れて〝うれしい誤算〟だったのが、ライバーの皆さんが思い思いのスタイルで自由に活動されていたこと。
リスナー層も、ギフト機能を考えるともっと大人世代に限定されるのかと思いきや、自分と同世代の若い子たちも気軽に楽しんでいて。思った以上になじみやすい世界だな、ここでならやっていけそうって安心したのを覚えています。

そこからIRIAM以外のYouTubeなどの配信も見て回って、自分が好きだなって思える人の話し方やレスポンスを勉強したり、リスナーさん目線でどんなことが嬉しいかを考えたり、試しに別のプラットフォームでおしゃべりもしてみました。

デザインに関しても、サムネの配色や配置は徹底的に検証したし、サインやイメージカラーの使いやすさや与える印象なども細かく考察したくて、いくつか作例を挙げてはデザインのマーケティング領域に強い方の意見を求めるとかもしました。とにかくたくさんのインプットを経て、自分なりにあれこれ研究しながら「三倍満ちゅも」の配信スタイルを徐々に組み立てていきました。

転ばぬ先のウミウシの知恵

―はじめの勢いとはまた対照的な冷静さや思慮深さが伺えて、さすが謎の生物・ウミウシというのか、ちゅもさんご本人も不思議な魅力でいっぱいですね。

ありがとうございます!
キャラ設定についてもめちゃくちゃ考えました。いろんな設定がレイヤーとなって重なることでキャラに厚みが出るし、リスナーさんとのコミュニケーションの切り口になったり円滑なコミュニケーションにつながったりするので。

たとえば麻雀。ちゅもは初心者なので自ら話せる内容は少ないけれど、麻雀にくわしいリスナーさんたちがたくさんいるのでどんどん話が広がるんですよね。共通の趣味でわいわい盛り上がれるだけでも楽しいのに、普段は聞き役専門の方でも麻雀話題であればコメントしてくれるとか、ちゅもはちゅもで新しい知識を得られるし、トークの引き出しも増える。いいことだらけで、やっぱり麻雀のお名前にしたのは間違いじゃなかったなと。

―先を見据える眼に並々ならぬ設計力。ほんとウミウシ同様、新たな一面が続々と現れますね。

とんでもないです。根っこがビビりだから、事前にできるかぎり土台や脇を固めておきたいというだけで。
実際そこまで備えていても、初配信でちゃんと話せるかは不安でした。新人が陥りがちなコメントマラソン状態になっちゃうと、三倍満ちゅもというキャラの魅力が半減しちゃう。マズいぞって。

だから先にデビューされた方の初配信を見に行っては、エアデビュー体験をしてました。
もちろんリスナーとして配信を楽ませていただくのは大前提なんですけどね。応援すると同時に、流れてきたコメントに合わせて実際に声を出しながら自分なりに返してみるってことをやっていました。画面越しの自主練って感じかな。それでレスポンスの呼吸をつかんでいきました。

三転び四起きからの悲願達成

―配信を視聴しながらの自主練とは、ちゅもさんの発想は本当に斬新ですね!
それで満を持しての初配信はいかがでした?

そうですね、レスポンスに関してはわれながら万全だったと思います。リスナーさんたちにも「新人とは思えない」とか「ものすごい原石が現れた!」といったありがたいコメントをいただきました。

よかったことも山盛りだったのですが、アプリケーションの仕様に慣れていないうえに、さらにスマホで操作ミスを繰り返した結果、3回も配信を開き直すというお恥ずかしい事態になってしまいました。それでも寛大なリスナーさんたちはちゅものダメダメな部分もおもしろがってくれて、楽しい時間が過ごせました。記憶に残る大切な思い出です。

―次に目標とされたのがトップバナーチャレンジですね?

