INTERVIEW

使

赤咲アタリAtari Akasaki

天界からやってきた多彩ボイスの狛犬少女。リスナーが大当たりな毎日をおくれるよう勤める。80種類以上ものギフトのお礼セリフや声真似など多芸を誇るが、さらなる神使いをめざして修行にも励む。2019年7月デビュー。

「光陰矢のごとし」というが、彼女がIRIAMで過ごしてきた長い年月のなかには無数の光と影が存在する。多彩なエンターテインメント性とゆるぎない人気で、多くのライバーたちが憧れ、目標ともするその人は、決して自分の弱さを隠さない。
〝なりたい自分〟として好きなだけ自己顕示ができる世界にあって、常に等身大の姿で、ありのままの声を聞かせてくれる、その〝引き算〟の覚悟こそが美しくも尊い。
会える日はもちろん、会えない日の空白すら人を魅了してやまない、赤咲アタリの神域にようこそ。

【大吉のち小難】
願望:叶うが油断は大敵

―2019年以来、長きにわたってIRIAMで配信を続けてくださっているアタリさんですが、そもそもライバーになろうと思われたのはどのようなきっかけだったのですか?

配信に興味を持ったのは、友だちから「Vtuberって知ってる? 向いてると思うよ」って言われたのがきっかけです。見てみたらゲーム配信や歌配信が多くて、自分はゲームやらないし、できなそうだなっていうのが第一印象で。でもIRIAMは雑談中心ってあるし、これならできるかな、オーディションを受けてみようかなって、ダメ元覚悟で気軽に挑戦できたのが良かったのか、合格できてデビューが決まったんです。

ライバーっていまでこそ「素のままの自分」で自由に長時間おしゃべりして楽しむというスタイルが定着しているけれど、そのころはまだ決まった時間に「キャラクターになりきって」配信するというのが一般的だったんですよね。

それにキャラクターになりきるといっても、アニメの声優さんみたいにすでにある台本をもとに役づくりをして演じられるわけじゃなく、一から自分で設定や背景を組み立てながらキャラとして生きなきゃだから思った以上に難しくて。大変すぎる、これは自分には無理だって、思わず逃げ出したくなりました(笑)。

週4日、毎回1時間程度の配信ではあったのですが、ちょうど日常生活が忙しくなってきた時期とまる被りしまって、完全にキャパオーバーだったんでしょうね。
あと、自分より前にライバーデビューされていた先輩方の枠にはリスナーさんが大勢いて、ギフトもたくさんもらえているのに対して、アタリの枠にはなかなか人が来ないし、話もあまり盛り上がらない。理想とのギャップやコンプレックスがすごくて、そのうえ喉まで痛めちゃって、つい弱気になってしまったんです。

【はじめての縁結び】
待ち人:恵まれる 皆あたたかし

―アタリさんにもそのような時代があったのですね。なんだか新鮮です。

でも、何もできないこんな自分を日々待っていてくれて、ギフトを贈って喜んでくれるリスナーさんたちがいるんだってことも次第に見えてきました。それに気づけたときはもう嬉しくて、嬉しくて。

それに、せっかく受かったんだからちゃんと続けて、少しでもIRIAMに貢献しなきゃっていう自覚というか、責任感みたいなものも湧いてきて......って、これも気づくの遅いよって話なんですけどね。

同期ライバーに比べたら実力も人気もまるで及ばなかったけれど、周りとの優劣や目先の数字じゃなく、こうして来てくれる人たちを楽しませることだけに集中しようって、気持ちを切り替えられたんです。

ライバーとしてアタリはまず何をやるべき? 枠に続けて来てもらうにはどうすればいい? 配信をもっと工夫してみよう、こんな企画をやってみようって試行錯誤しながら、迷ったときにはIRIAMのことを熟知していてリスナー目線も持っているマネージャーさんにとにかく相談して。

