INTERVIEW

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大福あんDaifuku Ann

得意の歌やダンス、キュートなコスプレ姿が話題となり、TikTok LIVEなどでも大きな注目を集める人気ライバー。2022年8月にIRIAMでデビューを果たすと、10億円という目標に向かって日々配信にいそしむ。自身のライバー活動と並行して所属事務所の人材育成やマネジメント業務もこなすなど、マルチに活躍中。

「10億円」という壮大な目標を掲げ、ライバー街道を突き進む大福あん。その素顔は、目の前のタスクに全力で取り組む真面目さと母なる愛情に満ちていた。ひたむきに一歩ずつ前に進みながらいつしかゴールへと、値千金の成長を見事に遂げそうな気がする。
次元を超えて展開する彼女の大いなる挑戦を熱く見守りたい。

次元を超えても
自然体の自分で

―さて本日のインタビューですが、キャラとしての大福あんさんとマルチに活躍されるライバー・大福あんさん、どちらにお話を伺えますでしょうか?

それね、我も気になってたんです。今回「イルミナリー」で取り上げてもらえるってなったとき、ほかのライバーさんとはスタイルが違うというか異質な感じだと思うし、どうなるんだろうって。

けど、我の場合、キャラをつくるとかプラットフォームごとに設定を切り替えるとかはしてなくて、どこでもそのままの自分なんです。IRIAMの立ち絵も自分をモデルにしてつくってもらったくらいだし、ほんとにそのまま我が二次元にきて配信してますって感じなので。
普通に何でも聞いてもらって大丈夫です!

―承知しました、ありがとうございます!
それでは大福あんさんの配信の歴史からひも解いていきたいと思います。まず配信を始められたきっかけは?

2021年8月下旬くらいだったかな。コロナの感染拡大でまだまだ外に出られなかったときに、ある配信アプリのスタッフさんからお声がけをいただいたのがきっかけです。

もともと自分の音楽を発信したりステージ上で歌ったり、あとメイドカフェで働いていたときに店内イベントでMCをした経験なんかもあったので、何かしらライバーと共通するし、我にもできそうかなと。

それに、コロナの影響もそうだけど、子どもが小さいからなかなか自由に出歩けなくて、ずっと家にいてストレスもたまりがちだから気分転換になるかもなって。
あとは何より、収入源になりますよって聞いたので(笑)。家にいながら配信するだけでお金がもらえるなら、いいバイトになるなと思ったんです。

10億円の訳

―お子さんがいらっしゃるんですね。
収入といえば、プロフィールにも「10億円」という印象的な記載がありますよね。

事務所の社長にもドン引きされてるんですけどね(笑)。それでも「10億円!」ってずっと言い続けてるんです。夢のある金額だし、響きもいいでしょ?

10億円あれば、我だけじゃなく子どもと二代にわたって、あくせく働かずにのんびりだらだら暮らせるから。そういう額面なんです。あ、ちなみに手取り額です(笑)。

だから何かとお金、お金といっておねだりしちゃってるんですけど、自身はかなりどんぶり勘定だし、それほど物欲もないんです。使ってもWeb漫画におもいきり課金しちゃうとか、配信を見ていてギフトをどんどん贈っちゃうとかくらいで。
けど、子どもの将来のためにもここはがんばらねばと!

―破格の額面の背景が「だらだらしたい」というのは意外です。過密なスケジュールをきっちり管理して配信されている印象だったので。

我ながら両極端なんですよね。メリハリというか、ステージに立ったり仕事をしたりするときはきちっとやりたいし、やるならがんがんフルスピードで進めたいタイプなんだけど、一度スイッチが切れると途端に怠け者になっちゃう。寝るのも、何もせずにだらだらしてるのも大好きなんです。

だからライバー活動や仕事、子育てとかをフル稼働でこなして10億円貯められたら、一生スイッチをオフのままにして、毎日のんびり好きなことだけしながら過ごしてやろうと思ってるんです。

けど、もともとIRIAMではゆったりとは言わないまでも、空いた時間にちょこっと楽しむくらいの意識でいたんですよ。ここまで力を入れて配信したり本気でイベントを走ったりするなんて考えてなかったし、上位入賞はもちろん、S3ランクまで行けるなんてほんとに思いもしてなくて。自分がいちばんびっくりしてます。

プロトタイプとしての覚悟

―IRIAMで配信しようと思われたのはどういった経緯だったのですか?

