IRIAMで動く自分のキャラが
可愛すぎた件
―イラストレーターやアニメ制作、ボイスアクターなど多様な活動をされているさやま まやさんですが、配信活動をはじめられた経緯について教えていただけますか?
情報を発信するという意味では、まず2019年11月にVTuberデビューして、YouTube内で動画投稿をしたのが最初です。イラストやアニメ、シチュエーションボイス、あとLive2Dモデルなどについて、それぞれの「作品」と「作り方」の動画などを投稿しています。
そこで「簡単にVTuberになれる方法」を紹介できればと思って、何か簡単に絵を動かせるアプリはないかなといろいろ調べていたときにIRIAMに出会ったんです。動画でもいくつかピックアップしたうちのひとつとして紹介しました。
IRIAMは自分のイラストが動くというのが魅力的なんですよね。自分が描いた、自分のなりたいキャラに自分自身がなって動けるっていうのがとにかくすごい。
自分でアニメーションを作っているから余計感じるのかもしれませんが、手描きだと1分間動かすのに600枚くらいの絵が必要なんですよね。その一枚一枚を仕上げるのにかかる時間を考えたら......と思うと、スマホひとつでこんなことができるようになったんだ。しかも配信機能のクオリティが本当に高くて驚愕でした。
実際に自分のキャラを動かしてみたら、これがもうあまりに可愛いすぎちゃって(笑)。本当にすごいなってわくわくしながら見ていたら、それがライバーをやりたい、やるしかないって感じに気持ちが変化してきて、IRIAMでのデビューを決めたんです。あっという間でしたね。
それで、さっき言ったアプリ紹介動画内の最後にはもう初配信予告までしてました。
「IRIAMはギャラリーを併設した
自分が大家の<シェアハウス>」
―いろんな視点からIRIAMを高く評価していただけて光栄です。
すでにVTuberとして活動されていたとはいえ、IRIAMはコミュニティという意味でこれまでとは少し趣向が違ったと思うのですが。
そうですね。それぞれの違いを表現するなら、YouTubeは「なじみのある街だけれど、ちゃんとお出かけ服を着て行った先の注目ギャラリー」ってイメージかな。動画投稿がメインというのもありますが、自分が目一杯つくり込んだ作品を飾ってもらって、世界のいろんな方に見ていただく機会をもらえる場所って感じですね。 だからそこでは自分の作品を世界に届けるぞって意気込みでいるので、ちゃんとおめかしをして、背筋を伸ばして、言葉も選びながらちょっとよそゆきな私でいます。
対して、IRIAMはおうちに近いですね。1階に私の絵を飾るギャラリーを併設した、自分が大家の「シェアハウス」って感じかも。2階に私やリスナーさんたちが住んでいる部屋があって、配信の時間になると私が「ご飯の用意ができたよ〜」ってダイニングという枠に住人たちを集めるイメージかな。
ダイニングに集まって私のつくった料理を食べながらおしゃべりをしたり、スターやギフトでギャラリーの飾りつけや演出を手伝ってもらったり、ときには遠くでそれぞれの作業に追われながらも楽しそうに誰かがしゃべっているのを聞いていたり。食事の時間に気づかず降りてこない住人をツイートで呼びに行ったりするっていうのが、IRIAMのある日常って感じですね。
配信もほとんど素の状態。外向けの窮屈な皮を脱いで、「本当の自分」で過ごせています。IRIAMではおうちの中みたいに自然体でやりたいことができるし、本音でお話しできるんですよね。さやま まやの本音や中身もだだもれ状態だし、住人のみんなにとっても本当の自分として気ままに過ごせる場所であってほしいなって思っています。
毎日配信することを
喜んでくれる人がいる
―シェアハウスとはすてきな表現ですね。大家さんは多芸だし、いろんな企画や作品でわくわくさせてもらえて住人の皆さんは毎日楽しいでしょうね。
ちなみに大家さんとしての役割はオープン当初から問題なくこなせた感じですか?
いえいえ、私かなりの緊張しいだし、どちらかというとおしゃべりは苦手なんです。YouTubeの動画などはすべて台本があるからしゃべれているだけで、事前にぜんぶ原稿を書いて、万全の準備をして、よし記録するぞっていう意気込みでやっているんです。
でもIRIAMには台本がないし、最初はものすごく緊張しているうえに使い方もよくわからないまま配信していたので、うまくしゃべれてなかったと思います。もう3年くらい前の話ですけど、来てくださったリスナーさんたちが「これはこう使うんだよ」って一から教えてくれて、みんななんてやさしいんだ、なんて温かいんだって感動したことは覚えています。
はじめたころは毎日配信していたわけではなく、気が向いたときにふとやってみようかなくらいの感覚でした。そしたらリスナーさんが毎日やってよって言ってくださって、私なんて何もできていないのに毎日配信したら喜んでくれる人がいるのかって嬉しい驚きでした。それでいまのスタイルになったんです。
それに、いつも待っていてくれるリスナーさんや、住人として見守ってくれる皆さんがいてくださるからこそ、ずっと配信を続けられてるんだなって。しみじみ感謝しています。
自主企画最高
―ライバーさんにはイベントへの入賞などを目標として活動をされている方も多いのですが、まやさんにとってモチベーションになっていることは何ですか?
