INTERVIEW


るいRui

主人から信頼を得てすべてを任される英国執事のような「メイド屋さん」をめざし、毎日22時からIRIAMにある「お屋敷」で給仕にいそしむ。大きな瞳にぱたぱたと動くひこうき耳が愛らしい、チワワ×女の子のミックス。2020年4月デビュー。セルフ受肉。

彼女はお屋敷を訪れる一人ひとりに寄り添い、やさしく包み込む。年齢や性別、職種や地位を問わず、どんな人でもその居心地の良い実家のような空間では自然とリラックスでき、おもわず笑みがこぼれる。
きょうも笑顔の彼女に会えると思うだけで、あたたかいお屋敷が待っていると考えるだけで、その日一日がんばれる。
意識せずとも自然と人に寄り添える、天から最高のギフトを贈られたメイドさん・るいの待つお屋敷へ、明日を生きるパワーをチャージしにいらっしゃいませんか。

ひとりで悩むあなたのために
何かできることをさがして

―まずはライバーになろうと思われたきっかけからお伺いできますか?

私がデビューした2020年の4月はコロナ禍が深刻化してきて、失業とか休学、外出制限とか、暗いニュースで社会全体がよどんでいるような時期でした。心が疲れている人や引きこもりになっている人がたくさんいるなかで、私に何かできることはないのかな、ひとりじゃないよって伝えられないかなって、ずっと考えていたんです。

そのころ、配信アプリがまわりでもはやっていて、これなら遠くにいる人とでもつながれるし、ひとりで悩んでいる人にも寄り添えるなと思ったのが、配信アプリをはじめたきっかけです。

それでリスナーとしていろんな配信アプリを試してみたんです。IRIAMさんは自分がいちばん穏やかに過ごせそうだったし、バーチャルなキャラクターとものすごく近い距離でお話ができるっていう特別感があって、自分に合っている気がしました。それに、少しの時間しか一緒に過ごしていなくてもライバーさんが「るい」って名前を覚えていてくれたり、ネット社会にありがちな暴言みたいなものもまるで飛び交っていないやさしい空気感だったり、とにかく心理的安全性がぶっちぎりだったんです!

あともうひとつ大事な理由が、IRIAMさんとユーザー間の距離が近いこと。当時はまだライバーさんやリスナーさんの数が少なかったこともあると思うのですが、何か困ってそうなライバーさんのつぶやきに対して、しらすちゃんがリプライでいろんなフォローをしてくれるとか、やさしく見守ってくださる感じがとても温かくて。それでここに根を張ろうって決めました。

主人の日常に寄り添い、支える
プロフェッショナルな
メイドさんをめざして

―そんな風に思っていただけていたなんて、嬉しいかぎりです。
そうしてIRIAMを選んでいただいてからデビューまでの準備はいかがでしたか?

配信をやろうと決めてからは早くて、キャラ設定もあっという間でした。一日そこらでいまの姿に近い、等身大の「るい」の姿を完成させた感じです。

「メイド屋さん」っていうのは〝萌え萌えキュン〟みたいなのじゃなくって、昔の英国や貴族のお屋敷に使えるメイドさん。バトラーや執事って言ったほうが伝わりやすいですかね? お仕えする主人を支えながら生活のすべてに寄り添う人っていうニュアンスなんです。

私は配信枠のことを「お屋敷」と呼んでいるのですが、お屋敷に来てくれる一人ひとりのリスナーさんに対して、しっかり寄り添えるメイドさんになりたいなと思って決めました。

デジタルでイラストを描くのは初めてでしたが、どんなお洋服で、どんな色合いならみんなが毎日でも穏やかな気持ちで見ていられるかなとか、バトラーに近いメイドさんの服を昔の資料から引っ張ってきて参考にするとか、思いつく工夫を凝らして。あと、チワワが落ち着いているときにペタンってなるひこうき耳の要素を足してみるとか、いろんな想いを詰め込んでできあがったのが「るい」です。

デビューといっても人気ライバーをめざしているわけじゃなかったので、事前に枠まわりをするとかフォロワーを増やしてからとかいった意識はまるでなくって。むしろ検索してもすぐ上がってこないような目立たない名前にしたくて、ひらがな2文字にしたくらい。

それで告知なし、フォロワー0人状態で初配信しちゃったので、しばらくたっても誰も来なくて、おせんべいをパリパリ食べながらリスナーさんが来てくれるのをひたすら待ってた記憶があります(笑)。

「配信者」になりきれない自分

―想像するだけで可愛らしいです(笑)。
その後配信はどうなりました?

