INTERVIEW



鳥皮ぽんずTorikawa Ponzu

文明遅れの猫耳ライバー。焼き鳥、唐揚げが大好き! 2021年6月デビューのバーチャル年齢22歳。2時間置きにおなかが空くほど日々元気にフル稼働。ユニークな自主企画でも知られるその枠は、訪れるだけで元気がもらえると多くのリスナーに支持されている。

元気で明るいキャラ。確かにそうだが、鳥皮ぽんずが皆を元気にできる理由はそれだけではない。キラキラした瞳でまっすぐリスナーと向き合い、相手の感情を瞬時にとらえ、発することばのひとつひとつにまで配慮しながらキレのいいトークを続ける。そんなとんでもない〝集中力〟がなせるわざなのだ。
そして自分を決してあきらめない。体のいい言い訳で逃げたりごまかしたりせず、できることを精いっぱいやる。そうした常に前向きな姿勢が周囲をひきつけ、彼女自身にも輝くミライを引き寄せた。
願いは叶う。その一歩を踏み出し続ければ——

ぽんず流 夢を叶える法則①チャンスを逃さない

―まずは恒例の、ライバーになられたきっかけからお伺いできますか?

小さいころから私、アニメやドラマを見るのが大好きだったんです。内気でおとなしい性格なのにお芝居となったら別で、よくキャラクターや演者の声まねをしていました。それを見ていた家族から「よく似てる。声の仕事に向いているんじゃないか」なんて言われていたことが嬉しくて、ずっと頭の隅っこに残っていたんですよね。

物心がついて、声優さんになるまでのたくさんのステップや声のお仕事の大変さがわかってくると、自然とそれは「幼いころに見た夢」へと変換されていき、「現実」として選んだのはサービス業でした。

そんな私がライバーを志したのは、コロナの影響でなかなか外出ができず、友だちとも遊べない日常が続いたころ。配信アプリならいろんな人と会話を楽しめるし、さらにIRIAMなら自分が大好きなアニメのキャラクターみたいになれるって、幼いころの夢をふと思い出したんです。「やってみたい!」って、もう一目ぼれでした。

でも私、プロフィールにも「文明遅れ」とあるように、かなりのアナログ体質なんです。IRIAMでデビューしたくてもイラストを手配する方法がわからず、まずは簡単にアバターを作って配信できるアプリから始めました。それで数回ほど配信したころ、いまの事務所から「最初の一枚絵を用意するからIRIAMでもやってみないか」とお誘いをいただいて。まさか自分に声がかかるなんてと相当疑ったのですが、一方では渡りに船というか、絵を用意してもらえる、憧れのIRIAMに行ける! と思うと、せっかくのチャンスを逃がすわけにはいかなくて。
ほぼ二つ返事でIRIAMの世界に飛び込みました。

ぽんず流 夢を叶える法則②できることをとことん追求する

―プロフィールにある「文明遅れ」というのはキャラとしての設定だけではなく、ご自身のパーソナリティが反映されたものだったのですね?

はい。育った環境が大きく影響しているのですが、実家が最寄り駅まで徒歩2時間半という山奥の辺境にあって、いまだに近くの川で水を汲み、お風呂も薪(まき)で焚(た)いている昔話のような世界。いまは実家を離れて都市圏でひとり暮らしならぬ猫一匹暮らしですが、生粋のアナログ猫なんです。

だからIRIAMの世界はあまりに文明が発達しすぎていて、実際に「鳥皮ぽんず」が動きだしたときは夢を見ているようでした。

スマホすら使いこなせていなくて、当然マイクやBGMなどについても知識ゼロ。ヘッダー? サムネイル? って、見るものすべてが謎だらけで。何もわからないまま ヘッダーは写真画像、必要なイラストやメッセージなんかも白い紙に手書きしたのを撮ってアップするとかしていましたね(笑)。

ただ、一枚絵であっても四方八方には動けるし、アップや引きで距離感を演出することもできるじゃないですか。BGMなしでも効果音として猫の鳴き声などの声まねや息使いを駆使したり、声のトーンや声量を変えることでメリハリをつけたりもできる。

そうして「スマホ一台でできること」を探しては配信で試して、改善しながらブラッシュアップしていくことを繰り返していました。

ぽんず流 夢を叶える法則③結果を反省し、
次の行動に結びつける

―ということは、あの鳥皮ぽんず「伝説のトップバナーチャレンジ」時代はまだ手書きで対応していらしたのですね?