TikTokに慣れてきたころ、事務所の社長から「IRIAMっていう勢いのある配信アプリがあるからやってみて」って言われて。けどTikTokやってるし、子育てのさなかでもあるしでただでさえ大変なのに、これ以上やること増やして大丈夫かな、できるのかなって不安はあったんです。

TikTokを始めたのも事務所で最初だったから「プロトタイプ0期生」と称してるんですけどね。言ってみれば、先攻部隊として市場視察に出向くような感じかな。社長に笑顔で「いってこい!」って送り出されて、「いきます!」って、もう当たって砕けろ精神ですよね。

そんな流れでTikTok LIVEを勢いで配信してみたら、同時接続数がまさかの2万人くらいまで伸びちゃった。何語かもわからないコメントが大量に流れてきてもまるでさばけず、ただただ歌い続けるみたいな半ばパニック状況でしたけど、めちゃ楽しかった。同時に自分のいちばんやりたいことが見えたんです。いろんな人に自分の歌やパフォーマンスを見てもらえるのって、なんて幸せなんだろう。しかも家の中にいてそれが叶うって最高だなって胸に迫るものがありました。

それで、IRIAMでも違ったかたちでいろんなパフォーマンスができて、また新たなリスナーさんたちに見てもらいたいなと。それにやっぱりプロトタイプ0期生としてはまず自分が体験してみて、いろんな可能性を後輩につなげられたらいいなってことでIRIAMの配信に臨んだんです。

ギアチェンジの瞬間
リスナーのために走る

―実際配信してみていかがでしたか?

初めて見たときは、なんて不思議な世界なの!? って感じでしたね。アニメだけど「生」の人だし、その人の動きに合わせて絵が動いてる。それも立ち絵を用意するだけで誰でもすぐに始められるって、なんてすごいシステムなんだって驚きました。

それで立ち絵ができた段階でとにかくやってみようって思って、何の下調べもしないまま準備ゼロ状態でやった、テスト版のような配信が最初でした。フォロワーもまだ十数人くらいだったので、知り合いだけが集まってくれたなか軽く1時間くらいやってすぐ解散みたいな感じでしたね。 

その後もトップバナーチャレンジまではTikTokをメインでやっていたし、まだIRIAMのしくみを細かいところまで理解してないまま何となくやってたんです。

けど、我の後にIRIAMを始めていた後輩の姿を見て気づかされたんです。彼女たちは上をめざそうとして配信時間を増やすとか配信のタイミングなんかをちゃんと考えてた。それも自分らのためだけじゃなく、応援したいという気持ちでファンバッジを取ろうとしてくれてるリスナーさんのことを考えて動いてたんです。その真摯な姿勢を見て、我もちゃんとやらなきゃな。IRIAMのしくみをきちんと把握したうえで、できることをやろう。リスナーさんの想いにも応えていこうって、そこからギアを上げた感じです。

セルフマネジメント
セルフプロデュース

―新たなスイッチが入った感じですね。

IRIAMってランクがあるじゃないですか。気にしなければ問題ない話なんだけど、我は数字を見ると気になるし、ランクがあれば上がりたくなる。それでただのスイッチじゃなく、ターボエンジンまで発動してしまって(笑)。

それまではTikTokとかけもちで一日一回程度だった配信が、ランクが上がってくるとそれだけじゃ場の温まりが難しいから細かく数回にわけるとか。さらには策士・諸葛良孔明大福として戦略を立てて、ファンコミュニティで指令を出すとか、勝ち抜くための工夫を凝らすようになりました。

―IRIAMでの配信スタイルにもすっかり慣れました?

配信に関していえば、IRIAMってめっちゃ手軽じゃないですか。立ち上げればすぐに配信できるし、しっかり顔をつくったり着替えたりする必要もないし。
けど、さっき言ったようなポイントやランクキープとかを考えるといろいろ計画しなきゃだし、細かく情報発信したり返礼品を用意したりとかの裏方作業も多いんですよね。

TikTokでもお礼品のようなものはありますけど、写真を撮って待受画像として渡すとか、比較的手間がかからないものが多いんです。その点、IRIAMではサムネイルとかヘッダーとかグッズなんかまで、全部自分で対応するでしょ? 皆さん、ほんと上手につくっていらっしゃるんですよね。見ていてめっちゃ勉強になります。

我はまだまだ下手ですけど、自分なりにいろいろ工夫してつくれるようになりました。そういったこともすべて後輩へのマニュアルとなって生きるのでやりがいがあります。
それに、リスナーさんたちが喜んでくれたり、自分が発信したことにレスポンスがあったり、常連さんはもちろん初見さんが来てくれたりすると、がんばってよかったって実感できるんです。

リスナーさんにしても、TikTokは視聴人数がすごいし、海外の方も多いから、一人ひとりを認識するってことは難しくてどこかあっさりした関係にとどまってしまうんですけど、IRIAMだとゆっくりしゃべれるし、パーソナルがわかるやりとりができますよね。

ファンの人も、周りを気にせずおもいきり声が出せるって言ってました。特に「弾幕コメント」を遠慮せずに打てるとか。
距離感で言ったらTikTokが大きなコンサートホールで、IRIAMは息遣いまで伝わるライブハウスって感じかな? 2階席からひとりで叫ぶのには勇気がいるし一斉に注目を浴びちゃうけど、ライブハウスの最前列だったら気にせずコールできるみたいな。こっちも誰が来てくれてるかわかるし、みんなが盛り上がってくれてる様子や個々の表情がわかる距離感。もちろん近いからこその緊張感もありますけどね。

そんな違いにもデビュー4カ月でやっと慣れたって感じです。システムのこともようやく何を聞かれても答えられるようになりました(笑)。

育てながら学ぶ

―配信自体は問題なくとのお話でしたが、キャラ配信でもリアルでの配信と同じように、違和感なく話せた感じですか?