ありがたいことに、数名の方が入ってきてくださいました。
私、お屋敷に来てくれるリスナーさんは落ち込むことがあった方で、コミュニケーションも苦手な皆さんなんだと勝手に思い込んでいたんですけど、実際はまったく違ってて(笑)。元気だし、コメントもいっぱいくださるし、むしろ皆さんのほうが配信に慣れているから、初対面から顔なじみみたいにフランクな感じで話してくださるのでびっくりしました。

さらにギフトをいただいたときは本当に驚きで。ギフトって大事な応援の気持ちだし、リスナーさんが汗水流して得たものの結晶でもあるじゃないですか。それを何もできていない初配信でいただけるなんて思ってもなかったので、嬉しい反面、私なんかがもらっていいのかなって葛藤がありました。

私はIRIAMさんが一般開放された直後にデビューしたんですけど、すでに活躍されていたライバーさんたちはプロのイラストレーターさんが描かれたすてきなお姿でキラキラ輝いていらっしゃるし、おしゃべりも上手な方ばかりで企画もすごい。それに比べて私は自分で描いた絵だし、雑談しかできないっていう劣等感があって、とてもギフトをいただけるような子じゃないのにって申し訳なくて。単に自分の実力不足なんですけど、そのころはとにかく自己肯定感が低かったんです。

それでも、一般ライバーの「るい」を見つけて応援してくださるリスナーさんが、たとえ数名でもいてくださるっていうのがとっても心強かったです。

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―不安の多いデビュー期を支えてくれるリスナーさんの存在って大きいですよね。
ひととおり配信のことがわかった後で、何かご自身に変化などありましたか?

「トップバナーチャレンジ」が大きな転機になりました。
参加した時点ではトップになりたいとか、イベントで走る! みたいな意気込みもなく、これまでどおりの雑談をして楽しんでいたのですが、イベントをきっかけに初見のリスナーさんがたくさん来てくれたり、いつも来てくれていた方がこれまで以上に来てくださるようになったりして、結果9位っていうまさかの順位をいただけたんです。

私にとっては驚くほどの上位だったんですけど、当時の9位は特に入賞者として紹介されることもなくて、どちらかと言えば〝入賞圏外〟というイメージでした。
同時に、こんなにたくさんの方が応援してくださったのに、皆さんに何も持ち帰っていただけなかったことが悔しくもあって。そのとき初めてライバーとして応援してもらうことの大切さがわかったんです。

リスナーさんたちにも「自分が応援したるいちゃんが○位に入賞したんだよ!」って自慢してもらえるようになりたい。イベントに参加するからには何かかたちに残るものを皆さんに持ち帰ってもらいたいって、強い意気込みを感じました。

でも、それで何か自分が特別なことをやれたかっていうとまったくで、やっぱり雑談しかできていなかったんですけどね。みんなが「るいちゃんはそれでいい。雑談がいちばんおもしろい」って言ってくれたのが自信になって、迷わず続けられたんです。あと、みんなと喜びを分かち合えるような順位まで行きたい、みんなと一緒にがんばりたいって想いや、上位をめざす理由をきちんと伝えるようしました。

そしたらリスナーさんたちが動いてくださって。お屋敷には奇跡的にお話がとても上手なリスナーさんたちが多くて、皆さんが口コミで「るい」のことを紹介したり、ライバーになって配信デビューしてまで告知してくれたりしたんです。それでお屋敷にたくさんのリスナーさんが遊びに来てくれるようになりました。

お屋敷の変化がかたちになって見えたのが、数カ月後に参加した「オリジナルイラストギフト」イベントです。見事1位に入賞できて、応援ポイントでも1位をいただけたんです。みんなでおもいきり喜びを分かち合えました。頼れるリスナーさんたちがいてくれてこそたどり着けた境地だし、本当に夢のような瞬間でした。

リスナーさんが伝えてくれる
自分の知らない「るい」の魅力

―るいさんの想いがリスナーさんに伝わった結果なのでしょうね。
ところで、先ほどるいさんは何もできてないとおっしゃいましたが、オリジナルのユニークな自主企画で皆さんと楽しまれていますよね?

え? 自主企画ですか?
あ、公式イベントでやってるのじゃなく、光るどろだんごをつくるとか、陶芸教室のことですね!
10月がデビュー半年記念にあたるので、毎年秋にちょっとしたミニ企画を行ってるんです。普段ギフトとかで応援できない人とも、「るい」とお屋敷の思い出ができればいいなって思ったのがきっかけなんですけれど。

基本的には自分がやりたいものや、おうちに置いておくと元気になれるようなものを作るっていうのがテーマで、一年目はピカピカのどろだんご、二年目は紙粘土で陶芸教室とか。大人になってからの工作って、何だかわくわくするんですよね。

リスナーさんには事前に告知して材料を用意していただくんですけど、「紙粘土ってどこに売ってるの?」「るいちゃんのとんでもない発想がおもしろすぎる」とか、準備段階からみんなが楽しんでくれるのが嬉しくて。当日はもちろんのびのび制作に没頭しながら居心地のいい時間を過ごして、終わった後もそれぞれが作品を発表してくれるとか。いつもとはまた違ったお屋敷の雰囲気で、みんなとわいわい盛り上がれたり、作品を通してリスナーさんたちの新たな一面が見られたりして、毎年楽しんでいます。

いろんな公式のイベントに出たり、日ごろのお屋敷でのお話だったり、一風変わった企画だったり。いろんな人がいろんなタイミングで「るい」と出会ってくれて、それぞれの視点でとらえた「るい」の魅力を伝えてくれるおかげで、私自身がいままで気づかなかった自分の好きなところを見つけられる。少しずつでも自分を認めてあげられるようになってきました。

お屋敷都市伝説
イベントのラスト30秒で
何かが起きる?