そのとおりでございます!(笑)
最初に参加したパワーアップチャレンジで、気づけばかなり上位につけていることに一同すっかり舞上がってしまって。様子見のつもりがつい勢いのまま全力疾走してしまったんです。終わってから、あれ、トップバナーチャレンジを本命にして走るんじゃなかったっけ? って。

気づいたときには私もリスナーさんたちも余力ゼロで、ほとんど何もできないまま52位という結果に終わりました。

事務所内でも最下位で、せっかく声をかけてもらったのに不甲斐なくて悔しくて。応援してくれたリスナーさんや先輩方、後輩たちにも申し訳ない気持ちでいっぱいでした。めちゃくちゃへこんだ後、これをばねに次はもっとがんばろう。イベントにも絶対入賞するぞって自分に誓ったんです。

―実際、それからたくさんのイベントに参加されていますよね? 出られるイベントはどのようにして選ばれているのですか?

まだ自分がIRIAMのイベントや勝ち方などを把握できていなかった時期は、リスナーさんたちが「このイベントならいけそう」「ランクキープが必要だからこれにしよう」と提案してくれて。それをもとに私とみんなで相談しながら決めていった感じです。

それと、しらすのクッションやマグカップなど、私もリスナーさんもグッズがもらえるようなイベントですね。みんなでがんばって、一緒に達成して、その成果が形となって手元に残るもの。

あとは「食」にまつわるイベントかな。私、自他共に認める食いしん坊なので、リスナーさんたちからも「食い意地がはってるぽんずちゃんなら絶対いける!」という謎の信頼を得ていまして(笑)。実際にいかめしにフカヒレ、チャーシュー丼って、食品イベントで1位をいただくことも多いです。

ぽんず流 夢を叶える法則④生き残るための選択を間違えない

―お名前もユニークですよね。確かに食関連イベントには強そうです。

名前は、当初「鳥皮ぽんず」と「襟巻(えりまき)とかげ」との二択で迷っていたんです。

そのことを枠で話したら「もし襟巻とかげだったらぼくら来てなかったよ」って言われて、危ないところだったなって。好きな食べ物だってことと、名字っぽく聞こえたり、「ぽん」が可愛い響きだったりすることでなんとなく選んだのですが、結果大正解でした。

―イラストはもちろん、名前も枠選びの決め手になるのですね。 また、ぽんずさんは一日複数回配信されていますが、それも数ある工夫のひとつですか?

工夫といえば工夫なのかもですね。先輩ライバーさんたちの配信がだいたい夕方6時から夜12時くらいまでに集中していて、ルーキーの自分が同じ時間帯でやったらきっと埋もれてしまう。配信の少ない朝や昼であれば、ワンチャン目を止めてくれる人がいるかもって考えたんです。

それで仕事に出かける前やダブルワークのすきま時間を使って、たとえ短時間でも、たとえラジオ配信になっても、偶然目にした人が来てくれることを期待しながら「時差配信」を始めました。

特に朝枠は好評で、朝の準備をしながら楽しめる、通勤中にイヤホンで聞いてるよって、定期的に来てくださる方が増えたんです。

ただ私、朝がめちゃくちゃ苦手で......起きられない日が続出し、一時期休止状態になっちゃってましたけど、ありがたいことにリクエストの声が多くて。ちゃんと起きろぽんず! って自分に言い聞かせています。

ぽんず流 夢を叶える法則⑤常に前を向き、
余計な無理をしない

―先ほどさらっと「ダブルワーク」とおっしゃいました?
日常の配信であれば何とかなるのかもしれませんが、イベント参加時などは大変ではないですか?