違和感ではないんですけど、視覚的に説明できない難しさはありますね。リアルならジェスチャーで伝えられることが、IRIAMではぜんぶ言葉で表現するわけじゃないですか 。「こんな感じでね~」とかつい身振り手振りで話してしまうけど、IRIAMではそれがどういうものなのか、視覚を補って細かく説明しないとリスナーさんには伝わりづらいとかね。

あとはV業界の独特の用語とか、はやりのコールみたいなものがあるんですけど、それらに関しては無理して真似ようとせず、リアルの世界から来られたリスナーさんたちでもすんなりなじめるように、普段のままの言い回しや表現を使うようしてます。

そうそう、声も意識するようになりました。IRIAMを見て、声って大事なんだとはじめて気づかされたんです。
人気のあるライバーさんや見ていておもしろいと思う方ってめっちゃいい声をされててほれぼれしちゃうんですよね。立ち絵に合っているというか、キャラが生き生きとしゃべってるような感じで。

それまでは声を気にしたことがなかったし、重要な要素だとも思ってなくて。声優さんのこともほとんど知らないんですけど、IRIAMを見てから「この人の声好き」とか「声の表現が上手」とか感じるようになりました。

我は地声だし、立ち絵も自分の写真がベースで、衣装も手持ちのお洋服をイラストレーターさんに渡して描いてもらったので、キャラに合うも合わないもないんですけどね。声の表現についてはとても勉強になってるし、ライバーとしても成長できるんじゃないかって。始めてよかったって思ってます。

―それでいまは後輩の方々のマネジメントも請け負われているんですよね? ライバー活動に家事や子育てもあって、大変じゃないですか?

確かに毎日の時間割は大変なことになってます。
それでも唯一の体験者である我がマネジメントするのがいちばん効率いいし、子育て感覚で育成サポートできたらなと。
リスナーさんたちも応援してくれてるし、いまや我だけじゃなく後輩ライバーも含めて事務所ごと「箱推し」してくれている方もいてありがたいです。

それにこれは子育ても同じなんですけど、育てる・サポートするという行為を通して自分自身が学べることがとても多いので、後輩たちと一緒に我も成長していければなって思ってます。


IRIAM

―いろんなチャレンジをされていて、かっこいいです。
10億円もそうですが、ライバーとしての目標はありますか?

「長生き」することですね。
ライバーとして頂点を極めてやりきったので終わります、みたいなことではなく、とにかくできるかぎりずっと続けていたいんです。それこそ10億円という永遠のゴールに向かって、ずっと走り続けたいですね。
だからリスナーさんにも健康で長生きしてもらって、いつまでも我にお財布を吸わせてねっていつもおねだりしてます!(笑)

―そこまで突き抜けていると何だか気持ちがいいですね(笑)。実際、TikTokで同時に2万人が視聴されたことを考えれば、10億円も現実的な数字に見えてきますし。

そこなんです、そこ大事なんです! 我は別に大富豪さんに巨額のお金をくれといっているのではなく、たっくさんの皆さんにちょっとずつプレゼントしてもらえたらいいなって。世界中の人に自分のパフォーマンスを見て、楽しんでもらえて、ちょこっとだけお金をもらえたら最高に幸せ。みんなの応援で高みをめざして、IRIAMのスーパーアイドルになって、手にした10億円でのんびりしたいし、毎日だらだらしたいんです!
なので、これからもあきらめずに夢を追っていきたいと思います。

―最後に、これからライバーをめざそうとされている方にアドバイスをお願いします。

人生は短いので、やりたいことはやってみたほうがいいってことかな。
IRIAMが気になったなら、やりたいと思ったなら、いろいろ考えてないでやってみればいい。もし立ち絵がなければラジオ配信もできるし、まずはやってみること。やってみなければ何も始まらないし、やれるだけやればその先どうするかの気持ちも定まるから。

すべての人が上をめざす配信をしてるわけじゃないし、有名になりたいと思う必要もない。場末のスナックみたいにぐだぐだしゃべれる枠があってもいい。もちろん上位をめざしてイベントで走るのもいい。
人生は一回しかないので、やりたいことには何でもチャレンジしてみてください!

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