そうですね。イベント入賞をめざして熱く走るとか、いわゆる「ガチイベ」みたいなものにはそれほど参加していなくて、それよりも私が企画したイベントで一緒に遊ぼうよーって感じ。私、もともと何かを企画することが大好きなんです。
それでも、たとえばその当時開催されていた「pixiv広告掲載」の広告モデル決定戦イベントに関しては、リスナーさんたちがこれはまやちゃんのためにあるようなイベントだから出た方がいいよって背中を押してくれて、応援してくださった結果、嬉しいことに入賞できました。あとは達成型のイベントとか、いつもどおりの配信スタイルがぶれることなく、みんなも楽しめそうであれば参加しています。
けれど、やっぱりIRIAMでの楽しさといったら自主企画ですね。
はじめてやったのは、ライバーさんを妖怪に変身させちゃう企画です。初配信から2カ月くらいたったころだったかな、「IRIAM百鬼夜行」と題して開催しました。
はじめは自分の衣装をあれこれ考えていたときにいろんなアイデアが浮かんで、実際に作っていくつか試したうえで選んだんですけど、採用しなかったデザインにも捨てがたいものがたくさんあったんです。
だから期間限定でいろいろ着替えながらも、もしかしたらほかのライバーさんたちも普段と違った衣装を着たい願望があるのかなってふと思ったんですよね。ハロウィーンやIRIAMの公式イベントとは別に、ちょっとした趣向として変身を楽しんでもらえたら。またそんなライバーさんの変化を見たリスナーさんたちが楽しんでくださったらいいな、みんなでわいわい盛り上がれたらいいなって思って企画したんです。
「企画に参加してくだされば変身させます。どなたか変身させてくださる方はいませんか?」って、シンデレラの魔法使いになったような感覚ですよね。
そしたら想像していた以上の反響をいただけて、たくさんの方が自主企画に参加くださいました。
あと去年だと、IRIAMの限定背景やギフトが特典のイベントに合わせたデザインを考えて、「サニーデイアメリカンダイナー」という企画を実施しました。IRIAMから配布される素材っていつも本当に可愛くて、公開された瞬間にうわぁ――! って飛びついて、すぐにオリジナル素材を作っちゃうんですよね。
ご自身では作成できない方も多いので、使いやすいよう素材を加工して配るといろんな方が作ってくださるし、実際に使ったアイコンで遊びに来てくださる方もいて、こちらもテンションが上がります。
つながりが広がる
誰かが喜んでくれる
―まやさんならではのつながり方ですね。枠の内外を問わず、リスナーさんもライバーさんもみんなで盛り上がりたいという独特のスタイルでIRIAMを楽しんでくださっているのが伝わってきます。
はい、普段の配信だけだとつながれない方々と知り合えたり盛り上がれたりするのはほんとに楽しいです。
自身がクリエイターなので、物を作って、その物を通じて誰かが喜んでくれることが嬉しかったし手ごたえになった。その感覚をそのまま配信に持ち込んだ感覚なんですよね。基本的に自分のやりたいことは変わっていないし、これまでどおりやっているイメージです。
リスナーさんも喜んでくれるし、いままで話したことない人やフォローのみだった方、さやま まやのことをまったく知らないフォロー外の方までがたまたま企画を見つけて参加してくださる。
参加するだけじゃなく、「楽しかった」「ありがとう」って直接声を届けてくれる方もいれば、その方のツイートなどを通してファンの方々や参加してくださった皆さんの反応が伝わってくるのもあって、さらにやりがいになっています。こちらの方が感謝だなって思ってます。
でもそうやってつながりが広がっていく一方で、いつも来てくださる方が一人でもいなくなっちゃったときは心がぽっきり折れてしまって、「もうダメだ、やめたい~」って考えることもときどきあります。
さっきも言ったように「大家さん兼住人」感覚なので、一緒に生活していたハウスメイトさんが引っ越しちゃっていなくなるというのは絶望的な寂しさなんですよね。心に穴が開いた感じ? その方にはその方にしかない個性や魅力があるし、すぐに別の人で埋まるというものじゃなくて。
けど、自分のやりたいことは目の前にあるから、悲しみながらもそれに向かって日々の配信を続けているうちにまた新たな、独特の魅力やキャラクターを持つリスナーさんに出会える。楽しいな、もうちょっとがんばってみるかって少し気持ちが浮上してくる。何なら失恋の乗り越え方に近いかもですね(笑)。
それでもやっぱりしばらく会えなかったリスナーさんに会えると嬉しいし、戻ってこられたときには元気よく「おかえり〜!!!」って言いたいです。思い当たる皆さ~ん、いつでも帰ってきてくださいね!