そうですね、サービス業なので遅番だと思った時間に帰れないことも多くて、イベントで走りづらいこともあります。でもそういうときは日中の空き時間とか移動時間とか、あらゆる「すきま」をとことん生かすんです。

もちろんランクキープは大変で、イベントで1位をとれてもランクを落としたなんてこともありました。だからといってもう限界とは思わず、その体験を生かして次の週はもっとうまくやろうって考えるんです。今回ダメでも次がある。できる方法を見つけていこう。それが鳥皮ぽんずの秘策です。

あと私、「IRIAM一元気なライバー」をスローガンにしていまして。
いつ来ても、どんな気分のときでも、ぽんずに会えば必ず元気になれる。明るく元気な爆上げテンションで、ネガティブな話をしないのはもちろん、ひとつひとつの言葉選びにもできるかぎり配慮しています。

たとえば、「終わり」って言わない。配信終了なのではなく「結び」として締める。「夏が嫌い」ではなく「夏は四番目に好き」とか、結婚式の場みたいになるべくポジティブな言葉に変換する感じ。細かいところまで徹底的にこだわっています。

そのかわり、どうにも体調が悪くて元気に配信できそうもない日は「きょうは喉の調子がおかしいからスキップパス使わせてね」とか、「ちょっと元気ないからラジオ配信でごめんね」とか、無理せずちゃんと口に出して伝えるようしています。

いくら元気印キャラでも、いつでも元気、いつでもだいじょうぶって無理を重ねていたら、いつか壊れてしまうから。鳥皮ぽんずは決して別人格じゃなく、あくまでも自分自身なので。

それに私、病院が好きじゃないんですよね。だからいっぱい食べて、いっぱい休んで、いっぱい遊んで、いっぱい配信して、健康的に過ごす。でもどん欲に楽しむ。それだけです!

ぽんず流 夢を叶える法則⑥オリジナリティを大事にする

―ぽんずさんの強みであり、輝きの源泉=illuminaryでもある。ステキですね!
あとぽんずさんといえば「そしゃく音クイズ」など、自主企画もユニークですよね。

ありがとうございます。私はうまく歌えるわけじゃないし、ゲームもできないので、どうすれば皆さんに楽しんでもらえるかって考えたら、やっぱり企画かなって。でも似たようなことをするとすぐにパクリ疑惑とか言われてしまう世の中なので、オリジナリティは大事にしています。

あと、誰でも楽しめるもの! せっかく来てくれているのに一部の人しか参加できないみたいなのは嫌なので。それでまず考えたのが「鳥皮ぽんずクイズ」です。枠に何度か来ていたら答えられるようなクイズを30問くらい用意して、正解数によっては特典あり。答えられなかった人にはもっと遊びに来てもらって、早く答えを見つけてねって(笑)。

挙げていただいた「そしゃく音クイズ」は、配信中に自分が好きなものが食べられて、なおかつみんなも楽しめるという、とっても幸せな企画。単純だけれど、年齢やファン歴を問わず盛り上がれるんですよね。

―さすが「スマホひとつ」で魅了するライバー・鳥皮ぽんずさん! 一枚絵の活用といい、自主企画といい、その斬新な発想はどこから?

まずはリスナー活動をしているときに、この人のアイコンリング好きだなとか、見せ方が上手だなとか、ふとした気づきが刺激になっています。そのまま取り入れるってことではないですよ。ファッション雑誌を見ていて、このスタイル好きだなっていう感覚と似ていて、その服が欲しいわけじゃなく、手持ちの服で自分ならどうコーディネートするか、みたいな。

IRIAM内にかぎらず、街なかで目についた情報とかプロモーションとかを見てインスパイアされることも多いです。周りからどんどんインプットして、自分だけができることに転換しながらいろんなことにチャレンジしています。

ぽんず流 夢を叶える法則⑦大きな挑戦で成長を加速する

―いろんな工夫を凝らしながら数多くのイベント参加や自主企画をこなされてきて、特に印象深いものを挙げるとしたら何でしょう?