一年くらいかけて「赤咲アタリ」というキャラクターのロールモデルや配信スタイルを丁寧に作りあげていったんです。

その期間はアイデアを一つひとつ試しては改善してという地味なアプローチの繰り返しでしたけど、日々の気づきを反映させながらエンタメ要素を強化していった感じです。

たとえばギフトのお礼セリフもその一つ。ギフトごとに特定のリアクションがあったらいいよねって話になって、セリフを作ってみようか→アタリ作れるよね?→すぐ作って、みたいな流れで(笑)。それはもう必死に、80パターン以上のセリフを考えたのを思い出しました。

【ふたたびの縁結び】
配信:良き 人のために励め

―一年がかりですか!? でもしっかり時間をかけてこそ生まれた高いエンターテインメント性なのだと改めて理解しました。リスナーさんたちを楽しませるための工夫の積み重ねだというのもまたアタリさんならではという気がします。

とんでもないです。いまもですけど、当時は輪をかけて自己肯定感が低くて、リスナーさんに可愛いって言ってもらっても「そんなそんな」とか「全然可愛くないです」って否定しちゃうとか、ちゃんとキャラクターとしてしゃべれていなかったくらい。「なりたい自分」じゃなく「素のままの自信のない自分」で答えちゃってた。われながらなんて失礼な態度なんだって、いまなら注意してやるところです。

あと、大事な神使いの試験があったときにもそちらに気を取られてしまって、配信に集中できないという理由で突然1カ月ほど休んでしまったこともありました。

でもそんな突然の休止だったにも関わらず、みんなはアタリが帰ってくるのを信じて待っていてくれて、復帰したときには大喜びして歓迎してくれたんです。

その神使いの試験に落ちてしまった直後だったし、コロナ禍でいろんなことがうまく回らなかった時期でもあったから、みんなの温かい反応にものすごく救われて。アタリがいつでも寄りかかれる、帰れる場所をつくっていてくれる人たちがいる。そんな大きな愛情に包まれていることがもうありがたくって、感謝の気持ちが一気にあふれ出てきました。

同時に、ここまで想ってもらえていることをちゃんと誇りにしなきゃ。もっと自信をもって、少しは自分を認めてあげようって思えたんです。それと、形として見えるコメントやギフトでの支えはもちろんだけど、リスナーさんという存在そのもののありがたさっていうのかな。大切なこの人たちのために全力でがんばろうって、ようやくライバーとしての覚悟が決まった感じでした。

【大吉を引き寄せる】
願望:努力は叶う 信じよ

―配信への向き合い方が変わったことで何か具体的にこういうことをした、こんな変化があったみたいなエピソードはありますか?

手ごたえを感じたのは「コーデチャレンジ」っていう、もういまはないんですけど上位入賞したら専用衣装を作ってもらえる、ライバーの登竜門のような大きなイべントに出たときですね。

マネージャーさんと「本気で活動するならちゃんと数字も追っていこう」、「参加するなら上位入賞してリスナーさんたちにも喜んでもらおう」って話して、はじめて真正面から1位をめざして臨んだイベントなんです。

最近はあまり参加できていないですが、本気で走るイベントではだいたい2、3カ月くらい前から準備するんです。マネージャーさんと二人三脚で企画を練りに練る。その原点がこのイベントでした。

具体的には、もっと新規のリスナーさんが増えるように「初見さん歓迎キャンペーン」と称して、来てくれた初見さんにスタンプカードを渡して、スタンプが増えるごとに限定ボイスとかいろんな特典を用意したり、常連リスナーさんたちも楽しめるよう、初見挨拶を一緒に盛り上げてくれた人にはまた別で特典を設定したり。とにかくたくさんの人が参加できて、同じ時間を楽しめて、応援してよかったと思ってもらえるような企画を考えました。

それで結果ありがたいことに1位をとらせてもらえたんです!
初めての1位をみんなアタリ以上に喜んでくれたし、いままでにない高い目標を達成できたという成功体験が何よりの自信になりました。

【大当たり~!】
賭け事:命中 さすがはアタリ

―一つひとつの経験の大事さですよね、
ちなみに、あのアタリさんの見事な配信部屋などもその積み重ねの一環として徐々に整備されたのですか?