日常にもイベント性を
―IRIAM全体を対象とした自主企画もあれば、枠という身近なコミュニティでも日々いろんな出来事が起こっているのですね。
配信にもちょっとしたイベント性を持たせているんですよ。配信は基本毎日22時か22時半から行っているんですけど、それとは別で朝には「いってきます」、夜に「ただいま」の5分くらいのミニ配信を去年の秋ごろからやり始めたんです。
2年以上も毎日配信を続けていると、IRIAMってほぼ生活の一部なんですよね。だから日常の挨拶感覚で、ある日ふと仕事終わりに「ただいま」って言って配信してみたんです。
そしたら気づいたリスナーさんたちが「いきなり何事?」って言いながらやって来てくれて、そのとき思ったんです。こんな偶然もおもしろいよなって。たとえば街を歩いていて、たまたま見上げた巨大モニターに推しのPVが流れてきたらラッキーって思うじゃないですか。そんな感覚で、たまたま気づいた人だけが楽しめる配信。「あ、今朝はまやちゃんを捕まえられた! ラッキー」なんて思ってもらえたら嬉しいなって思いながら、私も毎日楽しんでます。
―そんな楽しみ方もあるのですね! 配信になかなか人が集まらないと悩んでいらっしゃる方も多いのですが、そういった別の発想から自分に合った配信を楽しめたらいいですね。
YouTubeとかだったらふと思い立ってもいろんな機材を組んで環境を整えてやっと配信ってなるんですけど、IRIAMならやろうと思えばすぐに配信できるので。サプライズ配信、楽しいですよー。
もちろん配信の根幹部分ではいまやっている企画ものをやっていきたいですし、もっといろんな人に参加してほしい。いろんな人を描いて、いろんな人を変身させて喜んでもらいたいって気持ちは変わりません。
アイデアもたくさんあふれ出てくるんですけど、さすがに私一人ではできることに限界があって、なかなか実施までたどり着けないことも多くて。どなたかそんな活動をお手伝いしてくれる方がいてくれたらなって、いつも思ってます。
なので、ぜひ「一緒になって自主企画を共催してくれるライバーさん絶賛募集中!」って書いておいていただけますか? よろしくお願いします!
よりカラフルで自分らしい配信を
みんなと完成させていく
―熱い思いが伝わるよう念じながら記載しておきます!
それでは最後に、まやさんのようにクリエイターの方でこれからライバーになろうと思われている方、そしてこの記事に出会われた皆さんにメッセージをいただけますか?
自分の作品って、それが静止画でも動画でも、完成した状態でしか世に出せないんですよね。制作の裏側や完成に至るまでの苦労や想いみたいなエピソードは伝わらないし、ましてや完成に至らなかったモノは表に出ることもなく、部屋の片隅に置かれたままどんどん溜っていったり捨てられたりする。でもそれってどこか悲しいし、作品だけでは表現できないいろんなことをもっと自由に伝えたいなって思うんです。
私にとってはそれがIRIAMでの配信でした。YouTubeでは背伸びしながら「作品」として一生懸命おめかししていた私も、IRIAMではリアルな自身を自由に表現できている。欠落した部分すら作品としてそこに閉じ込めることができているのかなって思うし、さらにはリスナーさんが来てくれていろんなきっかけをもらえることで、自分では考えもしなかった方向に作品が展開したり発見があったりする。そんな表現の楽しさがあるってことを伝えたいです。
逆に、作品ってただ構想しているだけでは何物にもなっていない。私にとってのIRIAMも同じで、私は企画を立てるのが大好きだけれど、企画ってただの「枠組み」なんですよね。絵でいえば、色の塗っていない「下描きだけ」の状態、要は「未使用のぬり絵シート」みたいなものなんです。
どんなにステキなぬり絵でも、みんなに見つけてもらって実際に色を塗ってもらわなきゃいつまでたっても絵として完成しない。配信でも、リスナーさんが来てくれてそこに居てくれることで、コメントやギフトやスターで盛り上げてくれることで、みんなが持っている色が一色ずつ塗られて枠が彩られていって、ようやくカラフルで自分らしい「配信」が完成するんです。
もちろんクリエイターの方でなくても、表現するどころかもう日々の生活に疲れちゃったとか、うまく立ち回れない自分が嫌いだとか、自分に自信が持てずダークな暗闇のなかで苦しんでいる人たちにこそ、IRIAMをお勧めしたいです。
IRIAMは誰であってもすてきな色たちが見つけられる場所だから。一緒に配信という自由なキャンバスを彩ってくれるリスナーの皆さんには「出会ってくれて、いつも私を彩ってくれてありがとう」と。これから出会っていくあなたには「すてきな色にめぐりあえますように」と伝えたい。そして、「さやま まや」という色が、あなたの世界を少しでも彩れたなら幸せです。