はい。トップバナーチャレンジで1位をとることのアドバンテージは、実際に1位になられた先輩ライバーさんたちの注目度や宣伝効果を通じて体感していたし、リスナーさんたちにもそこが最初の目標なんだよってずっと伝え続けていました。

リスナーさんを巻き込んで、協力いただきながら一緒に進化していくのがIRIAMだと思っているので。自分の感情や勢いで突っ走ることも大事だけれど、やりたいことがあるならリスナーさんにしっかりとした理由はもちろん、もらった応援や得られる結果、さらにその先の目標なんかも丁寧に伝えて。それで徐々に共感してくれる人を増やしながらみんなと一緒に成長していきたいことをひとつひとつ言葉にして。
途方もない大きな目標についてきて! と伝えるのはとても不安だったし、内心ドキドキだったけれど、その分もらった応援に負けないコンテンツにするくらいの覚悟を持って伝えました!
そんなちゅもの想いをみんなが受け止めてくれて、日々お祭り騒ぎを楽しみながら全力で応援してくれました。ひとりひとりの、ものすごく大きな愛と応援のおかげで、悲願のトップバナーチャレンジ1位になれました! この場を借りて改めてお礼が言いたいです。ありがとうみうし〜!!!

トップバナーチャレンジで
もらえた大切なコト

―有言実行ですね。実際に1位になっていかがでした? 想像と違ったことや何か変わったことなどはありましたか?

何より大きく変わったのが、リスナーさんとの向き合い方です。
さっき目標や想いをしっかり伝えたと言いましたが、それはあくまでも〝なりたい自分〟としての発信であって、必死で背伸びをしながら発したものなんですよね。ビビりな本当の自分は、リスナーさんにもそれぞれ生活があって、配信は息抜きとして楽しむもの。ライバー愛も一過性のもので、次にもっと気になるライバーさんが見つかればそっちに移ってしまうものだってどこかあきらめていて。あまり期待しすぎちゃいけないって、いつも自分に言い聞かせてました。

だから、トップバナーチャレンジを越えたらちゅもはフレッシュなライバーではなくなるし、リスナーさんが離れていっても仕方ない。寂しいけれど、いい思い出がつくれればそれで十分だって思うようにしていたんです。

それが実際にイベント期間を一緒に駆け抜けたとき、これまでにない一体感やリスナーさんとの共感が生まれたことでふと心が開放的になって、その不安だった思いをこぼしちゃったんです。そしたらリスナーさんたちが「そういうの、もっと出していいんだよ」「大丈夫だよ、離れないよ」って言ってくれて。本当の気持ちを伝えていいんだって思えた瞬間、これまで抑えていた感情が一気にあふれ出てきて、みんなを縛り付けるようで言えなかった「みんなのことが本当に大好きでずっと離れたくない」っていう本心をやっと伝えられたんです。そこからリスナーさんとの距離がうんと近くなったし、自分にとっていちばん楽なスタイルで配信できるようになりました。

いつも誰かに見られてる!?

―それは何よりの「特典」でしたね。
それでさらにパワーアップされて次の目標に向かわれた感じでしょうか。

すぐにではなかったです。さすがにトップバナーチャレンジ直後は満身創痍で、燃え尽きた灰のような脱力状態でした。一旦熱が冷めたことと、少し時間に余裕ができたことで、たまには新しい枠に出かけてみようとふらっと入室してみたところ、予期せぬ出来事が起きました。
どの枠に行っても「うおお、バナイべ1位が来たぞー!」みたいな反応で迎えられるんです。そこではじめて、自分の存在が思った以上に認知されているのを実感しました。これがトップバナーチャレンジ1位の効力かと、勝たせてくれたみんなに改めて感謝すると同時に、やばい、なんか恥ずかしい! 気を引き締めないと〜! って。ライバーとして肝を据えるきっかけになりました。

それで次なる目標......イベントに限らず、配信者としての持続目標をいくつか考えて、リスナーさんとも共有しました。
イベント目標に関しては雑誌掲載です。見開きで掲載されるインパクトってすごいんですよね。ライバーの個性や空気感まで伝わってくる。前々から魅力あるコンテンツだと思っていたので、これについては枠でもずっと前からある意味最終目標として掲げていて、リスナーさんとも一年先、それ以上先でもいいからいつか実現したいねって話してました。

それがまさか数カ月後に叶うなんて夢にも思いませんでした。「IRIAM×アニメージュ 雑誌モデル決定戦」での1位はいまだ実感がわいてないくらい、ほんと夢のまた夢のような出来事でした。これもまた掲載誌を見たときに、イベント当時を振り返って気づくことやじわじわ感じることがわき出てくるんだろうなって思います。

〝なりきれない自分〟を
愛せるとき

―もうひとつの持続目標というのは?