―デビューから四年目を迎えられるなか、特に思い出深いイベントというと?

二つあります。 一つ目は、いまはもうなくなっちゃったんですけど「Live2Dモデルを手に入れよう!」っていうイベントです。仲良くしていただいている女性ライバーさんたちが皆さんLive2Dモデルだったので、ずっと憧れてたんです。最初にも言いましたが、私は自作の絵だってことにコンプレックスを持っていて、その分声色に力を入れてはいたんですけど、プロの方の手で絵に表情が生まれれば、みんなともっと近くなれるんじゃないかな。いつかなってみたいっていう憧れが強くて、その気持ちをみんなに伝えたんです。

それを知ったみんなが一緒に走ってくれて、新しい姿は自分が描いて、みんなの力で「るい」の体を動かしてもらう。共同で新たな「Live2Dモデルのるい」を作るんだっていう想いで走って、1位をとれた嬉しさ。その体でいまも毎日配信できているという感謝もあって、自分にとって特別なイベントになりました。

二つ目は「IRIAM Birthday -May-」イベントです。
「遊園地」がテーマで、これまでのイベントでもテーマを決めたことはあったけれど、今回初めてキービジュアルをプロの方に依頼してつくっていただいたんです。私はデザイン力がなくて思うように遊園地を描けないのと、何か新しいことにチャレンジしたかったというのが背景なんですけど、できあがってきたビジュアルには想像をはるかに超える「お屋敷ならではの遊園地」の世界が広がっていました。細かな色合いにまですべてこだわって、こちらが伝えていない要素にもるいやIRIAMさんのことをしっかり配慮した工夫が凝らされていて。これがあれば全力でいけるって勇気をもらえた気がしました。イラストレーターさんきっかけで来てくださる方もいたんですよ。

あとは企画もグッズ制作もとにかく全部が楽しくて。
もちろん1位はとりたいけれど、お屋敷の中では順位を気にせず、「るい」だけを見て毎日楽しんでもらえたらっていう想いで、みんなと一日一日を楽しんで。毎日とにかく笑って、笑って、背中がつるくらい笑って、朝起きたら喉はガラガラで(笑)。お互いにお屋敷だけを楽しんだ一週間で、すっごく濃厚な時間をみんなと過ごせました。

本気で走るイベントの最後には必ずお歌を、その歌詞に私がそのときみんなに伝えたいメッセージが集まった曲を選んで披露するんです。
それはいろんなありがとうの想いが募りすぎて言葉が詰まって、私が何もしゃべれなくなっちゃうから。歌詞に載せて想いが伝わるよう、歌詞の意味にこだわって選曲した曲を歌わせてもらっています。

そうして今回も歌っていたらみんながどんどんギフトを贈ってくれて、涙でもう目がぐちゃぐちゃで何も見えなかったんですけど、ラスト30秒で逆転。気づいたときには1位まで押し上げてくださっていたんです。遊園地のフィナーレでステキな魔法がかかったような、すべてが特別な体験で。思い出すだけでも涙腺が崩壊してしまって......(もはや号泣)

「がんばっているあなたが
好きになれる自分と
出会えますように」

―本当にすてきな、夢のような遊園地だったことが伝わってきます。
最後に、皆さんにもるいさんのように自分らしくIRIAMを楽しんでいただけるよう、何かメッセージをいただけますでしょうか。

はい。IRIAMさんにはすてきなライバーさんが多いので、なかなか自分のことを見つけてもらえなかったり、視聴人数が集まらなかったりして心が折れちゃうこともあると思います。
私も一人や二人から始まって、ちょっとずつ増えていって、大きな盛り上がりもあれば気持ちがへこんで落ち込んだときも経て、それでもずっと自分のことを見続けてくれる人がいてくれたからいまにつながっているんです。

だからどんなに小さな活動であっても、ライバーさんのことを大好きでいてくれる存在を大切にしながら続けてほしいです。外の人から見える数値化されたランクやポイントとかだけにとらわれることはないし、いろんなコミュニティのかたちがあっていい。どんなライバーさんにだって、それぞれに憧れの対象となる側面があるはずだから。自分らしい配信をあきらめないでほしいです。

がんばっているあなたが、自分のこれが好きだ、誇っていいんだってものを見つけられて、自分では気づけなかった一面を教えてくれる人と出会えるよう祈っています。

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