いえ、あれはデビュー前につくったものなんです。
偶然ですけど、そのマネージャーさんがオーディションでも面接官をされていて。質疑応答でアタリが「配信するのにまず必要なものって何ですか?」って聞いたら、「取り急ぎ簡単にレベルアップできるということなら性能のいいマイクだね」って即答されたんです。

だから合格と聞いた日に速攻マイクを購入して、ほかにも配信者のYouTubeなんかを見ながら必要そうな機材を調べていって、手作りで完成させたのがあの部屋です。クローゼットをぶち抜いたせっまーい場所だし、夏暑いんですけどね。

―え。「マイクだね」のひとことから、あそこまで充実したブースを完成されたのですか?
アタリさんの本気ってすごいですね!

すごいというか、なんというか......ビビりだからやれる準備はすべてやっておきたいみたいな、変なとこだけ生真面目な性格で。ほんと何も知らない状態でオーディションに臨んだものだから、受かった後に慌ててリサーチして、いろんなVtuberさんの動画を片端から見て研究しました。「IRIAMはスマホひとつで~」ってことすら忘れて、配信環境とはこういうものだと思い込んでしまった結果の産物でございます。

それからずっとIRIAMの配信人生をともに歩んできたあの場所なんですけど、先日、企業のプレゼントキャンペーンの抽選でラッキーにも防音ブースが当たりまして。われながら、まさかの大当たり(笑)なのですが、それで近々リニューアルする予定ですので、パワーアップした配信部屋の完成を期待していてください!

【狛犬少女×リスナー】
配信:共に励めば育つ

―楽しみにしています!
それにしてもイベントの準備といい、配信部屋づくりといい、アタリさんはやるとなったらとことん追求される方なのですね。

ほんとビビりだってだけで、そんなかっこいいものではないです! イベント前はきちんと方針を決めて走ってますけど、普段はその場を楽しむことしか考えていないので。
だから経験則のない最初の一年なんかは、話すことややることがすぐに尽きてしまって。いつもみんなのコメントに助けられてました。「○○してみて」ってリクエストをくれたり、タイミングよくツッコんでくれたり。それにアタリがうまく乗っかることでおもしろい展開になる。コメントに限らず、スターやギフトとか、いろんな〝合いの手〟をくれることで楽しく配信することができたんです。

それはいまも変わらずだし、「赤咲アタリ」の枠はリスナーさんと一緒につくってるんだ。リスナーさんは決して観客ではなくて、これまで過ごしてきた大切な時間や「赤咲アタリ」のストーリーをつくりあげているのはみんなとアタリなんだって思っています。

もちろんライバーとして、みんなにもっと楽しんでもらえるよう勤めるのも基本。
日によって、その場の雰囲気によって、来てくれた人の反応によって、それぞれ展開を変えるとか。途中からでも違和感なくスムーズに切り替えられるよう、事前に幅広い話題をストックしておくとか。リスナーさんの求めるものが明らかに違えば、時間帯で分けてゴールデンタイムは元気にわちゃわちゃ、深夜枠はまるで場末のスナックのような雰囲気でやるとか(笑)。
声や話し方なんかも時と場合によって変えて、みんなが飽きずに楽しめるよう工夫しています。

【吉凶混合】
万事:あせらず ゆっくりと

―いろんな工夫で飽きさせないってことも長く配信を続けるためには大事な要素ですし、アタリさんの多彩ボイスも生きるわけですね!

ありがとうございます。
でもエンターテインメントでありたいからこそ、自分がみんなにちゃんと「楽しい」をお届けできるときにしか配信ができなくて、リスナーさんに申し訳ない気持ちもあるんです。

昔からなんですけど、自分に余裕がないと感情がマイナスに傾いて、何気ない一言に傷ついたり攻撃的に反発しちゃったり。だから日常でいろいろ落ち込むことがあると、どうしても配信ができないんですよね。