いつ来てもめちゃくちゃ元気になれる枠として、毎回楽しめる配信をし続けること。あとみんなのおかげでSランクに上げていただいたので、そのままキープしていきたいということです。

けどランクキープって本当に難しいんですよね。ちゅもの実力不足もあるけれど、めまぐるしく変わるボーダー状況をにらみながら、ポテンシャルを持ち合わせた者同士が日々レベルの高い戦いをしているのだから大変なのは当たり前なわけで。その大きな壁をみんなでどう乗り越えていくかが大きな鍵になる。

〝なりたい自分〟としてはあっけらかんと「みんな行くよー!」って言いたいんですけど、根っこにある自分は「ランクキープなんてちゅものわがままだし、リスナーさんに依存しすぎて重荷になるのは嫌だ」って踏みとどまってしまう。言いたいけど言えない。ノリと勢いの元気なちゅもが走れば走るほど、弱い自分を押し込めてしまう。ねじ曲がった理想と現実とのギャップに〝なりきれない自分〟がどんどん追い込まれていました。

そしたら共感力の高い常連リスナーさんたちが、ちゅもが切羽詰まっているのを感じ取って「何があっても支えるから安心して言葉に出して」「こういう風に伝えてほしい」って、どう言葉にすればいいかまで教えてくれました。
あと「みんなそれぞれギフトや時間、スターと形は違っても、ちゅもちゃんを支えようっていう気持ちはあるから」って。その言葉を聞いて心がすっとほどけて、自信をもって前を向けて、いまも目標に向かって歩き続けることができています。

これからも配信の質を落とさず、さらに向上させながら、けれど変な無理もしないようちゃんと息を抜いて、楽しんでコンテンツ提供し続けたいと思います。


―デビュー後半年ちょっとの方とは思えない深遠なお話の数々に、きょうは終始圧倒されっぱなしなのですが、それぞれのエピソードが多くのライバーさんにとって参考になったり共感できたりするのではないかと。

とんでもないです。普段はバカでかい声でただただ騒いでる変なやつなので、これを読んで違和感を覚える方も多いのではないかと.....でもそこは不思議生物ウミウシってことで、謎キャラ「三倍満ちゅも」のいろんな一面を楽しんでもらえると嬉しいです。

それでも自分がイルミナリーに出られるとはまったく考えてなかったので、こんな謎の生物にお声がけをいただけるんだってことにびっくりしました。いまだ夢のようですが、ほんとIRIAMには多種多様なライバーさんがいて、まだまだ不思議生物がたっくさん転がっているので、ぜひこれからもいろんな原石を拾ってイルミナリーで紹介してくださいね!

―臆せず深海や秘境を探検しながら、いろんな逸材を発見したいと思います!
最後にこれからライバーになろうとしている方にメッセージをお願いします。

未知なる可能性を秘めた新しいライバーが生まれることは、IRIAMというビックコンテンツがますます成長するフックになると思うし、ちゅもも一ライバーとして大歓迎です。
一歩を踏み出して配信に挑戦してくれた、今後のIRIAMを担う原石となる子たちが活動しやすくなるよう、ちゅもたち既存ライバーがひとつの指標となって生きやすい世界をつくっていければと思っています。

もしそのなかに上位をめざす方がいれば、自分と似たキャラや同期だけを参考にするのではなく、IRIAMという大海やさらに大きな世界をよく見てみよう。狭いコンテンツに絞って指標にしていると、それに挫折したときすぐ行き場を失くしてしまうから。広いコンテンツを見て、新しい発見をしながらいろんな道筋を確保しておいたほうがいい。マイナーでもメジャーでも、気になって目についたものは模範にして、どんどん自分らしいアウトプットにつなげてほしい。思いついたら躊躇(ちゅうちょ)せず、最高のものが作れるように行動しちゃおう!
ちゅももどんどん新しい知識やスキルを蓄えながら、最高のエンターテインメントが提供できるよう負けずに進化するぞー!!

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