いちばんの思い出というか、大きな出来事といったら「IRIAM×コンプティーク 雑誌モデル決定戦」ですね。

初めて参加したビッグイベントでしたし、もしも入賞できたらLive2D実装というごほうびもかかっていた、自分にとっての一大イベントでもあったんです。

ド田舎にいたころ、ファッション誌のモデルさんたちをいつもうらめしそうに眺めていた私が、全国メディアに掲載されるなんてことは夢のまた夢なわけで。一度でいいから雑誌に載って、鳥皮ぽんずをたくさんの人に見てもらいたい! そんな自分とリスナーさんの夢を叶えようって、3カ月くらい前から準備しました。企画を考えてはみんなに相談して、丁寧に計画を練って、とにかく全力で臨んだんです。

全部出し切ったけれど結果は4位で、めちゃくちゃ悔しかったですね。もちろん入賞は嬉しかったのですが、そこまで行けたからこそ、やっぱり1位になって見開きで載りたかった。次こそは! とやる気を再燃させながら、まずはもらえた掲載スペースでいちばん目立てるよう、色紙づくりに全力コミットしました(笑)。

掲載誌を見たときには、みんなの応援が形になったこと。自分とみんなの夢が叶ったことをしみじみ実感しました。何より、みんなが気軽に入手できる最高の記念品になったし、これが自分の好きなぽんずちゃんだって周りに誇ってももらえるなって。

雑誌をきっかけにたくさんの方が枠に遊びに来てくださって、中には「ぽんずちゃんに会いたくてIRIAMはじめた」って人までいて。想像以上の手ごたえがありがたくて嬉しくて、うまく表現できないくらい幸せでした。

それでこのイベントを機に、自遊空間やカラオケの鉄人店舗コラボ、バースデー広告掲載や書店のしおりなど、メディアやリアル連携イベントに参加するようになりました。Live2Dも実装されて「キレッキレに動ける鳥皮ぽんず」にパワーアップしたことも勢いになってか、ありがたいことにいずれも入賞させていただけたんです。

辺境の地で声優になるのをあきらめたあの子が、都会の街なかや雑誌で掲出される日がくるなんて。これってもう奇跡ですよね! ほんと二年前の自分に言ってやりたいです。ぽんず、不可能はないぞって。

 

―でもそれは悔しい経験をばねにしながら、次への一歩を常に踏み出してこられたぽんずさんだからこそ届いた、ご自身でつかまれた「奇跡」ですから。不可能にしないぽんずさんがすごいです。
それでは結びとして、今後の目標とこれからライバーになろうとされている方へのメッセージをいただけますか。

いつもイルミナリーを読んでいて、ほんと何度も何度も読み返していて、みんなすごいなと思って見ている側だった私が、何かを伝えられているのかとても不安なのですが、だいじょうぶでしょうか?

でもいまおっしゃっていただいたように、自分で目標を立てて挑戦すること。自分の決めた目標は確実にクリアするという思いで臨むことは、昔から意識してやっています。 いきなり高い目標じゃなくて、いまよりちょっと上をめざすくらい。テストで100点とるぞじゃなく、80点以上でOK。絵画コンクールだったら、金賞は難しくてもせめて銅賞とか。できない目標は立てない代わり、立てた目標は必ずクリアしてやるぞって感じです。

いまの目標はというと、ここまで来たら雑誌掲載のイベントで1位をとる! でしょうか。毎回激戦ですし、みなさんものすごいライバーさんばかりなのは重々わかっているのですが、そういう人たちに負けない、鳥皮ぽんずらしい配信で臨みたいと思っています。
どうかこれからの成長を期待しながら見守っていてください!

メッセージはそうですね、これもやっぱり「自分をあきらめないこと」かな。
いまの鳥皮ぽんずの姿を二年前の自分はまったく想像もしていないし、何より自分がいちばんびっくりしているんです。

スマホしかない、マイクも機材もない、特に目立った個性もスキルもない。それでもやってみれば何とかなるんです。実際「スマホひとつ」ではじめて、Sランク帯まで到達できた本人が言っています。トップバナーチャレンジの結果にも気落ちしなくていい。自分をあきらめる必要はありません。やりたい気持ちと伝えたいって想いがあれば十分です。怖がらないで一歩を踏み出してみてください。
だいじょうぶ、不可能はないから!

OTHER INTERVIEW