アタリの枠はやっぱり来てくれたみんなが楽しくなれる。日常ですごく嫌なことがあった日でも、ここに来れば少し気分が上がる〝大当たり〟な配信にしたいから。もし自分の感情のブレで予期せずネガティブな言葉や反応が出ちゃったら、枠の空気を重くしてしまったらリスナーさんを満足させられない。楽しんで帰ってもらえない。そう思うと怖くてできないんです。

そうでなくても忙しいときは配信頻度が減りがちで、待ってくれているのにごめんねって気持ちばかり焦っちゃって。

―気持ちのお話で第三者が勝手なことを言うのもおかしいのですが、ご自身の心が疲れているときにもリスナーさんのことを想って、配信を休むことを決断できるというのは十分すごいことではないでしょうか。アタリさんのプロとしての姿勢が伺えます。

そんな風に考えたことなかったです。けどリスナーさんたちもみんな状況を理解してくれて、無理しなくていい、いつ帰ってきても大丈夫だからって見守っていてくれて。そういうリスナーさんたちに支えてもらって、いつも応援してもらえてるからもう丸四年、もうすぐ五年目に入るのか。こんな長い期間、ずっと配信し続けてこられたんだなって思います。「ありがとう」って言葉だけじゃ足りないですね。

×

―いつもであれば、これからライバーをめざそうとされている方にメッセージをいただくところなのですが、アタリさんにはぜひその長い経験を通していま思うこと、伝えたいことなどをお話しいただいてもいいですか?

はい。えっと、そうですね、気づけばこんなにも長くライバー活動をやらせてもらっていて。これまでの話で十分伝わってると思いますが、もともとマイナス思考で自己肯定感も低かった自分が、みんなの応援のおかげでがんばれて、みんなに認めてもらえたことが自信になって、気づけば徐々に前向きなベクトルにシフトしていました。

IRIAMを始めてたくさんの成功体験が積めたことで、これまで自分には無理だとためらいがちだったことにも「やればできるんじゃないか」ってチャレンジできるようになったし、日常生活でも「努力すれば結果が出る」と信じて行動できるようになりました。

実際、そう信じて行動できた結果、長年の夢だった神使いの試験に受かることもできました。ただそれは必死で勉強しただけじゃなくて、成功体験から得られた自信をばねに、勇気をもって積極的にアプローチできたことが大きくて。神使い見習いからの卒業と同時に、自己肯定感の低い弱気な自分からも卒業できました。ほんとIRIAMで成長させてもらえたお陰です!

試験のことに限らず、もし結果的にうまくいかなかったとしても、がんばったことや勇気をもって自分らしく行動した過程を認めてくれるリスナーさんがいる。みんな変わらず応援してくれる。それ以前に、みんなも一緒にがんばってくれていると思えただけで、自分が一歩を踏み出すときの足も軽くなった。そのことも大きな支えになってくれました。

ライバーさんたちとも仲良くなれました。みんな個性豊かで、考え方も人それぞれ。親しい人とは友だちとしていろんな相談を、そうでなくてもキャラとして接するだけで十分多くのことを学ばせてもらっています。

オーディションに受かってからの長い期間、本当にたくさんの貴重な経験や大切な出会いをくださったIRIAMに改めて感謝します。
アタリのことだけじゃなく、Twitterなどで他のライバーさんのイベント入賞への感謝メッセージや、ライバーさん、リスナーさんを問わず「きょうの配信すごく楽しかった!」ってツイートを見かけるたびに、IRIAMでまたすてきな感情や経験が生まれているんだなって嬉しく思っています。
IRIAMを楽しむ全ユーザーのために、大当たりなアプリでいてください(笑)。これからもよろしくお願いします!

―IRIAMへの温かいお言葉やすてきな表現をいただけてとても光栄ですが、アタリさんご自身がそうしたIRIAMを共に創り上げてくださった一員であり、パイオニアでもあって、運営チーム一同感謝しかありません。
これからもアタリさんをはじめ、ユーザーの皆さんにとってIRIAMが「いつでも好きなときに帰ってこられて、たくさんの出会いや貴重な経験を楽しんでいただける場所」であるよう精一杯努めてまいります! 本日はありがとうございました!

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